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第18章 Σナンバー
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同じ頃、惑星イリスにおいて、イシュタール隊が一人を除いて全滅していた。ただ一人生き残ったエレナ=マクドリアは、必死になってアラン王子の行方を探していた。
手掛かりは何もない。
イリス聖王家第一王位継承者アラン=アルファ=イリスは、彼の求める実妹ロザンナ王女の手によって、さらわれたのである。
(カレドール塔だわ!)
エレナの直感がそう告げた。
惑星イリスの聖都オディッセアには、五つの塔がそびえている。その一つであるカレドール塔は、凶悪犯罪者を収容する目的で造られた塔であり、エレナたちの目的であるロザンナ王女が幽閉されていると思われていた場所であった。
(アンデス、ジャック隊長、イル……)
エレナは殺された仲間の顔を思い浮かべた。
(ロザンナ王女、あなただけは絶対に許さない!)
エレナは左腕のブレスレット型マイクロ通信機に向かって叫んだ。
「フレア、聞こえる?」
イシュタール隊五人の内、この作戦に投入されたのは四人である。残りの一人、フレア=レイ准尉は、作戦のバックアップとして彼らが搭乗してきた機動ヘリコプターDRX-153に待機していた。
「こちらフレア、エレナ中尉ですか?」
通信機から若い女性の声が響いた。
「そうよ。今どこにいるの?」
「ポイントX37-Y176です。イリス宮殿まで約五分の位置です」
「Sクラス戦闘態勢で、すぐに来て! 私の位置は把握しているわね!」
「Sクラス……! り、了解!」
イシュタール隊では、通常のAからDクラスの戦闘態勢の他に、特別にSクラス戦闘態勢を設けていた。これは完全武装のAクラス戦闘態勢に加え、D弾(超小型指向性中性子ミサイル)をいつでも発射出来る態勢をとることであった。
「最大戦速で何分かかる?」
エレナが真剣な表情で訊ねた。
「三分四十秒です!」
フレアの声が緊張に震える。彼女、フレア=レイ准尉は、三ヶ月前にイシュタール隊に配属となった十九才の少女であった。先のクーデターを除き、実戦の経験は皆無である。しかし、イリス聖王家軍にとって、アラン王子が率いるイシュタール隊は最精鋭のチームである。その一員となるには、予備軍役を主席で卒業し、Bクラス以上のESPを有していなければならなかった。
フレアも例外ではない。彼女は、イシュタール隊で最も強力なESPであった。その能力は、Aクラス・ランクεである。
AクラスのESPは、GPS管轄内に現在七名しか存在していない。
GPS特別犯罪課特殊捜査官ジェシカ=アンドロメダ大尉。Aクラス・ランクα。
GPS特別犯罪課特殊捜査官ジュリアス=グレーデル少尉。Aクラス・ランクβ。
GPS情報部特別情報課グレイ=レービン中佐。Aクラス・ランクγ。
惑星フランディナール警察軍情報部ESP課ブルー=アシュレィ少佐。Aクラス・ランクκ。
惑星ロンウォール機動警察軍特殊情報部アゼリア=クリュティーヌ准佐。Aクラス・ランクν。
惑星イリス聖王家軍イシュタール隊副隊長エレナ=マクドリア中尉。Aクラス・ランクρ。
惑星イリス聖王家軍イシュタール隊フレア=レイ准尉。Aクラス・ランクε。
この七名は、GPSに数万人いる登録ESPの頂点に立つESPである。その能力は、ESP指数九十パーセント以上であった。
ESP指数とは、その発現率と能力の両面から計算された数値である。ESP指数九十パーセントという数値は、発現率九十九・九パーセント以上であり、能力はサイコキネシス(精神念動力)、テレパシー(精神感応力)、テレポート(瞬間移動力)の総合指数が三百分の二百七十五以上であることを示している。
