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第三章 妖精女王
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冒険者ギルドの地下にある訓練場には、<黒竜王>のメンバー四人が顔を揃えていた。掲示板の前で会ったジュリアスの他に、男性二人と女性一人がいた。その女性がアンナと呼ばれる魔道士だろうと思い、アストレアは彼女に視線を向けた。
二十代半ばくらいの勝ち気そうな女性だった。肩で切り揃えた赤毛を揺らしながら、アンナは赤茶色の瞳で射貫くようにアストレアを睨んでいた。
(何か、怖い感じの方ですね。あまり個人的なお付き合いはしたくありません)
何故、自分が敵意を込めた視線で睨まれているのか分からず、アストレアは慌てて視線を外した。
「エルズワーズさん、この娘を特別昇格させるんですか?」
冷めた視線でアストレアを一瞥すると、アンナがエルズワースに訊ねた。
「そうだ。術士クラスFのアスティだ。セイリオスが結成した<女王の騎士>のメンバーだ」
「アスティです。よろしくお願いします」
エルズワースの紹介を受けて、アストレアがアンナに頭を下げた。だが、アンナはアストレアを無視するように、エルズワースを見つめながら言った。
「術士クラスFの昇格試験に、何であたしが呼ばれるんですか? こう見えても、暇じゃないんですよ」
不満げな表情を隠しもせずに、アンナがエルズワースに文句を言った。
「今回の特別昇格で、アスティを術士クラスSにする予定だ。それを見極めるために、お前に試験官を依頼したい」
エルズワースが碧眼に真剣さを湛えながら、アンナを真っ直ぐに見つめた。
「術士クラスS……? クラスFからいきなりですか?」
アンナの横に立っていたジュリアスが驚愕の声を上げた。特別昇格と言えども、最低のクラスFから最高のクラスSにした例はかつてなかったのだ。先ほどセイリオスからアスティを昇格させると聞いていたジュリアスも、せいぜいクラスBかCくらいにするのだと思っていたのだった。
「アンナには試験官としてアスティと模擬戦をしてもらう。お互いに本気でやっていいぞ。上級回復ポーションを持ってきているから、腕の一本や二本なくしても治してやる」
驚きに固まっているジャスティとアンナに向かって、エルズワースが笑いながら告げた。
「エルズワースさん、私、別に昇格しなくてもいいですから、辞退します」
エルズワースの話を聞いていたアストレアが、困った表情を浮かべながら言った。
アストレアは、アンナと対峙して彼女の魔力量がどの程度なのか気づいた。魔道士クラスSと言うだけあり、それなりの魔力量はあるが自分よりも遥かに小さかったのだ。
(本気でやったら、アンナさん死んじゃいます。かといって、どの程度加減すればいいのか分かりません)
「そうね、それがいいわ。あたしが本気で魔法を撃ったら、あんたなんて消し炭になるからね。エルズワースさん、彼女ビビって辞退するそうですよ」
アストレアの辞退宣言を聞くと、アンナが嘲笑しながらエルズワースに言った。だが、エルズワースが答える前に、セイリオスがアンナに詰め寄った。
「アンナ、アスティの言葉の意味を間違って受け取っていないか? アスティはお前のためを思って辞退すると言ってるんだぞ。お前ではアスティの相手にならないってことだ」
アストレアの考えを読んで、セイリオスがアンナに告げた。だが、その口調はまるでアンナに喧嘩を売るように過激だった。アストレアがゾルヴァラタ神国建国の女神だと知っているセイリオスは、彼女を馬鹿にしたアンナに対して激怒していたのだ。
「何ですって! あたしがこんな娘に負けるとでも言ってるの?」
「負けるんじゃない。足元にも及ばないと言ってるんだ!」
セイリオスの言葉に、アンナの顔色が変わった。怒りのあまり真っ赤に顔を染めながら、アンナがアストレアに向かって叫んだ。
「相手をしてあげるわ! その代わり、死んでも恨むんじゃないわよ!」
赤茶色の瞳に紛れもない怒りを浮かべながら、アンナがアスティを睨み付けた。
「セイリオス……」
断ろうと思っていたアンナとの模擬戦を強引に決定させたセイリオスに、アストレアは困ったような視線を送った。
「お前を馬鹿にする奴は許せない。アスティ、力の差を思い知らせてやれ」
「……わかりました」
(私のために怒ってくれるのは嬉しいですが、本当にどの程度の力を出せばいいのか分かりません。どうしましょう?)
