魔王の娘(6歳)は勇者が欲しい

わたちょ

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魔王の娘とお面

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「あ、それで……」
  しばらく沈黙が流れていた勇者の家で、勇者は困ったように声を出した。まだ俯きがちのマーナの手を握ったままにしながらこれからどうすると問いかけている。
「まだここにいる? それとももう今日は帰る。あんまり今は一緒に居たくないかもしれないし……。
 マーナちゃんはそのどうしたい」
 勇者の言葉にマーナは一度目を大きく開けて、それから口を閉ざしていた。小さくだがマーナの唇が尖っている。えっととこちらもまた戸惑ったようなそんな声が出ていた。そのと下を向いて話す。勇者はまだ膝をついているから勇者の目が見えていた。
 じゃあ何を思っていたのかと言われれば困るが、それでも思っていたのと別の方向に話が飛んでしまってどうすればいいのか考えがまとまらないから一度家にも帰りたかったが、だけどどうにも帰りづらいものもあった。
 どうしていいのか自分では分からず勇者と目を合わせてそのまま動かなくなる。
 勇者の方が困ったよう頬を掻いて口元を引きつらせた。
「とりあえず椅子に座る? 立ったままはきついよね」
 いうと勇者は掴んだ手はそのままに立ち上がり、勇者の家にマーナが来れば必ず案内される席に案内していた。どうぞと椅子を座りやすい角度に向けてくれる勇者。頷いてマーナは椅子に座っていた。対面のもう一つの椅子に座るのかと思ったが勇者は椅子に座ることなくマーナの前に立っていた。
 繋いだ手が熱い。
「どうする? 帰る? それともまだいる?
 まあ、知っての通りいたところで面白いものなんて一つもないんだけどね」
 勇者がゆっくりと問う。苦笑してマーナを見る。
「……いる」
 どうしてだかマーナはそこでこくりと頷いていた。長い髪が縦に揺れる。ふわふわと動く髪をマーナは見ていた。背に触れては弾んでいく。勇者がわかったと言ってマーナの手を離した。何か飲み物入れるねと台所でガタゴトし始める。
 暫くして湯気が立つまぐカップをマーナに差し出していた。受け取れば手のひらから熱が感じられる。甘い匂いが鼻腔をくすぐった。一口飲んでほうと息を吐きだす。勇者もマーナの前に座ってほっと一息ついていた。
 そうしてからそうだと何かを思い付いて勇者は立ち上がっていた。家の中、押し入れを開けて中にあったものを手にした。これと勇者が見せてきたものにマーナの目は軽くだが見開いていた。あっとそんな声が出ていく。
 勇者が見せたのは赤い色のお面だった。
 それはこないだの収穫祭の時、マーナが勇者に買ってもらったものだ。
「これマーナちゃんのだよね。こないだマーナちゃんが泊まりに来たあと、部屋に置いてあったのみつけて……。忘れ物かな。
 はい」
 お面を持った勇者の手がマーナの前に差し出される。だがマーナはそれを受け取ることをしなかった。目を大きくしてお面を見ている体は動くことをしない。勇者が首を傾けるとやっとマーナの口が開いていた。
「あの、それは……わざと置いていったんです」
「え」
 マーナの目が勇者を見てその口元が歪む。ごめんなさいとささやきながら赤いお面を見る。
「お面は嬉しかったんですが、魔王城に飾るには……、その不釣り合いだから飾れなくて。
 勇者様の家なら飾ってもらえるかなと思って持ってきたんです」
 ぼそぼそと聞こえる声。それは納得するしかない理由だった。魔物を遠ざけるお面が魔物だらけの魔王城に飾ってあるなんてギャグでしかない。分かったと差し出していたお面を勇者は元に戻していた。
「じゃあ、これは後で何処かその辺の壁に飾っておくね。あ、でもマーナちゃんが恐ろしいとかはないよね。屋台でも大丈夫そうだったし、問題ないと思うけどもし何かあったら言ってね」
「……私には問題はないです。可愛いお面だと思います」
「分かった。じゃあこの仮面飾るね
 ほっとまた肩をなでおろして勇者はお面と部屋の中を順繰りに見詰めた。おしゃれとは程遠い部屋。使うものだけが使いやすい位置に置いてある。そんな部屋を見てからマーナを見た。マーナは自分でここにいると決めたものの気まずそうで今はもう下を向いてしまっている。勇者の口元に笑みが浮かんだ
「そうだ。マーナちゃんも一緒にこのお面何処に飾るのがいいか考えてくれるかな。俺そう言うの苦手だから」
「……分かりました」
勇者が声をかければマーナの肩は跳ねて。笑う勇者を見て恐る恐るだがマーナは頷いていた。
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