彼ら以上の能力を持つ登録ESPは、GPSだけでなく銀河系にただ一人……。ΣナンバーのESPであり、<銀河系最強の魔女>と呼ばれる女性だけであった。
「フレア、アラン王子がさらわれたわ」
エレナが、フレアの操縦する機動ヘリコプターDRX-153にテレポート・アウトして告げた。
「……! いったい、誰に……?」
フレアが驚愕して訊ねた。アラン王子には、AクラスESPのエレナと、BクラスESPのアンデス=ゲールの二人が護衛についていたはずである。
「それだけじゃない。ジャック隊長、イル、そして、アンデス……。みんな殺された……」
「……! そんな……」
フレアが絶句した。
「相手はたった一人のESP……。それも、私たちが良く知っている人間よ……」
冷静な口調でエレナが告げた。
「……まさか?」
フレアが脳裏に浮かんだ幻影を否定するように言った。
その幻影は、金髪碧眼の美女であった。そして、額に聖王家の人間であることを示す双頭竜をあしらったダイヤモンドのヘアバンドをはめていた。
「相手は、ロザンナ=アルファ=フィオナ。彼女は、間違いなくΣナンバーのESPよ」
フレアのイメージを読み取ったかのように、エレナが告げた。
「Σナンバー……? その能力を持つESPは、銀河系に一人しかいないはずでは……?」
「私もそう思っていた。しかし、現実に私を始め、隊長達のESPを封じ込めたのよ。Aクラスと、二人のBクラスのESPを同時にブロックできるESPなんて、Σナンバーでなければ不可能だわ!」
エレナが断言した。そして、驚愕するフレアに対して、言葉を続けた。
「D弾の発射準備は出来ているわね!」
「は、はい……。しかし……」
「しかし、何……?」
「ほ、本当にD弾を使用するのですか?」
フレアが愕然として訊ねた。
D弾……正式名称、超小型指向性中性子ミサイルは、半径二百キロメートル以内にある全てのものを瞬時に粒子分解してしまう。そして、半径千キロメートル以内は致死量をはるかに超える放射能に汚染され、数年間は人間どころか微生物さえも生息不可能な<死の都市>と化してしまう。
有人惑星上での核兵器の使用は、最悪の場合、その惑星の生態系を変えることを意味しており、銀河条約で堅く禁じられていた。
「ΣナンバーのESP相手に、他にどんな方法があるって言うの?」
エレナの言葉に、フレアが激しく反対した。
「しかし、イリス宮殿は聖都オディッセアの中心にあります。D弾を使用すれば、オディッセアで生活する数万人を虐殺することになります。そんな命令には、従えません!」
「誰がイリス宮殿に向けて撃つって言ったの? そんな非人道的な命令を出すつもりはないわ」
エレナが厳しい口調で告げた。
「ロザンナ王女をここから千五百キロ南のアーリア海洋上に移動させるのよ。そこならば、魚介類に影響は出るにしろ、少なくても死者は出ないわ!」
「でも、どうやって……?」
フレアが納得すると同時に、素朴な疑問を投げかけた。ロザンナ王女がこの場所を移動するメリットが考えられないのである。
「私が王女と闘ってそこまで逃げてくるわ。あなたはアーリア海で待っていて!」
「Σナンバー相手に、闘うんですか? 自殺行為ですよ!」
フレアが驚愕して言った。エレナがAクラスESPであるにしろ、相手は簡単に彼女のESPをブロックすることが出来るのだ。
「もちろん、私一人じゃ無理よ。あなたが私に同調するのよ! Aクラスが二人同調すれば、その能力は相乗効果で四倍になるわ。少しはまともな闘いになるかも知れない!」
「……! 分かりました。やってみる価値はありそうですね!」
フレアが微笑んだ。
その時……!
