金碧の女豹~ディアナの憂鬱 【外伝2 女王の騎士】

椎名 将也

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第五章 龍の下顎

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 エドナの身柄を副責任者のウォルターに預けると、セイリオスは荷馬車の担当変更をジュリアスに申し出た。
「ジュリアス、悪いが俺はアスティと同じ三台目の荷馬車に移る。さすがにこんなことがあると心配だ」
「分かった。アンナ、セイリオスの代わりに最後尾の荷馬車を担当してもらえるか?」
 セイリオスの言葉に頷きながら、ジュリアスがアンナの顔を見つめた。

「最後尾の荷馬車って、男の商人二人でしょ? か弱いあたしを狼二匹の中に放り込むつもり? あたしがアスティと一緒に三台目に移るわ」
「か弱いって、誰がだ?」
 思わずセイリオスが本音を漏らした。
「失礼ね、セイリオス。でも、アスティはあたしが護るから、あんたは当初の予定通り最後尾の荷馬車にいなさい」
 笑いながらセイリオスを睨むと、アンナはアスティの左腕に腕を絡ませながら言った。

「アンナさん?」
 突然、腕を組まれてアストリアは驚いた表情でアンナを見つめた。
「あんたのこと、気に入ったわ。あたしが護ってあげるから安心しなさい」
「はい、ありがとうございます」
 そう言いながらも、アストレアはセイリオスの顔を見上げた。自分がアストレアの騎士になった自負のあるセイリオスは、アンナに役目を譲ることに憮然とした表情を見せていた。だが、そのことを言うわけにもいかず、セイリオスはムスッとした表情のままアンナに告げた。

「分かった、アンナ。アスティをよろしく頼む」
「後はあたしに任せておきなさい、セイリオス。アスティ、荷台に戻るわよ」
 セイリオスにそう告げると、アンナはアスティを連れて荷台の中に入った。アスティはセイリオスを振り返りながら何か言おうと思ったが、言葉にする前に荷台の中に連れ込まれてしまった。


「えっと、アンナさん……」
 荷台に入ると隣に座ってきたアンナに、アストレアは戸惑いながら声をかけた。アンナがアストレアの左腕に腕を絡めたままだったからだ。
「アンナでいいわよ。歳も同じくらいでしょ? あんた、いくつ?」
「二十四です」
 アストレアがセイリオスと一緒に設定した年齢を答えた。

「あたしも二十四よ。同じ年ね。だったら、お互いに呼び捨てでいいわね」
 赤茶色の瞳を楽しそうに輝かせながら、アンナが告げた。
「はい。アンナ、そろそろ腕を離してくれませんか?」
「腕くらいいいじゃない? あたし、アスティのこと気に入ったって言ったでしょ?」
 そう言うと、アンナはローブの上からでもわかる豊かな胸をアスティの腕に押しつけてきた。

「でも……」
「それより、アスティってセイリオスの恋人なの?」
 アストレアの抗議の言葉を遮ると、アンナがニヤリと笑いながら訊ねてきた。
「ええ。一応……」
「へえ。あの朴念仁が突然パーティを作るなんて驚いたけど、そういうことだったのね」
 納得したように頷くと、アンナが笑いながら告げた。

「アンナはセイリオスと親しいんですか?」
 セイリオスに対して遠慮がまったく感じられないアンナの言葉を聞いて、アストレアは訊ねた。
「親しいっていうか、幼馴染みよ。どっちかって言うと、喧嘩友達みたいなものね」
「幼馴染みですか?」
 セイリオスからもアンナが幼馴染みだなどと言うことは聞いていなかったため、アストレアは驚いて黒瞳を大きく見開いた。

「あいつ、昔から一匹狼みたいなところがあってね、<黒竜王>にも何度か加入を勧めたんだけど首を縦に振らなかったのよ。それがあんたのためにパーティを立ち上げるなんて、ずいぶんと愛されてるのね」
「そうですか……」
 セイリオスに愛されていると言われて思わずニヤけそうになり、アストレアは慌てて表情を引き締めた。

「美人だし、おっぱいも大きいし……あ、凄く柔らかいわね」
 アンナが左手でアストレアの右胸を触ってきた。
「ち、ちょっと、アンナ。やめてください。 あっ……」
「感度も凄くいいのね。これはエドナさんがいたずらしたくなる気持ちも分かるわ」
 ローブの上からでもアストレアの乳首が硬くなってきたのが分かると、アンナはいたずらそうな笑みを浮かべながら指でコリコリと扱いた。

「だめです……アンナ、やめて……あっ……ん、んあっ!」
 アンナに扱かれている乳首から峻烈な快感が背筋を舐め上げ、アストレアは思わず顎を反らして甘い声を上げた。
「あんた、凄くいやらしい体をしているのね。そんな声聞いたら、あたしまで変な気持ちになりそうよ」
 呆れたようにアストレアの顔を見つめると、アンナは彼女の胸から手を離した。

「もう……変なこと止めてください」
 トロンと蕩け始めた黒瞳でアンナを睨みながら、アストレアは両手で胸を隠した。
「顔もいい、胸も大きい、感度もいい……ムッツリスケベのセイリオスが落ちるわけだわ」
 ニヤリと笑みを浮かべると、アンナがアストレアの顔を見つめた。

「セイリオスにはもう抱かれたんでしょ? どうだった?」
「知りません……」
 真っ赤に顔を染めながら、アストレアはアンナの視線を避けるように顔を背けた。
「あいつのことだから、あんたが失神するまで責めまくるんじゃないの?」
「どうしてそれを……」
 驚いてアンナの顔を見つめると、ニヤリとした笑みを浮かべていた。その表情を見て、アストレアはカマをかけられたことに気づいた。

「なるほどね。失神しちゃったんだ?」
「し、知りません!」
 そう言うと、アストレアは恥ずかしさのあまり席を立って、逃げるように反対側の長椅子に移った。
「あら、アスティ。あたしにそんな態度を取っていいのかな? あんたの弱みを握ったって言ったはずよ」
 悪巧みしていそうな表情を浮かべながら、アンナがアスティに向かって言った。

「アンナ……」
「こんな太い張形で責められて、下着をびっしょり濡らしていたことをセイリオスが知ったらどう思うかな?」
「ち、違います……」
 真っ赤な顔でアンナを見つめると、アストレアは長い黒髪を振り乱しながら首を振った。

「何が違うの? 言ってご覧なさい」
「あれは最初に恥をかかされた時です……。エドナさんが下着の中に手を入れてきて、指で……」
 消え入りそうなほどの小声でアストレアが俯きながら告げた。
「あんた、指だけであんなに濡らしたの? 可愛い顔して、とんでもない淫乱ね」
「淫乱って……違います……」
 フルフルと首を振ると、潤んだ瞳でアストレアはアンナを睨んだ。その黒瞳を見つめながら、アンナが訊ねた。

「あんた、もしかして今も濡らしてない?」
「そんなこと、ありません。変なこと言わないでください」
 目尻を真っ赤に染めながら、アストレアがアンナの言葉を否定した。だが、アンナはその様子を見つめると、ニヤリと笑みを浮かべた。

「それなら、こっちに来て下着を脱ぎなさい。言うことを聞かないと、セイリオスにばらすわよ」
 非情に告げたアンナの言葉に、アストレアは蒼白になって立ち尽くした。
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