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39. 苦しみを解き放つため
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「美味しいです」
ケーキを大きく口を開けて頬張るミク。甘くて美味しいおやつに、笑顔絶やさず食べ進めていく
「前に見たケーキ屋さんのだね。見てたの知ってたのかな?」
「まさか……ねえ」
と、話をしながらリコ達も美味しくケーキを食べていく。お喋りも弾んで、あっという間に楽しいおやつの時間が過ぎていく
「もう、お腹一杯です」
「よかった。たくさん食べたね」
大きく切ったケーキを二切れも食べたミク。みんなでケーキを全部食べ終えて、リコ達が片付けをしていると、お腹一杯でご機嫌になったミクは、ベッドに飛び込み、枕の側にあった絵本を取り出した
「あれ?絵本……」
「はい。昨日、レイさんが返してくれました。でも……」
ベッドに座って、絵本のページをなぞるミク。だが、何も起こらず、真っ白なページのまま
「あっ……そっか……」
何も変わらない絵本に、片付けをしていたリコの手が止まる。絵本を側に置いて、ちょっとしょんぼりするミク。だかま、すぐに顔をあげてリコ達にニッコリと微笑んだ
「そういえば、お母様とお父様は見つかったんですか?」
「ううん。まだ……」
「ごめんね。ずっと探しているんだけど」
「いえ、お仕事で家にいないことも多かったので、いないのには慣れていますから……」
と言いつつも、少し寂しそうに微笑むミクに、モモカが隣に座って背中をさする。二人の様子を見ているリコとクルミ。側にいた女性隊員二人が食器を持って部屋を出ようとした時、コンコンと扉を叩く音が聞こえた
「……はい」
ミクが返事をすると、扉が開きレイが部屋に入ってきた。レイと入れ替わるように、女性隊員達は食器を片付けるためミクの部屋から出ていった
「レイさん、どうしたんですか?」
予想外なレイの登場に驚くリコ達。ミクもレイを見て、ちょっと戸惑っている。ミク達の様子も気にせずに、レイはクスッと笑う
「少し気分転換にね」
と言いながら、ミクの所に歩いていくレイ。近づくにつれ、モモカの服をぎゅっとつかんで顔を隠すミク。リコ達が不安そうに見守るなか、ミクの前に来ると背を屈んで、ミクに話しかけた
「体調はどうだい?」
「大丈夫です……」
「そっか。ケーキも食べたようだし、良かったよ」
恐る恐る返事するミクのを聞いて微笑むレイ。すると、ミクの隣に置かれた絵本を見つけて、手に取った
「少し借りるよ」
と、レイに絵本を取られて不安そうなミク。パラパラと絵本をめくるレイをリコ達も心配そうに見ていると、レイが一つため息ついた
「リコ達は、少し離れているように……」
レイに言われて、戸惑いつつも、部屋の片隅に移動するリコとクルミ。ミクの隣に座っていたモモカも、不安そうな顔をしているミクを残して二人の所に歩いていく
「レイさん、何を……」
話しかけたリコを無視して、立ち上がり絵本を開いてページをなぞるレイ。ページに文字が浮かび、物語の人物や建物が現れた。だが、動きは不規則に、物語の進行も進んだり戻ったりと、落ち着かない。絵本の様子を見たミクが壊れたと思い、絵本を取り返そうと手を伸ばす。何度も手を伸ばして取ろうとしても、何度も避けられ絵本は取れずじまい。二人の様子を見て、リコが近寄ろうとした時、レイが開いていた絵本をパタンと閉じた。その瞬間、ミクがベッドにバタンと倒れてしまった
「ミク!」
胸を押さえ苦しそうにもがくミク。慌てて駆け寄るリコ達。だが、レイがミク達の前に手を伸ばし、行く手を塞いだ
「少し苦しいだろうが、唄わない限り大丈夫だ」
ミクに手を差し伸べることなく淡々と話すレイを睨むリコ。しばらくすると落ち着いてきたのか、苦しそうだった息も少しずつ整い、ふぅ。と深く深呼吸した
「起きれるかい?」
レイに声をかけられ、ゆっくりと体を起こすミク。少しボーッとしているミクの手の側に、絵本を置いた。すぐ絵本を開いて、ページに触れると、文字が浮かんでゆっくりと物語が動き出した。喜ぶミクの姿を見て、三人の横を通り部屋から出ようとするレイと、すれ違うようにミクのもとに駆け寄ると、ミクをぎゅっと抱きしめるリコと、抱きしめれながらも絵本を読み続けるミクの姿を見ているクルミとモモカに、レイが声をかけた