『無駄なことはやめなさい!』
圧倒的な存在感を有するテレパシーが、二人の脳に直接響きわたった。
「……!」
「誰ッ……?」
エレナたちは頭を抱えながら訊ねた。それほど強力なテレパシーだったのだ。
『あなたたちが何人同調しても、ロザンナ王女は倒せない!』
テレパシーが無情に告げた。
『まして、D弾くらいでは彼女を殺すことは出来ないわ!』
「誰なのッ!」
エレナが怒鳴った。
『あなたたちは、ロザンナ王女のESPを甘く見過ぎている。彼女の潜在能力は、私以上かも知れないのよ!』
「……! ま、まさか……」
エレナが愕然とした。彼女の脳裏に、GPS管轄惑星すべてに配布されている一枚の指名手配の写真が浮かんだ。
<WANTED ランク-A(A級指名手配)>、その文字の上に印刷された一枚のフォトグラフ。
比類なく危険な魅力と、銀河系随一の美貌を併せ持つ女性……。
流れ落ちる滝のような淡青色の長い髪。知的な、それでいて強烈な意志を浮かべたプルシアン・ブルーの瞳と透き通るような白い肌。細く高い鼻梁と魅惑的なローズ・ピンクの唇。
そして、その美貌を唯一裏切っている左頬のy字型の裂傷……。
「あなたは、まさか……」
『私は、テア=スクルト……』
エレナが自分の考えを告げようとすると同時に、<銀河系最強の魔女>が名のった。
『アランとの約束を果たす時が来たわ。これから先は、私に任せてアルカディア要塞に戻りなさい、エレナ=マクドリア大尉……』
「……!」
(私の名前を知っているッ?)
エレナが驚いた。
『そして、フレア=レイ准尉。貴重なAクラス・ESPを二人も失いたくないわ。アランは私が必ず救い出してみせる。あなたたちはアルカディア要塞で彼の帰りを待っていなさい!』
「冗談じゃない! あなたが王子とどんな約束をしているか知らないけれど、王子は私たちが助けるわ! それより、姿を見せたらどうなの?」
エレナが叫んだ。
(アラン、アランって、気安く呼びつけにしないでよ!)
『あなたたちのESPでは、ロザンナ王女と闘うなんて無理なのよ……』
テアがそう告げた瞬間、エレナ達のESPは完全にブロックされた。
「そ、そんな……!」
それだけではなかった。二人は金縛りにあったように、身動き一つ出来なくなったのである。
(これが……、Σナンバーなの……!)
AクラスのESPは、GPS宇宙艦隊一つに匹敵する破壊力があると言われている。それを、一度に二人も封じ込め、完全に行動不能にしてしまう。
Σナンバーとは、それほど強力なESPなのか……?
(いえ、違う!)
エレナは愕然として気づいた。
(これが……、<銀河系最強の魔女>なんだわ……)
エレナの背中を、紛れもない戦慄が舐め上げた。
手掛かりは何もない。
イリス聖王家第一王位継承者アラン=アルファ=イリスは、彼の求める実妹ロザンナ王女の手によって、さらわれたのである。
(カレドール塔だわ!)
エレナの直感がそう告げた。
惑星イリスの聖都オディッセアには、五つの塔がそびえている。その一つであるカレドール塔は、凶悪犯罪者を収容する目的で造られた塔であり、エレナたちの目的であるロザンナ王女が幽閉されていると思われていた場所であった。
(アンデス、ジャック隊長、イル……)
エレナは殺された仲間の顔を思い浮かべた。
(ロザンナ王女、あなただけは絶対に許さない!)
エレナは左腕のブレスレット型マイクロ通信機に向かって叫んだ。
「フレア、聞こえる?」
イシュタール隊五人の内、この作戦に投入されたのは四人である。残りの一人、フレア=レイ准尉は、作戦のバックアップとして彼らが搭乗してきた機動ヘリコプターDRX-153に待機していた。
「こちらフレア、エレナ中尉ですか?」
通信機から若い女性の声が響いた。
「そうよ。今どこにいるの?」
「ポイントX37-Y176です。イリス宮殿まで約五分の位置です」
「Sクラス戦闘態勢で、すぐに来て! 私の位置は把握しているわね!」
「Sクラス……! り、了解!」
イシュタール隊では、通常のAからDクラスの戦闘態勢の他に、特別にSクラス戦闘態勢を設けていた。これは完全武装のAクラス戦闘態勢に加え、D弾(超小型指向性中性子ミサイル)をいつでも発射出来る態勢をとることであった。
