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48. 今が無理なら、練習あるのみ
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「さてと、まず空を飛ぶことだが……」
魔術練習場にレイの声が響く。楽しみからずっと笑顔のミクに対し、不安が拭えずいまだ戸惑うリコ達。三人の不安が募るなか、練習の為の準備が着々と進んでいく
「リコ、少し飛んでみてくれ」
レイに呼ばれると、ため息一つついて、ふわりとミクの真上に浮く。地上からミクからの尊敬の眼差しを受けながら、クルクルと練習場内を飛び回る
「空を飛ぶのは簡単に見えるが、風を受けて不安定になったり、建物にぶつかったりと、少し難しいものなんだ」
と、レイが話しているとリコがミクの側に降りてきた。ミクがリコをぎゅっと抱きしめて、テンション高く跳び跳ねている
「ここは、風の抵抗もあまりないし、障害物もない。すぐ助けるようにサポートもする」
と二人の様子を気にせず、淡々と話をはじめたレイの言葉に、はしゃいでいたミクも、少し緊張した面持ちで、リコから離れて、レイの側まで歩いていく
「では、頭で空を飛ぶイメージして、ちょっとだけジャンプしてごらん」
レイに言われた通り、目をつぶり空を飛ぶイメージをして、ピョンとジャンプをする。だが、飛ぶことはなく、すぐに足は地面に着いてしまった
「飛べない……」
言われた通りにしてみても、飛べずしょんぼりとするミク。固唾を飲んで見ていたリコ達からは、ほっと安堵した様子のため息が聞こえてくる
「すぐには難しいよ。練習あるのみだね」
とレイに言われ、何度も何度も目を閉じてピョンピョンとジャンプするミク。その飛ぼうと頑張る姿を静かに見守るリコ達。隊員達も静かに見守り、魔術練習場には、着地する時の足音だけが響いている
「ねぇ……本当に大丈夫かな?」
「さあ?ミクの本は出てないから、大丈夫じゃないの?」
「でもまた、練習場が壊れたら……」
練習場の片隅でヒソヒソと小声で話すリコ達。真剣な表情のミクを止められず、ただ見守るしかできないまま、時間が過ぎていく
「そろそろ終わろうか。また後日、練習しよう」
練習開始から数十分後、レイに止められ疲れたのか、ペタンと座り込むミクのもとに、リコが駆け寄っていく
「お疲れさま、ミク」
「全然、飛べませんでした……」
「すぐには無理だよ。また頑張ろう」
リコがミクを励ましていると、クルミとモモカがレイに声をかけていた
「レイさん、ミクの魔術を使えないように術をかけていたんですよね?」
「いや、術はかけてないよ。本当に使えるか試してみたんだが、やはり、絵本以外の魔術を使えないみたいだな」
とレイが話した内容に、驚き慌てはじめるクルミとモモカ。隊員達も戸惑っている側で、一人冷静なレイは、楽しそうに話すミクとリコの会話を聞いている
「今後も、唄わせないように。絵本以外の魔術を使えたら即報告を」
「わかりました」
レイとの話を終えると同時に、ミクが二人のもとに駆け寄ってきた
「モモカさん、クルミさん。ご飯食べに行くそうですよ」
「あっ、ありがとう」
と、クルミがお礼を言うと、隣にいたレイに気づいたミクが、レイにペコリと頭を下げた、
「練習、ありがとうございました」
「たくさん食べて、よく休むように」
「はいっ!」
と元気よく返事をすると、クルミとモモカの手を引っ張り、リコの所へ走っていく。隊員達も一緒に魔術練習場から出ていった。一人練習場に残ったレイが、入り口に背を向け、おもむろに右手を前に出すと本が現れ、ページをめくり
、一つため息をついた
「本もあの絵本も、使えなければそれでいいのだがな」
魔術練習場にレイの声が響く。楽しみからずっと笑顔のミクに対し、不安が拭えずいまだ戸惑うリコ達。三人の不安が募るなか、練習の為の準備が着々と進んでいく
「リコ、少し飛んでみてくれ」
レイに呼ばれると、ため息一つついて、ふわりとミクの真上に浮く。地上からミクからの尊敬の眼差しを受けながら、クルクルと練習場内を飛び回る
「空を飛ぶのは簡単に見えるが、風を受けて不安定になったり、建物にぶつかったりと、少し難しいものなんだ」
と、レイが話しているとリコがミクの側に降りてきた。ミクがリコをぎゅっと抱きしめて、テンション高く跳び跳ねている
「ここは、風の抵抗もあまりないし、障害物もない。すぐ助けるようにサポートもする」
と二人の様子を気にせず、淡々と話をはじめたレイの言葉に、はしゃいでいたミクも、少し緊張した面持ちで、リコから離れて、レイの側まで歩いていく
「では、頭で空を飛ぶイメージして、ちょっとだけジャンプしてごらん」
レイに言われた通り、目をつぶり空を飛ぶイメージをして、ピョンとジャンプをする。だが、飛ぶことはなく、すぐに足は地面に着いてしまった
「飛べない……」
言われた通りにしてみても、飛べずしょんぼりとするミク。固唾を飲んで見ていたリコ達からは、ほっと安堵した様子のため息が聞こえてくる
「すぐには難しいよ。練習あるのみだね」
とレイに言われ、何度も何度も目を閉じてピョンピョンとジャンプするミク。その飛ぼうと頑張る姿を静かに見守るリコ達。隊員達も静かに見守り、魔術練習場には、着地する時の足音だけが響いている
「ねぇ……本当に大丈夫かな?」
「さあ?ミクの本は出てないから、大丈夫じゃないの?」
「でもまた、練習場が壊れたら……」
練習場の片隅でヒソヒソと小声で話すリコ達。真剣な表情のミクを止められず、ただ見守るしかできないまま、時間が過ぎていく
「そろそろ終わろうか。また後日、練習しよう」
練習開始から数十分後、レイに止められ疲れたのか、ペタンと座り込むミクのもとに、リコが駆け寄っていく
「お疲れさま、ミク」
「全然、飛べませんでした……」
「すぐには無理だよ。また頑張ろう」
リコがミクを励ましていると、クルミとモモカがレイに声をかけていた
「レイさん、ミクの魔術を使えないように術をかけていたんですよね?」
「いや、術はかけてないよ。本当に使えるか試してみたんだが、やはり、絵本以外の魔術を使えないみたいだな」
とレイが話した内容に、驚き慌てはじめるクルミとモモカ。隊員達も戸惑っている側で、一人冷静なレイは、楽しそうに話すミクとリコの会話を聞いている
「今後も、唄わせないように。絵本以外の魔術を使えたら即報告を」
「わかりました」
レイとの話を終えると同時に、ミクが二人のもとに駆け寄ってきた
「モモカさん、クルミさん。ご飯食べに行くそうですよ」
「あっ、ありがとう」
と、クルミがお礼を言うと、隣にいたレイに気づいたミクが、レイにペコリと頭を下げた、
「練習、ありがとうございました」
「たくさん食べて、よく休むように」
「はいっ!」
と元気よく返事をすると、クルミとモモカの手を引っ張り、リコの所へ走っていく。隊員達も一緒に魔術練習場から出ていった。一人練習場に残ったレイが、入り口に背を向け、おもむろに右手を前に出すと本が現れ、ページをめくり
、一つため息をついた
「本もあの絵本も、使えなければそれでいいのだがな」
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