「話は決まったようだな。二人とも、当然だが相手を殺すのはなしだ。あくまで模擬戦だと言うことを忘れるなよ」
成り行きを見守っていたエルズワースが楽しそうに告げた。
「エルズワースさん、上級回復ポーションを用意しておいてください。一応手加減はしてあげるけど、大けがをしたら頼みます」
そう告げると、アンナはアストレアを睨みながら訓練場の中央に向かって歩き出した。
「エルズワースさん、アンナさんの魔法を防げぐだけでいいのでしょうか? それとも、彼女を戦闘不能にしなければならないのでしょうか?」
模擬戦自体が初めてのアストレアは、そのルールさえ知らなかった。それに気づいたエルズワースがニヤリと笑みを浮かべながら言った。
「好きにしろ。ただし、殺したら冒険者資格剥奪だ」
エルズワースから求める答えを得られないと知ったアストレアは、セイリオスの顔を見つめた。
「アスティ、結界でアンナを閉じ込めてやれ。戦闘不能にすれば、お前の勝ちだ」
「分かりました。ありがとうございます、セイリオス」
セイリオスの言葉に笑顔で頷くと、アストレアはアンナのいる訓練場の中央に向かって歩き出した。
(最初はアンナさんの力を確認してみましょう)
魔道士クラスSの攻撃魔法に興味があったアストレアは、最初にアンナの攻撃を受けてみようと思った。アンナを結界で閉じ込めるのは、それからでも遅くないと判断した。
黒曜石の瞳に真剣な光を浮かべると、アストレアは真っ直ぐにアンナを見つめながら言った。
「アンナさん、最高の力を見せてください」
「……! 言われなくてもッ!」
アストレアの言葉に、アンナの表情が変わった。魔道士クラスSである自分に大言を吐くアストレアに、アンナは手加減を忘れた。その赤茶色の瞳を大きく見開くと、アンナは魔道杖の先をアストレアに向けて詠唱を始めた。
「天を支配する火炎の王よ! 汝に命ずる! 我が名は<紅月>! 天門を開き、すべてを破壊せよ!」
アンナの総身から真紅の焔が立ち上り、爆ぜるように膨れ上がった。その焔が急速に収斂し、魔道杖に収束すると周囲の大気を巻き込むように螺旋状に回転を始めた。
「イヴァポレイションッ!」
アンナが火属性炎系禁呪魔法の詠唱を終え、その魔法名を叫んだ。爆音とともに凄絶な火焔の奔流が、螺旋を描きながらアストレアに向かって翔破した。
「アスティッ!」
「アンナ、殺す気かッ!」
セイリオスが叫び、エルズワースが驚愕した。クラスSの二人は、アンナの放ったイヴァポレイションがS級魔獣をも灼き尽くす破壊力であることを一瞬で見抜いたのだ。
周囲の大気さえ灼き焦がすほどの超烈な火焔の嵐が、アストレアに激突した。凄まじい轟音とともに、地下の訓練場すべてが激震のように震撼した。その場にいた誰もが、アストレアの死を実感した。
「そんな……?」
アンナはイヴァポレイションの業火の中に浮かぶ光の結界に気づいた。それは、すべてを灼き溶かす究極火焔魔法を完全に遮断しながら、訓練場の床から一メッツェほどの宙を浮遊していた。
「さすがに魔道士クラスSです。素晴らしい火焔魔法です」
白色の閃光を放つ結界の中で、アストレアがニッコリと微笑みながらアンナを見つめた。
「あれを完全に防いだっていうの……?」
光の結界の中にいるアストレアを見つめながら、呆然とした表情でアンナが言った。
「では、申し訳ありませんが、結界に封じさせてもらいます」
そう告げると、アストレアは詠唱も唱えずにアンナを見つめた。その瞬間、アンナの周囲に光の結界が発生し、瞬く間に彼女を包み込んだ。
結界の中でアンナが何か叫んだようだが、その声はまったく聞こえなかった。
「エルズワースさん、アンナさんを結界に封じ込めました。先ほどのような火焔魔法でもあの結界を破ることは出来ません」
ニッコリと微笑みながら告げるアストレアに、エルズワースは言葉を失った。想像を遥かに超えるアストレアの実力に、セイリオスも呆然として彼女の美貌を見つめていた。