「最大戦速で何分かかる?」
エレナが真剣な表情で訊ねた。
「三分四十秒です!」
フレアの声が緊張に震える。彼女、フレア=レイ准尉は、三ヶ月前にイシュタール隊に配属となった十九才の少女であった。先のクーデターを除き、実戦の経験は皆無である。しかし、イリス聖王家軍にとって、アラン王子が率いるイシュタール隊は最精鋭のチームである。その一員となるには、予備軍役を主席で卒業し、Bクラス以上のESPを有していなければならなかった。
フレアも例外ではない。彼女は、イシュタール隊で最も強力なESPであった。その能力は、Aクラス・ランクεである。
AクラスのESPは、GPS管轄内に現在七名しか存在していない。
GPS特別犯罪課特殊捜査官ジェシカ=アンドロメダ大尉。Aクラス・ランクα。
GPS特別犯罪課特殊捜査官ジュリアス=グレーデル少尉。Aクラス・ランクβ。
GPS情報部特別情報課グレイ=レービン中佐。Aクラス・ランクγ。
惑星フランディナール警察軍情報部ESP課ブルー=アシュレィ少佐。Aクラス・ランクκ。
惑星ロンウォール機動警察軍特殊情報部アゼリア=クリュティーヌ准佐。Aクラス・ランクν。
惑星イリス聖王家軍イシュタール隊副隊長エレナ=マクドリア中尉。Aクラス・ランクρ。
惑星イリス聖王家軍イシュタール隊フレア=レイ准尉。Aクラス・ランクε。
この七名は、GPSに数万人いる登録ESPの頂点に立つESPである。その能力は、ESP指数九十パーセント以上であった。
ESP指数とは、その発現率と能力の両面から計算された数値である。ESP指数九十パーセントという数値は、発現率九十九・九パーセント以上であり、能力はサイコキネシス(精神念動力)、テレパシー(精神感応力)、テレポート(瞬間移動力)の総合指数が三百分の二百七十五以上であることを示している。
彼ら以上の能力を持つ登録ESPは、GPSだけでなく銀河系にただ一人……。ΣナンバーのESPであり、<銀河系最強の魔女>と呼ばれる女性だけであった。
「フレア、アラン王子がさらわれたわ」
エレナが、フレアの操縦する機動ヘリコプターDRX-153にテレポート・アウトして告げた。
「……! いったい、誰に……?」
フレアが驚愕して訊ねた。アラン王子には、AクラスESPのエレナと、BクラスESPのアンデス=ゲールの二人が護衛についていたはずである。
「それだけじゃない。ジャック隊長、イル、そして、アンデス……。みんな殺された……」
「……! そんな……」
フレアが絶句した。
「相手はたった一人のESP……。それも、私たちが良く知っている人間よ……」
冷静な口調でエレナが告げた。
「……まさか?」
フレアが脳裏に浮かんだ幻影を否定するように言った。
その幻影は、金髪碧眼の美女であった。そして、額に聖王家の人間であることを示す双頭竜をあしらったダイヤモンドのヘアバンドをはめていた。
「相手は、ロザンナ=アルファ=フィオナ。彼女は、間違いなくΣナンバーのESPよ」
フレアのイメージを読み取ったかのように、エレナが告げた。
「Σナンバー……? その能力を持つESPは、銀河系に一人しかいないはずでは……?」
「私もそう思っていた。しかし、現実に私を始め、隊長達のESPを封じ込めたのよ。Aクラスと、二人のBクラスのESPを同時にブロックできるESPなんて、Σナンバーでなければ不可能だわ!」
エレナが断言した。そして、驚愕するフレアに対して、言葉を続けた。
「D弾の発射準備は出来ているわね!」
「は、はい……。しかし……」
「しかし、何……?」
「ほ、本当にD弾を使用するのですか?」
フレアが愕然として訊ねた。
D弾……正式名称、超小型指向性中性子ミサイルは、半径二百キロメートル以内にある全てのものを瞬時に粒子分解してしまう。そして、半径千キロメートル以内は致死量をはるかに超える放射能に汚染され、数年間は人間どころか微生物さえも生息不可能な<死の都市>と化してしまう。
有人惑星上での核兵器の使用は、最悪の場合、その惑星の生態系を変えることを意味しており、銀河条約で堅く禁じられていた。
