ぱすてるランページ

シャオえる

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35. 嫌な思いだけを残して

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「ねぇ、リコ。もうちょっとだけ元気でない?」
「……でない。ミクもいないし、バタバタしてるし」
 食堂で夕御飯を食べているリコ達。食の進まないリコは、ため息混じりにゆっくりと食べている
「ミクちゃん、今日起きるかなぁ……」
 モモカが呟いた言葉を聞いて、リコが持っていたお箸を置いて、うつ向いた
「リコ、どうしたの?」
 クルミが心配そうにリコに話しかけると、リコは少し目を潤ませて話はじめた

「私が倒れていたミクを見つければ、こんな事にならなかったのかなって……大事な本を無くしたり奪おうとしたり、魔力を無理矢理上げて苦しい思いさせて……」
「それを言うなら、私だってリコと一緒にミクちゃんを見つけて……私だってミクちゃんに謝らなきゃ……」
 リコの話を聞いて、モモカもうつ向いてしまった。二人の向かいに座っているクルミは、二人の気持ちを聞いて、ちょっと戸惑ってしまう
「でも、元々はミクの持つ本を探せって命令だったんだから……」
「そうなんだけどさぁ……」
 気持ちを落ち着かせようと、ゆっくりとご飯を食べはじめたリコ。半分ほど食べ終えると、またお箸を置いて、ふぅ。とため息ついた
「もう、お腹一杯……」
「まだあるよ。ちゃんと食べないと……」
「そうだよ。ミクに何かあった時、すぐ動けるように食べないと」
 好きなおかずも残して食べ終えようとするリコに、クルミとモモカが、ミクのために食べろと言うと、仕方なしにまた食べはじめたリコ。一口ゆっくり食べると、またお箸を置いて、しょんぼりしてしまう。二人が、リコにどう言葉をかけようか困っていると、同じく困った顔で、女性隊員が三人に話しかけてきた

「みなさん、すみません……。ミクさんのお話を聞きたいそうなので、会議室に集まれますか?」
「あっ、うん……」
 あたふたと聞いてくる女性隊員の姿に、リコも少し戸惑いぎみに答えると、リコ達に伝え終えて、少しホッとしている女性隊員にモモカが話しかけた
「ねぇ、ミクちゃんは今、どうなってる?」
「まだ寝ています。目覚めてすぐ魔力が暴走しないように、部屋には術をかけたそうで、皆さんはしばらく会えないそうですが……」

 ミクの報告を聞いて、また落ち込みはじめたリコ。隣に座るモモカが、リコの頭を撫でて励ます
「ありがとう。片付けたら会議室にいくよ」
「了解です。なるべく早くお願いします」
 クルミが返事をすると、ペコリと頭を下げ三人から離れていく女性隊員。食堂を出て姿が見えなくなると、リコがペタンとテーブルに右頬を乗せると、リコを見て微笑むモモカと目があった
「嫌だなぁ……」
 と呟くリコに、クルミもはぁ。とため息ついて、行きたくない気持ちからか、さっきよりも少しゆっくり目に、残ったご飯を食べはじめた
「文句言っても仕方ないよ。早く会議室に行って、早く休もう……」
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