「あの、エルズワースさん? いつまでアンナさんを結界に閉じ込めておけばいいんでしょうか?」
「あ、ああ……。すぐに出してやってくれ」
アストレアの言葉に、ハッと我に返ってエルズワースが言った。その言葉に従い、アストレアはアンナの結界を解除した。
「な、何なのよ、あんた? 魔道士クラスSのあたしを手玉に取るなんて……」
驚愕と畏怖とを赤茶色の瞳に浮かべながら、アンナがアストレアに向かって言った。そして、エルズワースの方を振り向くと、真剣な表情でアンナが告げた。
「エルズワースさん、この娘、術士クラスSなんてレベルじゃないわ。とんでもない実力よ」
「確かに……。お前のイヴァポレイションを無詠唱の結界で完全に防いだだけじゃなく、それでお前自身を封じ込めるなんて、この目で見ても信じられない。アルティメットヒールを一日に二十回使えるというのも嘘じゃなさそうだな」
「アルティメットヒールを一日に二十回って……?」
アンナだけではなく、<黒竜王>のメンバー全員が驚愕の表情を浮かべ、一斉にアストレアを見つめた。
「アンナ、セイリオス、俺はアスティを術士クラスSSに認定しようと思う」
「術士クラスSS……!」
エルズワースの判断に、アンナが言葉を失った。術士クラスSSなど、ゾルヴァラタ神国の冒険者ギルドで誰一人として認定されたことがなかった。
(女神アストレア様なら術士クラスSSなど当然だな。だが、これで絶対にアスティの正体がアストレア様だとバレないようにしないとまずいな)
セイリオスは一人頷くと、隣りに立つアストレアの美しい横顔を見つめた。その視線に気づき、アストレアが困った表情でセイリオスに告げた。
「セイリオス、何か凄い話しになっています。どうしましょう?」
二十代半ばくらいの勝ち気そうな女性だった。肩で切り揃えた赤毛を揺らしながら、アンナは赤茶色の瞳で射貫くようにアストレアを睨んでいた。
(何か、怖い感じの方ですね。あまり個人的なお付き合いはしたくありません)
何故、自分が敵意を込めた視線で睨まれているのか分からず、アストレアは慌てて視線を外した。
「エルズワーズさん、この娘を特別昇格させるんですか?」
冷めた視線でアストレアを一瞥すると、アンナがエルズワースに訊ねた。
「そうだ。術士クラスFのアスティだ。セイリオスが結成した<女王の騎士>のメンバーだ」
「アスティです。よろしくお願いします」
エルズワースの紹介を受けて、アストレアがアンナに頭を下げた。だが、アンナはアストレアを無視するように、エルズワースを見つめながら言った。
「術士クラスFの昇格試験に、何であたしが呼ばれるんですか? こう見えても、暇じゃないんですよ」
不満げな表情を隠しもせずに、アンナがエルズワースに文句を言った。
「今回の特別昇格で、アスティを術士クラスSにする予定だ。それを見極めるために、お前に試験官を依頼したい」
エルズワースが碧眼に真剣さを湛えながら、アンナを真っ直ぐに見つめた。
「術士クラスS……? クラスFからいきなりですか?」
アンナの横に立っていたジュリアスが驚愕の声を上げた。特別昇格と言えども、最低のクラスFから最高のクラスSにした例はかつてなかったのだ。先ほどセイリオスからアスティを昇格させると聞いていたジュリアスも、せいぜいクラスBかCくらいにするのだと思っていたのだった。
「アンナには試験官としてアスティと模擬戦をしてもらう。お互いに本気でやっていいぞ。上級回復ポーションを持ってきているから、腕の一本や二本なくしても治してやる」
驚きに固まっているジャスティとアンナに向かって、エルズワースが笑いながら告げた。
「エルズワースさん、私、別に昇格しなくてもいいですから、辞退します」
エルズワースの話を聞いていたアストレアが、困った表情を浮かべながら言った。