「ΣナンバーのESP相手に、他にどんな方法があるって言うの?」
エレナの言葉に、フレアが激しく反対した。
「しかし、イリス宮殿は聖都オディッセアの中心にあります。D弾を使用すれば、オディッセアで生活する数万人を虐殺することになります。そんな命令には、従えません!」
「誰がイリス宮殿に向けて撃つって言ったの? そんな非人道的な命令を出すつもりはないわ」
エレナが厳しい口調で告げた。
「ロザンナ王女をここから千五百キロ南のアーリア海洋上に移動させるのよ。そこならば、魚介類に影響は出るにしろ、少なくても死者は出ないわ!」
「でも、どうやって……?」
フレアが納得すると同時に、素朴な疑問を投げかけた。ロザンナ王女がこの場所を移動するメリットが考えられないのである。
「私が王女と闘ってそこまで逃げてくるわ。あなたはアーリア海で待っていて!」
「Σナンバー相手に、闘うんですか? 自殺行為ですよ!」
フレアが驚愕して言った。エレナがAクラスESPであるにしろ、相手は簡単に彼女のESPをブロックすることが出来るのだ。
「もちろん、私一人じゃ無理よ。あなたが私に同調するのよ! Aクラスが二人同調すれば、その能力は相乗効果で四倍になるわ。少しはまともな闘いになるかも知れない!」
「……! 分かりました。やってみる価値はありそうですね!」
フレアが微笑んだ。
その時……!
『無駄なことはやめなさい!』
圧倒的な存在感を有するテレパシーが、二人の脳に直接響きわたった。
「……!」
「誰ッ……?」
エレナたちは頭を抱えながら訊ねた。それほど強力なテレパシーだったのだ。
『あなたたちが何人同調しても、ロザンナ王女は倒せない!』
テレパシーが無情に告げた。
『まして、D弾くらいでは彼女を殺すことは出来ないわ!』
「誰なのッ!」
エレナが怒鳴った。
『あなたたちは、ロザンナ王女のESPを甘く見過ぎている。彼女の潜在能力は、私以上かも知れないのよ!』
「……! ま、まさか……」
エレナが愕然とした。彼女の脳裏に、GPS管轄惑星すべてに配布されている一枚の指名手配の写真が浮かんだ。
<WANTED ランク-A(A級指名手配)>、その文字の上に印刷された一枚のフォトグラフ。
比類なく危険な魅力と、銀河系随一の美貌を併せ持つ女性……。
流れ落ちる滝のような淡青色の長い髪。知的な、それでいて強烈な意志を浮かべたプルシアン・ブルーの瞳と透き通るような白い肌。細く高い鼻梁と魅惑的なローズ・ピンクの唇。
そして、その美貌を唯一裏切っている左頬のy字型の裂傷……。
「あなたは、まさか……」
『私は、テア=スクルト……』
エレナが自分の考えを告げようとすると同時に、<銀河系最強の魔女>が名のった。
『アランとの約束を果たす時が来たわ。これから先は、私に任せてアルカディア要塞に戻りなさい、エレナ=マクドリア大尉……』
「……!」
(私の名前を知っているッ?)
エレナが驚いた。
『そして、フレア=レイ准尉。貴重なAクラス・ESPを二人も失いたくないわ。アランは私が必ず救い出してみせる。あなたたちはアルカディア要塞で彼の帰りを待っていなさい!』
「冗談じゃない! あなたが王子とどんな約束をしているか知らないけれど、王子は私たちが助けるわ! それより、姿を見せたらどうなの?」
エレナが叫んだ。
(アラン、アランって、気安く呼びつけにしないでよ!)
『あなたたちのESPでは、ロザンナ王女と闘うなんて無理なのよ……』
テアがそう告げた瞬間、エレナ達のESPは完全にブロックされた。
「そ、そんな……!」
それだけではなかった。二人は金縛りにあったように、身動き一つ出来なくなったのである。
(これが……、Σナンバーなの……!)
AクラスのESPは、GPS宇宙艦隊一つに匹敵する破壊力があると言われている。それを、一度に二人も封じ込め、完全に行動不能にしてしまう。
Σナンバーとは、それほど強力なESPなのか……?
(いえ、違う!)
エレナは愕然として気づいた。
(これが……、<銀河系最強の魔女>なんだわ……)
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