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第百二十六話
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江里香からの二度目のメールには、絵葉書のようなキレイな画像が添付されていた。彼方に雪をかぶった山が見える、ヨーロッパの農村のような、牧歌的な風景だった。
異変があったのは、三度目のメールだった。
『奈々実ちゃん、昨日はたいへんショックなことがありました。驚かせてごめんね、先に謝っておきます。
クロエさんの息子さんのバティストくんは、賢くて感性の鋭い少年です。わたしが女子だってことを護衛兵士の皆さんやナゼールくんとフロランくんにわからないように、さりげなく気を配ってくれます。ナゼールくんは明るくて元気で、いわゆる脳筋です(笑)。雑用は率先してちゃっちゃとやってくれます。体力もありあまってるみたいで、一日中、馬に乗った後でくたくたに疲れている夕方なのに、野宿の準備や自分の仕事が全部終わった後、護衛兵士さんに剣の訓練を願い出て、オレ達は交代で起きて夜間警備しなければならないんだ、余計な体力をつかわせるんじゃねえ! って怒られて、コテンパンにやられてました(笑)
フロランくんはおとなしくて、あまりしゃべらないので、初めの頃はどんな人なのかよくわかりませんでした。男子にしては手先が器用で、縫物とか細かい仕事が得意みたいです。
でも、実は先日、わたしはフロランくんの仕事を、見てしまいました。フロランくんは・・・、その、護衛兵士さんたちの性欲処理係でした。少年兵には、そういう係になる子がいるのだと、シャルさんが教えてくれました。フロランくんが四人の兵士全員の、そういう係を引き受けているのだと。そして、わたしは隊長と副隊長であるアンリ様とシャルさんの専用の、『そういう係』、ということになっているから、兵士たちに襲われる心配は無いんだよって。
ショックでした。わたしが女子だってことはどんなに隠しても、男の本能がいつ、嗅ぎつけるかわからないから、フロランくんは護衛兵士たち担当、わたしは上官であるアンリ様とシャルさん専用って、兵士たちに厳重に言い含めてあるのだそうです。だからといって、わたしに本当にそういうことをさせるわけじゃないから、安心しなさいってシャルさんは言ってくれるけど、でも、やっぱり改めて不安です。男の人がたくさんの中に、自分一人が女って、たいへんなことなんだって、身が竦みます。それが男の本能なんだ、男って、そういうことをやっぱりしたい、せずにはいられない生き物なんだってことが、すごい恐怖です。怖いです。アンリ様とシャルさんだって、きっと本当はしたいんだと思うと、めちゃくちゃ怖いです。でも、自分で行くって言ったんだし、もうこんなに遠くまで来てしまったんだから、今更行くのやめるってわけにもいかない。アンリ様とシャルさんを信じて、全力で男の子のふりをするしかない。奈々実ちゃん、応援していてね」
異変があったのは、三度目のメールだった。
『奈々実ちゃん、昨日はたいへんショックなことがありました。驚かせてごめんね、先に謝っておきます。
クロエさんの息子さんのバティストくんは、賢くて感性の鋭い少年です。わたしが女子だってことを護衛兵士の皆さんやナゼールくんとフロランくんにわからないように、さりげなく気を配ってくれます。ナゼールくんは明るくて元気で、いわゆる脳筋です(笑)。雑用は率先してちゃっちゃとやってくれます。体力もありあまってるみたいで、一日中、馬に乗った後でくたくたに疲れている夕方なのに、野宿の準備や自分の仕事が全部終わった後、護衛兵士さんに剣の訓練を願い出て、オレ達は交代で起きて夜間警備しなければならないんだ、余計な体力をつかわせるんじゃねえ! って怒られて、コテンパンにやられてました(笑)
フロランくんはおとなしくて、あまりしゃべらないので、初めの頃はどんな人なのかよくわかりませんでした。男子にしては手先が器用で、縫物とか細かい仕事が得意みたいです。
でも、実は先日、わたしはフロランくんの仕事を、見てしまいました。フロランくんは・・・、その、護衛兵士さんたちの性欲処理係でした。少年兵には、そういう係になる子がいるのだと、シャルさんが教えてくれました。フロランくんが四人の兵士全員の、そういう係を引き受けているのだと。そして、わたしは隊長と副隊長であるアンリ様とシャルさんの専用の、『そういう係』、ということになっているから、兵士たちに襲われる心配は無いんだよって。
ショックでした。わたしが女子だってことはどんなに隠しても、男の本能がいつ、嗅ぎつけるかわからないから、フロランくんは護衛兵士たち担当、わたしは上官であるアンリ様とシャルさん専用って、兵士たちに厳重に言い含めてあるのだそうです。だからといって、わたしに本当にそういうことをさせるわけじゃないから、安心しなさいってシャルさんは言ってくれるけど、でも、やっぱり改めて不安です。男の人がたくさんの中に、自分一人が女って、たいへんなことなんだって、身が竦みます。それが男の本能なんだ、男って、そういうことをやっぱりしたい、せずにはいられない生き物なんだってことが、すごい恐怖です。怖いです。アンリ様とシャルさんだって、きっと本当はしたいんだと思うと、めちゃくちゃ怖いです。でも、自分で行くって言ったんだし、もうこんなに遠くまで来てしまったんだから、今更行くのやめるってわけにもいかない。アンリ様とシャルさんを信じて、全力で男の子のふりをするしかない。奈々実ちゃん、応援していてね」
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