アストレアは、アンナと対峙して彼女の魔力量がどの程度なのか気づいた。魔道士クラスSと言うだけあり、それなりの魔力量はあるが自分よりも遥かに小さかったのだ。
(本気でやったら、アンナさん死んじゃいます。かといって、どの程度加減すればいいのか分かりません)
「そうね、それがいいわ。あたしが本気で魔法を撃ったら、あんたなんて消し炭になるからね。エルズワースさん、彼女ビビって辞退するそうですよ」
アストレアの辞退宣言を聞くと、アンナが嘲笑しながらエルズワースに言った。だが、エルズワースが答える前に、セイリオスがアンナに詰め寄った。
「アンナ、アスティの言葉の意味を間違って受け取っていないか? アスティはお前のためを思って辞退すると言ってるんだぞ。お前ではアスティの相手にならないってことだ」
アストレアの考えを読んで、セイリオスがアンナに告げた。だが、その口調はまるでアンナに喧嘩を売るように過激だった。アストレアがゾルヴァラタ神国建国の女神だと知っているセイリオスは、彼女を馬鹿にしたアンナに対して激怒していたのだ。
「何ですって! あたしがこんな娘に負けるとでも言ってるの?」
「負けるんじゃない。足元にも及ばないと言ってるんだ!」
セイリオスの言葉に、アンナの顔色が変わった。怒りのあまり真っ赤に顔を染めながら、アンナがアストレアに向かって叫んだ。
「相手をしてあげるわ! その代わり、死んでも恨むんじゃないわよ!」
赤茶色の瞳に紛れもない怒りを浮かべながら、アンナがアスティを睨み付けた。
「セイリオス……」
断ろうと思っていたアンナとの模擬戦を強引に決定させたセイリオスに、アストレアは困ったような視線を送った。
「お前を馬鹿にする奴は許せない。アスティ、力の差を思い知らせてやれ」
「……わかりました」
(私のために怒ってくれるのは嬉しいですが、本当にどの程度の力を出せばいいのか分かりません。どうしましょう?)
「話は決まったようだな。二人とも、当然だが相手を殺すのはなしだ。あくまで模擬戦だと言うことを忘れるなよ」
成り行きを見守っていたエルズワースが楽しそうに告げた。
「エルズワースさん、上級回復ポーションを用意しておいてください。一応手加減はしてあげるけど、大けがをしたら頼みます」
そう告げると、アンナはアストレアを睨みながら訓練場の中央に向かって歩き出した。
「エルズワースさん、アンナさんの魔法を防げぐだけでいいのでしょうか? それとも、彼女を戦闘不能にしなければならないのでしょうか?」
模擬戦自体が初めてのアストレアは、そのルールさえ知らなかった。それに気づいたエルズワースがニヤリと笑みを浮かべながら言った。
「好きにしろ。ただし、殺したら冒険者資格剥奪だ」
エルズワースから求める答えを得られないと知ったアストレアは、セイリオスの顔を見つめた。
「アスティ、結界でアンナを閉じ込めてやれ。戦闘不能にすれば、お前の勝ちだ」
「分かりました。ありがとうございます、セイリオス」
セイリオスの言葉に笑顔で頷くと、アストレアはアンナのいる訓練場の中央に向かって歩き出した。
(最初はアンナさんの力を確認してみましょう)
魔道士クラスSの攻撃魔法に興味があったアストレアは、最初にアンナの攻撃を受けてみようと思った。アンナを結界で閉じ込めるのは、それからでも遅くないと判断した。
黒曜石の瞳に真剣な光を浮かべると、アストレアは真っ直ぐにアンナを見つめながら言った。
「アンナさん、最高の力を見せてください」
「……! 言われなくてもッ!」
アストレアの言葉に、アンナの表情が変わった。魔道士クラスSである自分に大言を吐くアストレアに、アンナは手加減を忘れた。その赤茶色の瞳を大きく見開くと、アンナは魔道杖の先をアストレアに向けて詠唱を始めた。
