ぱすてるランページ

シャオえる

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56. 本が帰ってきた瞬間は

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「リコ、さっさと書いてよ……」
「んー。書くよー……」
 夕飯後に、ミクの部屋で報告書を書いているリコ達。リコがクルミにやる気のない返事をすると、はぁ。とため息ついて、テーブルに頬を乗せて、本を枕に絵本を抱いてベッドで寝ているミクを見た
「早く報告書書かないと、寝れないんだから、頑張って」
「……うん」
 モモカに言われて、ゆっくりと顔をあげるが、はぁ。と深いため息を一つついても、ペンを持ったまま書かないリコに、クルミがリコの頬を軽く引っ張った
「なに……」
「ボーッとして……。ミクのこと思うならさっさと書いて、私達も休まないと」
「……うん」
 やっと報告書を書きはじめたリコ。静かな部屋に、三人の報告書を書く音が響いている

「ミクのあの本ってさ、何だろうね」
 しばらくすると、報告書を書くことに少し飽きてきたリコがミクを見ながら、ふと話はじめた
「さあね。結局あまり教えられてないからね」
 と、素っ気なく答えるクルミ。すると、リコがテーブルに少し前のめりになって、二人の顔を交互に見た
「ずっと昔から、私達みたいな下っ端まで捜索に出してさ、本部のお偉いさんが欲しがって探してたけど、なんで?」
「知らないよ……レイさんに聞きなよ……」
「もう本に何か書いてしまったって言ってたけど、ミクはこれこら、どうなるのかな?」
 とモモカが話すと、リコがゆっくりと椅子に座り直して、三人顔を見合わせた

「あの森にある大きなお家に、ミクが一人で暮らすのかな?」
「まさか……さすがにねぇ」
 と、三人がミクを見ていると、視線を感じたのか突然、体を起こしたミク。少し寝ぼけたままボーッとした感じで、三人を見ている
「ゴメン。起こした?」
 リコが話しかけると、ゆっくりとベッドから降り、目を擦りながらリコ達のもとに来た
「……みなさん、何をしてるんですか?」
 と聞きながら、テーブルにたくさん置かれた紙を見つけると、モモカの膝の上に座った

「ミクが本を出した時の事を書いてるんだよ」
「ねぇ、ミクはどうやって本を出したの?」
 と、クルミがミクに問いかけると、モモカから降りてベッドに置いてきた本を取ると、またモモカの膝の上に座った
「モモカさんに、強く願ってみるって聞いて。それで、絵本とお母様の本と、うたの事を思い出したんです。それで、本が……」
 と、本の現れた時の説明をするミク。本を大切そうに抱きちょっと不安そうに三人の顔を見た。リコとクルミは微笑み、モモカはミクの頭を撫でて、ミクの気持ちを落ち着かせる
「その事も書いていい?」
「はい。もちろん」
 ミクからの許可を貰い、報告書に書きはじめたリコ達。ミクもモモカの膝の上に座ったまま、書く様子を黙って見ている

「よし、書いた。疲れたから、朝に渡そっか」
 ミクがうつらうつらと眠そうにしてきた頃、クルミが背伸びをしながら、そう言う側でリコも背伸びをすると片付けもせずに、おもむろに椅子から立ち上がると、ベッドの所に走りだした
「ミクー。一緒に眠ろう」
 ベッドに飛び乗ると横になってゴロゴロとしながら、ミクを呼ぶ
「すぐ渡さなくていいんですか?」
 リコからの誘いにちょっと戸惑いつつも、リコの隣に来て同じように横になりゴロゴロするミク。そんな二人を微笑み見ながら、クルミとモモカはテーブルの片付けをしている
「いいの、いいの。どうせレイさんも寝てるだろうし、早く起きて、朝から甘いお菓子食べよう。ねっ」
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