「三人とも、唄わないよう見張りつつ、しばらく離れないように」
ケーキを大きく口を開けて頬張るミク。甘くて美味しいおやつに、笑顔絶やさず食べ進めていく
「前に見たケーキ屋さんのだね。見てたの知ってたのかな?」
「まさか……ねえ」
と、話をしながらリコ達も美味しくケーキを食べていく。お喋りも弾んで、あっという間に楽しいおやつの時間が過ぎていく
「もう、お腹一杯です」
「よかった。たくさん食べたね」
大きく切ったケーキを二切れも食べたミク。みんなでケーキを全部食べ終えて、リコ達が片付けをしていると、お腹一杯でご機嫌になったミクは、ベッドに飛び込み、枕の側にあった絵本を取り出した
「あれ?絵本……」
「はい。昨日、レイさんが返してくれました。でも……」
ベッドに座って、絵本のページをなぞるミク。だが、何も起こらず、真っ白なページのまま
「あっ……そっか……」
何も変わらない絵本に、片付けをしていたリコの手が止まる。絵本を側に置いて、ちょっとしょんぼりするミク。だかま、すぐに顔をあげてリコ達にニッコリと微笑んだ
「そういえば、お母様とお父様は見つかったんですか?」
「ううん。まだ……」
「ごめんね。ずっと探しているんだけど」
「いえ、お仕事で家にいないことも多かったので、いないのには慣れていますから……」
と言いつつも、少し寂しそうに微笑むミクに、モモカが隣に座って背中をさする。二人の様子を見ているリコとクルミ。側にいた女性隊員二人が食器を持って部屋を出ようとした時、コンコンと扉を叩く音が聞こえた
「……はい」
ミクが返事をすると、扉が開きレイが部屋に入ってきた。レイと入れ替わるように、女性隊員達は食器を片付けるためミクの部屋から出ていった
「レイさん、どうしたんですか?」
予想外なレイの登場に驚くリコ達。ミクもレイを見て、ちょっと戸惑っている。ミク達の様子も気にせずに、レイはクスッと笑う
「少し気分転換にね」
と言いながら、ミクの所に歩いていくレイ。近づくにつれ、モモカの服をぎゅっとつかんで顔を隠すミク。リコ達が不安そうに見守るなか、ミクの前に来ると背を屈んで、ミクに話しかけた
「体調はどうだい?」
「大丈夫です……」
「そっか。ケーキも食べたようだし、良かったよ」
恐る恐る返事するミクのを聞いて微笑むレイ。すると、ミクの隣に置かれた絵本を見つけて、手に取った
「少し借りるよ」
と、レイに絵本を取られて不安そうなミク。パラパラと絵本をめくるレイをリコ達も心配そうに見ていると、レイが一つため息ついた
「リコ達は、少し離れているように……」
レイに言われて、戸惑いつつも、部屋の片隅に移動するリコとクルミ。ミクの隣に座っていたモモカも、不安そうな顔をしているミクを残して二人の所に歩いていく
「レイさん、何を……」
話しかけたリコを無視して、立ち上がり絵本を開いてページをなぞるレイ。ページに文字が浮かび、物語の人物や建物が現れた。だが、動きは不規則に、物語の進行も進んだり戻ったりと、落ち着かない。絵本の様子を見たミクが壊れたと思い、絵本を取り返そうと手を伸ばす。何度も手を伸ばして取ろうとしても、何度も避けられ絵本は取れずじまい。二人の様子を見て、リコが近寄ろうとした時、レイが開いていた絵本をパタンと閉じた。その瞬間、ミクがベッドにバタンと倒れてしまった
「ミク!」
胸を押さえ苦しそうにもがくミク。慌てて駆け寄るリコ達。だが、レイがミク達の前に手を伸ばし、行く手を塞いだ
「少し苦しいだろうが、唄わない限り大丈夫だ」
ミクに手を差し伸べることなく淡々と話すレイを睨むリコ。しばらくすると落ち着いてきたのか、苦しそうだった息も少しずつ整い、ふぅ。と深く深呼吸した
「起きれるかい?」
レイに声をかけられ、ゆっくりと体を起こすミク。少しボーッとしているミクの手の側に、絵本を置いた。すぐ絵本を開いて、ページに触れると、文字が浮かんでゆっくりと物語が動き出した。喜ぶミクの姿を見て、三人の横を通り部屋から出ようとするレイと、すれ違うようにミクのもとに駆け寄ると、ミクをぎゅっと抱きしめるリコと、抱きしめれながらも絵本を読み続けるミクの姿を見ているクルミとモモカに、レイが声をかけた
「三人とも、唄わないよう見張りつつ、しばらく離れないように」
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