「天を支配する火炎の王よ! 汝に命ずる! 我が名は<紅月>! 天門を開き、すべてを破壊せよ!」
アンナの総身から真紅の焔が立ち上り、爆ぜるように膨れ上がった。その焔が急速に収斂し、魔道杖に収束すると周囲の大気を巻き込むように螺旋状に回転を始めた。
「イヴァポレイションッ!」
アンナが火属性炎系禁呪魔法の詠唱を終え、その魔法名を叫んだ。爆音とともに凄絶な火焔の奔流が、螺旋を描きながらアストレアに向かって翔破した。
「アスティッ!」
「アンナ、殺す気かッ!」
セイリオスが叫び、エルズワースが驚愕した。クラスSの二人は、アンナの放ったイヴァポレイションがS級魔獣をも灼き尽くす破壊力であることを一瞬で見抜いたのだ。
周囲の大気さえ灼き焦がすほどの超烈な火焔の嵐が、アストレアに激突した。凄まじい轟音とともに、地下の訓練場すべてが激震のように震撼した。その場にいた誰もが、アストレアの死を実感した。
「そんな……?」
アンナはイヴァポレイションの業火の中に浮かぶ光の結界に気づいた。それは、すべてを灼き溶かす究極火焔魔法を完全に遮断しながら、訓練場の床から一メッツェほどの宙を浮遊していた。
「さすがに魔道士クラスSです。素晴らしい火焔魔法です」
白色の閃光を放つ結界の中で、アストレアがニッコリと微笑みながらアンナを見つめた。
「あれを完全に防いだっていうの……?」
光の結界の中にいるアストレアを見つめながら、呆然とした表情でアンナが言った。
「では、申し訳ありませんが、結界に封じさせてもらいます」
そう告げると、アストレアは詠唱も唱えずにアンナを見つめた。その瞬間、アンナの周囲に光の結界が発生し、瞬く間に彼女を包み込んだ。
結界の中でアンナが何か叫んだようだが、その声はまったく聞こえなかった。
「エルズワースさん、アンナさんを結界に封じ込めました。先ほどのような火焔魔法でもあの結界を破ることは出来ません」
ニッコリと微笑みながら告げるアストレアに、エルズワースは言葉を失った。想像を遥かに超えるアストレアの実力に、セイリオスも呆然として彼女の美貌を見つめていた。
「あの、エルズワースさん? いつまでアンナさんを結界に閉じ込めておけばいいんでしょうか?」
「あ、ああ……。すぐに出してやってくれ」
アストレアの言葉に、ハッと我に返ってエルズワースが言った。その言葉に従い、アストレアはアンナの結界を解除した。
「な、何なのよ、あんた? 魔道士クラスSのあたしを手玉に取るなんて……」
驚愕と畏怖とを赤茶色の瞳に浮かべながら、アンナがアストレアに向かって言った。そして、エルズワースの方を振り向くと、真剣な表情でアンナが告げた。
「エルズワースさん、この娘、術士クラスSなんてレベルじゃないわ。とんでもない実力よ」
「確かに……。お前のイヴァポレイションを無詠唱の結界で完全に防いだだけじゃなく、それでお前自身を封じ込めるなんて、この目で見ても信じられない。アルティメットヒールを一日に二十回使えるというのも嘘じゃなさそうだな」
「アルティメットヒールを一日に二十回って……?」
アンナだけではなく、<黒竜王>のメンバー全員が驚愕の表情を浮かべ、一斉にアストレアを見つめた。
「アンナ、セイリオス、俺はアスティを術士クラスSSに認定しようと思う」
「術士クラスSS……!」
エルズワースの判断に、アンナが言葉を失った。術士クラスSSなど、ゾルヴァラタ神国の冒険者ギルドで誰一人として認定されたことがなかった。
(女神アストレア様なら術士クラスSSなど当然だな。だが、これで絶対にアスティの正体がアストレア様だとバレないようにしないとまずいな)
セイリオスは一人頷くと、隣りに立つアストレアの美しい横顔を見つめた。その視線に気づき、アストレアが困った表情でセイリオスに告げた。
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