3 / 18
第1部「邂逅! 伝説のヤリサー編!!」
3本目「開演! 春の新歓ランパ!!(前編)」
しおりを挟む
そんなこんなで、いよいよ待ちに待った『乱パ』の当日がやってきた!
「ふふふ……準備はばっちりだぜ!」
わずかな時間ではあったが、ばっちりと準備はしてきた。
先輩たちは準備の必要もないし気楽に参加してくれていい、と言ってたけれど、ここでヤる気をアピールしておかなければ!
でないと、折角の『乱パ』だというのに見学だけで終わってしまいかねない。
『ヤリサー』に入会してから今日までの間、僕は一人暮らしの自宅に引きこもり勉強に集中していたのだ!
映像資料の視聴はもちろんのこと、参考文献を読み漁ったり、ネットの資料を漁り知識を蓄えた。
瞑想もばっちりだ!
もちろん、寝不足や体調不良なんてもっての他だ。
『乱パ』に備えて栄養補給もしていたし、睡眠時間もばっちり確保している。
今日の僕は完璧と言ってもいいだろう。
「おう、来たな、新人」
「本多先輩!」
で、伝えられた時間に伝えられた場所へとやってきた僕を出迎えたのは、角刈りマッチョの本多先輩。
……流石に今は服を着ているが、はちきれんばかりの筋肉は隠せていない。
それはともかくとして……。
「ランパの準備は終わってるからな。お前は気楽に見学しててくれりゃいい」
「は、はぁ……」
…………ただ、妙に違和感があるんだよなぁ……。
違和感その1、場所はうちの大学の体育館であるということ。
違和感その2、時間がちょっと早い。
現在時刻は15時……春先だし、当然まだまだ明るい時間だ。
……こんな時間から、大学の体育館で……? いや、『伝説のヤリサー』だし僕の想像の及ばない事情がある……?
とここまでの違和感は飲み込んで来たけれど……。
違和感その3。
集まっている人たち――他大学の『ヤリサー』の面々だろう――が、皆して何やら釣り竿? のような長い、カバーに包まれたものを持っていることだ。
『道具』にしちゃ長いし大きくね? どういう用途なのかさっぱり想像もつかない……。
僕の知らない『道具』なのだろうか? 今までの映像資料ではみたことがないものだ。
後は違和感その4――とまでは言えないかもしれないけど、集まっている人を見ると圧倒的に男が多い。
…………違和感というか嫌な予感というか……。
「あら、童妙寺さん。ごきげんよう」
「! 姫先輩!!」
と、僕の後ろから天使の声が!
振り返るとそこには、颶風院姫燐先輩が当然いた。
……彼女も他の人が持っているのと同じ、謎の長物を持っているのにはちょっと驚いたけど……。
「……ほら、本多さん……童妙寺さんまで言っちゃったじゃないですか」
「ははは、『姫』は『姫』なのだから間違っていないだろう?」
どうやら先輩は『姫』と呼ばれるのはお気に召さないようだ。
天使でありヤリサーの姫でもある先輩なんだし、名前にも含まれている文字なんだからこれ以上ない呼び名だと思うんだけど……本人が嫌がるようなら辞めた方がいいのかな?
「新人、気にするな。姫は照れているだけだからな」
「は、はぁ……」
「んもう……わたくし、『姫』なんて呼ばれるような人間ではないのに……」
ふくれっ面も可愛すぎる……!
本人は気にしているようだけど、『颶風院先輩』と呼ぶよりも『姫先輩』の方がしっくりくるんだよな。
姫先輩もそれ以上強く抗議するわけでもないので、とりあえずはこれからもそう呼び続けることにしよう。
「さて、本日の主役二人も来たことだし、俺たちも会場に行くか。そろそろ始まるだろう」
姫先輩と僕 (新人)のことだろう。
……何か違和感はあるんだけど、僕たちはとにかく会場である我が校の体育館へと入って行った――
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「…………これは……」
何の変哲もない我が校の体育館内に異物があった。
『リング』だ。
ボクシングとかのリングみたいなのがでん、と体育館中央に置かれていた。
明らかに異物だ。
……え、なにこれ?
あのリングがベッドの替わりとか?? お立ち台的な感じで?
「おう、準備は完了だな」
「「「うぃーっす」」」
体育館の一画にはうちの『ヤリサー』のメンバーがいた。
……まぁ僕は姫先輩以外だと、本多先輩と植井先輩くらいしか名前は知らないんだけど。
で、全員が揃って長物を手に持っていた。
「皮はちゃんと被せておけよー」
「「「うぃーっす」」」
「うふふ。それではわたくしも準備いたしますね。
本多さんは今回は参加なさらないのですか?」
「おう。俺は今回は監督兼新人への解説係だな」
そんな会話をしながら、姫先輩もカバーの中に入っていた長物を取り出す。
…………それは、どう見ても『槍』だった。
「あのー……本多先輩?」
「おう、どうした?」
「その、ここって……『ヤリサー』ですよね?」
「『ヤリサー』だが?」
「……姫先輩たちが持ってるのって――『槍』ですよね?」
「うむ、『ヤリ』だが?」
…………僕の勘違いであって欲しかった……。
いや、ある意味僕が勘違いしてたのか……?
