ぱすてるランページ

シャオえる

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62.それぞれの未来を託して

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「ライさん、何をしているんですか?」
 暗い部屋に、アマネの話し声とコツコツと歩く音が鳴り響く。話し声のする方にゆっくりと振り返るライ。ランタンを持ったアマネが、本を読んでいたライのもとに近づけていく
「本があまり、良くなくてな。新たな本を探しているんだ」
「あら、私は好きでしたのに……」
 と、レイと話をしながら、ランタンをカタンと音を鳴らしながらテーブルに置いた。同時にパタンと本を閉じる音が聞こえた
「そうか、君が好きならもう少し書いてみようか」
 笑いながら話すライに、アマネもクスッと微笑む

「それより、ミクが本を取り出したようだよ。魔力が日に日に強くなりすぎて、レイがとても困っているみたいだが……」
 と、椅子に座りテーブルに置いていたお酒を一口飲んで、ライの向かいに座ったアマネに、一口飲んだグラスを渡すと、アマネも一口飲んでまた微笑む
「あら、さすがミクね。意外と早いわね」
「ああ。きっと私達の願い通りに動いてくれる……」
 会話をしながら、アマネが飲み干したグラスにお酒を継ぎ足すライ。持ってきていたもう一つのグラスにも注いで、何も言わず、見つめあいお酒を飲み進める二人。ボトルに入っていたお酒も大分少なくなってきた頃、少し酔いも進んできたライがコトンとグラスの音をたて、ライの持っていた本を読んでいたアマネを見つめた


「それで、アマネ。君はこれからどうする?」
 さっきまでの二人の雰囲気を少し変えて、話はじめたライ。急に話しかけられ、読んでいた本をパタンと閉じたアマネ。ライの顔を微笑みながら、じっと見つめている
「君は好いて私の側にいた訳じゃないだろう?ただ、うたの一族として、君自身の願いを叶えるため、私と一緒に居ただけ……。願いを叶えた後は、好きに生きるといい」
「あら、寂しいことを言うのね。私は、ミクとライさんと三人、ずっと平和に幸せに過ごすことも願っているのよ」
 ライの話に笑って言い返すアマネ。その言葉を聞いてアマネから少し顔を背けるように椅子を横に向けると、ライもはにかむように笑った

「そうか、それは困ったな……。ミクには頑張って生き抜いてもらわねば」
「大丈夫よ。ミクだもの」
 と言うと椅子から立ち上がり、近くにある本棚のところに歩いていくアマネ。本棚から本を一冊取り出すと、大事そうに抱えテーブルに戻ってくると、その本をライに手渡した
「ライさん、ミクが帰って来た時のためにミクの好きな絵本を一緒に書きませんか?」
 とアマネが言うと、持ってきた本をめくると、居なくなる数日前にミクが描いたライとアマネの似顔絵が描かれていた。家政婦や執事の絵も載っている本に、ライの頬が少し緩む
「そうだな。一族の思い出の絵本ばかり読んでもつまらないものな。良き未来の本でも書いてみようか……」
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