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73. 真夜中の二人だけのお喋り
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夜も更けてきた頃、目を覚ましたミク。目を擦りながら体を起こすと、隣で眠るリコに気づいて、起こさないように部屋の中を見渡すと、ソファーで肩を寄せあって眠るクルミとモモカにも気づいた
「みなさん、寝ちゃってる……」
と、起こさないように小声で一人言を呟きながら、ベッドから降りると、ベッドの隣にある机に置いていた絵本と本を取ると、部屋の隅の壁にもたれて、本を開いた
「お母様……お父様……どこに行ったのですか?」
リコ達を起こさないように、声を殺しグスグスと泣くミク。本を開いたまま泣き続けていると、本に書かれた文字に気づいたミクが、一文字ずつ泣きながら読みはじめた。すると、クラクラと目が回りはじめたミク。その目眩に耐えなさようと本をぎゅっと抱いた
同じ頃、まだ寝ずに隊員達が持ってきた、溜まった仕事の資料を確認していたレイが、部屋の雰囲気が変わったのに気づいて顔を上げると、一瞬、グラッと揺れた部屋。揺れが止まった瞬間、ドスンと大きな音が響いた
「……あれ?」
突然、机の前の方から声が聞こえて、少し椅子を動かし、声のする方に顔を向けると、本を抱いて、部屋の中をキョロキョロと見渡しているミクがいた
「おや、何の用だね?」
ミクの姿を見て、クスッと笑うレイ。一方ミクは、レイの声に気づいて、驚いた表情でまた部屋の中を見渡しはじめた。そんなうろたえるミクが持っている本を見つけたレイが、ため息混じりにミクに話しかけた
「君は数日前まで、絵本以外の魔術は使えなかったんだ。よく分からないまま本の魔術を無理に使うと、両親どころかリコ達とも永遠に会えなくなる。あまり本の魔術は使わないように」
「ご……ごめんなさい」
レイに注意されて、慌てて本で少し顔を隠したミク。すると、机に散らばった資料を片付けはじめたレイ。ガサガサと聞こえる紙の音に、ミクが一瞬レイの方を見た
「少し話をしようか…… 」
と片付けを終えたレイが、ミクに背中を向け、呟くように語りはじめた
「君のお父さんは、昔から自分勝手で秘密主義な人だったよ」
「……お父様が?」
レイが話はじめた内容に、驚きつつ返事をするミク。その返事を聞いたレイがミクの方に向き直すと、また語りはじめた
「魔術の腕は、小さい頃から本当に凄かった。私でも勝てなくて、よく喧嘩して泣かされていたよ」
昔を思いだし笑って話すレイ。だが、話の内容にミクは不思議そうな顔をしている
「お父様は、魔術が使えないと言っていました……。私が魔法の話をすると、いつも笑って、いつか使えたら良いねって言ってました」
言い返すミクと、その話に無言で聞いているレイ。すると、今度はミクからレイに問いかけた
「お父様はどこにいるのですか?」
「わからない。家が無くなったから、どこか道端で寝ているか、新しく家を建てて休んでいるかもね」
ミクの質問に淡々と返事をするレイ。その返事を聞いて不安が増していくミクの声が少しずつ小さくなって、か細い声で、またレイに問いかけた
「お母様も一緒にいるでしょうか」
「そうだね。一緒にいるといいね」
レイの返事に本で顔を隠してしまったミク。その姿に困ったレイがため息混じりに話しかけた
「すまないね。君のお母さんのことは、よく知らないんだ。昔からの知り合いと言うわけでもなくてね……」
「いえ……でも……」
目に涙を溜めて、うつ向いてしまったミク。その姿にふぅ。とため息ついたレイが、椅子から立ち上がり、ミクに近づいていく
「部屋まで送ろう。明日も忙しいだろうから、ちゃんとリコ達と休むように」
二人で部屋に帰っていく途中、夜も遅い時間帯で、本部で作業をする人も少なく静かな本部。リコとレイも話をすることなく、あっという間に部屋の前まで着くと、レイが合鍵で部屋の扉を開けた
「あの……」
部屋にはいる前に、レイの方に振り向き小声で話しかけた
「お話、ありがとうごさいます」
と、レイにペコリとお辞儀をするミク。そんなミクを見てレイが優しく微笑んだ
「こちらこそ、聞いてくれて助かったよ。ちゃんと休んで、リコ達といるようにね……」
「みなさん、寝ちゃってる……」
と、起こさないように小声で一人言を呟きながら、ベッドから降りると、ベッドの隣にある机に置いていた絵本と本を取ると、部屋の隅の壁にもたれて、本を開いた
「お母様……お父様……どこに行ったのですか?」
リコ達を起こさないように、声を殺しグスグスと泣くミク。本を開いたまま泣き続けていると、本に書かれた文字に気づいたミクが、一文字ずつ泣きながら読みはじめた。すると、クラクラと目が回りはじめたミク。その目眩に耐えなさようと本をぎゅっと抱いた
同じ頃、まだ寝ずに隊員達が持ってきた、溜まった仕事の資料を確認していたレイが、部屋の雰囲気が変わったのに気づいて顔を上げると、一瞬、グラッと揺れた部屋。揺れが止まった瞬間、ドスンと大きな音が響いた
「……あれ?」
突然、机の前の方から声が聞こえて、少し椅子を動かし、声のする方に顔を向けると、本を抱いて、部屋の中をキョロキョロと見渡しているミクがいた
「おや、何の用だね?」
ミクの姿を見て、クスッと笑うレイ。一方ミクは、レイの声に気づいて、驚いた表情でまた部屋の中を見渡しはじめた。そんなうろたえるミクが持っている本を見つけたレイが、ため息混じりにミクに話しかけた
「君は数日前まで、絵本以外の魔術は使えなかったんだ。よく分からないまま本の魔術を無理に使うと、両親どころかリコ達とも永遠に会えなくなる。あまり本の魔術は使わないように」
「ご……ごめんなさい」
レイに注意されて、慌てて本で少し顔を隠したミク。すると、机に散らばった資料を片付けはじめたレイ。ガサガサと聞こえる紙の音に、ミクが一瞬レイの方を見た
「少し話をしようか…… 」
と片付けを終えたレイが、ミクに背中を向け、呟くように語りはじめた
「君のお父さんは、昔から自分勝手で秘密主義な人だったよ」
「……お父様が?」
レイが話はじめた内容に、驚きつつ返事をするミク。その返事を聞いたレイがミクの方に向き直すと、また語りはじめた
「魔術の腕は、小さい頃から本当に凄かった。私でも勝てなくて、よく喧嘩して泣かされていたよ」
昔を思いだし笑って話すレイ。だが、話の内容にミクは不思議そうな顔をしている
「お父様は、魔術が使えないと言っていました……。私が魔法の話をすると、いつも笑って、いつか使えたら良いねって言ってました」
言い返すミクと、その話に無言で聞いているレイ。すると、今度はミクからレイに問いかけた
「お父様はどこにいるのですか?」
「わからない。家が無くなったから、どこか道端で寝ているか、新しく家を建てて休んでいるかもね」
ミクの質問に淡々と返事をするレイ。その返事を聞いて不安が増していくミクの声が少しずつ小さくなって、か細い声で、またレイに問いかけた
「お母様も一緒にいるでしょうか」
「そうだね。一緒にいるといいね」
レイの返事に本で顔を隠してしまったミク。その姿に困ったレイがため息混じりに話しかけた
「すまないね。君のお母さんのことは、よく知らないんだ。昔からの知り合いと言うわけでもなくてね……」
「いえ……でも……」
目に涙を溜めて、うつ向いてしまったミク。その姿にふぅ。とため息ついたレイが、椅子から立ち上がり、ミクに近づいていく
「部屋まで送ろう。明日も忙しいだろうから、ちゃんとリコ達と休むように」
二人で部屋に帰っていく途中、夜も遅い時間帯で、本部で作業をする人も少なく静かな本部。リコとレイも話をすることなく、あっという間に部屋の前まで着くと、レイが合鍵で部屋の扉を開けた
「あの……」
部屋にはいる前に、レイの方に振り向き小声で話しかけた
「お話、ありがとうごさいます」
と、レイにペコリとお辞儀をするミク。そんなミクを見てレイが優しく微笑んだ
「こちらこそ、聞いてくれて助かったよ。ちゃんと休んで、リコ達といるようにね……」
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