(性的な意味で)ヤリサーじゃねぇ。
槍サーだ、これ。
「ふふふ……準備はばっちりだぜ!」
わずかな時間ではあったが、ばっちりと準備はしてきた。
先輩たちは準備の必要もないし気楽に参加してくれていい、と言ってたけれど、ここでヤる気をアピールしておかなければ!
でないと、折角の『乱パ』だというのに見学だけで終わってしまいかねない。
『ヤリサー』に入会してから今日までの間、僕は一人暮らしの自宅に引きこもり勉強に集中していたのだ!
映像資料の視聴はもちろんのこと、参考文献を読み漁ったり、ネットの資料を漁り知識を蓄えた。
瞑想もばっちりだ!
もちろん、寝不足や体調不良なんてもっての他だ。
『乱パ』に備えて栄養補給もしていたし、睡眠時間もばっちり確保している。
今日の僕は完璧と言ってもいいだろう。
「おう、来たな、新人」
「本多先輩!」
で、伝えられた時間に伝えられた場所へとやってきた僕を出迎えたのは、角刈りマッチョの本多先輩。
……流石に今は服を着ているが、はちきれんばかりの筋肉は隠せていない。
それはともかくとして……。
「ランパの準備は終わってるからな。お前は気楽に見学しててくれりゃいい」
「は、はぁ……」
…………ただ、妙に違和感があるんだよなぁ……。
違和感その1、場所はうちの大学の体育館であるということ。
違和感その2、時間がちょっと早い。
現在時刻は15時……春先だし、当然まだまだ明るい時間だ。
……こんな時間から、大学の体育館で……? いや、『伝説のヤリサー』だし僕の想像の及ばない事情がある……?
とここまでの違和感は飲み込んで来たけれど……。
違和感その3。
集まっている人たち――他大学の『ヤリサー』の面々だろう――が、皆して何やら釣り竿? のような長い、カバーに包まれたものを持っていることだ。
『道具』にしちゃ長いし大きくね? どういう用途なのかさっぱり想像もつかない……。
僕の知らない『道具』なのだろうか? 今までの映像資料ではみたことがないものだ。
後は違和感その4――とまでは言えないかもしれないけど、集まっている人を見ると圧倒的に男が多い。
…………違和感というか嫌な予感というか……。
「あら、童妙寺さん。ごきげんよう」
「! 姫先輩!!」
と、僕の後ろから天使の声が!
振り返るとそこには、颶風院姫燐先輩が当然いた。
……彼女も他の人が持っているのと同じ、謎の長物を持っているのにはちょっと驚いたけど……。
「……ほら、本多さん……童妙寺さんまで言っちゃったじゃないですか」
「ははは、『姫』は『姫』なのだから間違っていないだろう?」
どうやら先輩は『姫』と呼ばれるのはお気に召さないようだ。
天使でありヤリサーの姫でもある先輩なんだし、名前にも含まれている文字なんだからこれ以上ない呼び名だと思うんだけど……本人が嫌がるようなら辞めた方がいいのかな?
「新人、気にするな。姫は照れているだけだからな」
「は、はぁ……」
「んもう……わたくし、『姫』なんて呼ばれるような人間ではないのに……」
ふくれっ面も可愛すぎる……!
本人は気にしているようだけど、『颶風院先輩』と呼ぶよりも『姫先輩』の方がしっくりくるんだよな。
姫先輩もそれ以上強く抗議するわけでもないので、とりあえずはこれからもそう呼び続けることにしよう。
「さて、本日の主役二人も来たことだし、俺たちも会場に行くか。そろそろ始まるだろう」
姫先輩と僕 (新人)のことだろう。
……何か違和感はあるんだけど、僕たちはとにかく会場である我が校の体育館へと入って行った――
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「…………これは……」
何の変哲もない我が校の体育館内に異物があった。
『リング』だ。
ボクシングとかのリングみたいなのがでん、と体育館中央に置かれていた。
明らかに異物だ。
……え、なにこれ?
あのリングがベッドの替わりとか?? お立ち台的な感じで?
「おう、準備は完了だな」
「「「うぃーっす」」」
体育館の一画にはうちの『ヤリサー』のメンバーがいた。
……まぁ僕は姫先輩以外だと、本多先輩と植井先輩くらいしか名前は知らないんだけど。
で、全員が揃って長物を手に持っていた。
「皮はちゃんと被せておけよー」
「「「うぃーっす」」」
「うふふ。それではわたくしも準備いたしますね。
本多さんは今回は参加なさらないのですか?」
「おう。俺は今回は監督兼新人への解説係だな」
そんな会話をしながら、姫先輩もカバーの中に入っていた長物を取り出す。
…………それは、どう見ても『槍』だった。
「あのー……本多先輩?」
「おう、どうした?」
「その、ここって……『ヤリサー』ですよね?」
「『ヤリサー』だが?」
「……姫先輩たちが持ってるのって――『槍』ですよね?」
「うむ、『ヤリ』だが?」
…………僕の勘違いであって欲しかった……。
いや、ある意味僕が勘違いしてたのか……?
(性的な意味で)ヤリサーじゃねぇ。
槍サーだ、これ。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる