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シャオえる

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55. 興味をなくした人々

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「どうぞ」
 部屋の扉が叩く音に返事をするレイ。ガチャと部屋の扉が開くと、モモカの後ろに隠れたミクを連れてリコ達が入ってきた
「おや、意外と早く終わったね」
 リコ達の姿を見ると、読んでいた資料を机に置いて微笑んだ
「はい、どこも怪我はなかったみたいで、魔力の検査も後日となって……」
 と、クルミが色々と医務室での報告をしていると、まだモモカの後ろに少し隠れていたミクが、レイの顔をジーっと見ていた。視線に気づいたレイがミクを見てクスッと笑う

「おや、僕の顔に何かついているかい?」
 と、ミクに話しかけるなり、本を強く抱きしめ机に座るレイの前に来ると、少し前のめりになってレイに話しかけてきた
「お父様、どこにいるか分かりますか?お家に帰ってきているでしょうか?お母様にも会ったことはありますか?」
 テンション高く話すミクに、少し戸惑い苦笑いするレイ。リコ達もミクの様子を苦笑いで見ている

「レイさんとお父さんの名前と、雰囲気が似ているって言って、さっきからテンション高くて……」
 リコがそう説明すると、ミクのテンションの高さの意味を知ったレイが、ミクを見てまたクスッと笑う
「そうか。君の両親が今、どこにいるかは分からないが、近々、お家には帰れそうだよ」
 と、ミクに話すなり嬉しさでリコの手をつかんで、その場で何度も跳びはねるミク。クルミとモモカは戸惑いつつミクとリコの様子を見ている

「レイさん、なんで急に帰れることに?」
「興味がなくなったからさ。もうこの本は、必要ないからな」
「……必要ないって」
「もう、真っ白な本じゃないから。もう、君の本だからね」
 と、ミクが大事そうに抱えている本を見て話すレイとリコ達。視線を感じて、ミクも少し不安そうに本を見た
「……でも、あの」
 少し顔をあげ、何かを言おうとした時、レイが少し首を振り何も言わないように諭した。ミクも小さく頷いて、言葉を紡ぎ部屋が一瞬だけ静かになった。その静けさに、ふぅ。とため息ついたレイが、椅子に背もたれた

「三人は、報告書を早急に出すように。それと、魔術の練習はしばらく禁止。もちろん、唄うのも禁止する」
「……はい」
 リコ達の会話を聞いていたミクが、本をぎゅっと抱いて、少し不安そうな表情でレイに話しかけた
「本は持ってていいの?」
「もちろん。むしろ、離さないようにね」
 ミクの質問に、微笑みながら返事をするレイ。ミクもまた小さく頷いて返事をした
「それじゃ、話は終わり。みんなで夕御飯でも食べに行くといい」
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