ぱすてるランページ

82. 似ている面影は、やっぱりそう

「そうか、そんなことがあったのか」
　レグスに飛ばされた後の事をレイに報告をしたリコ達。報告を聞いて、レイが険しい顔で考え込んでしまった
「はい……。報告が遅れて申し訳ありません」
「いや、それは構わないが……」
　頭を下げて謝るリコ達。すぐ頭を上げるようにレイに言われて、上げるなりすぐミクの側に座って、ふぅ。と一息ついた

「でも、あの女の人お母さんって言ってたけど、確かにあの女の人、ミクに似てたもんね」
「あー。そういえば、そうだったね」
　クルミが話した内容にリコが頷き納得している側で、レイは、モモカが用意した紅茶をゆっくりと飲みはじめた
「じゃあ一緒にいたあの男の人は、ミクのお父さんだったんだ……」
「探してるって言ってた本は、あの本のこと？」
　と、リコがミクが寝ているベッドの側にあるテーブルに置いた本を見た。クルミとモモカも本を見て黙りこんでしまった

「そうだっ！前に聞こえた唄声の人！ミクがお母さんって叫んでた人は、やっぱりミクの言ってた通り、お母さんだったんだ！」
　突然、何かを思い出しかのように叫び話はじめたリコ。その話の内容に、紅茶を飲んでいたレイの手が止まった
「じゃあ、ミクのところに来てもいいんじゃない？なんで、迎えに来ないで唄って帰るの？」
「さあ？なんでだろ……」
　と、三人が思い思いに話をしていると、ソファーに座り黙って聞いていたレイが立ち上がり、部屋の入り口へと歩き始めた
「あれ？レイさんどこに？」
　呼び止めたリコの方に振り返ると、その険しい顔をしたレイの顔を見て、リコが驚き少し後退りした
「少し、話を聞いてくる。何かあればすぐ呼ぶように」
「……はい」
　返事と同時にパタンと扉が閉まり、緊張感が解けてふぅ。と深呼吸するリコ。モモカのところに駆け込んでムリヤリ抱き気持ちを落ち着かせている。優しく背中を撫でるモモカと呆れながら見守るクルミ。ミクが起きるまでの、寝ている姿を見ながら、のんびりと過ごしていると、リコがまた何かを思い出したような顔をした

「そういえば、ミクのお父さんって、笑った顔が少しレイさんに似てたよね」
「あー。そうだね。ミクも笑った顔が似てるって言ってたような……」
　リコの疑問にクルミが少し前のミクの発言を思い出し、そう答えると、リコの気持ちに少し好奇心が出てきたのか、満面の笑みで、クルミのところに駆け寄っていく
「知り合いなのかな？もしかして、兄弟とか？」
「えー？まさかぁ……」
　と、リコの発言に否定しつつも、ちょっとだけ納得するクルミ。楽しそうに話している二人の会話を側で聞いていたモモカが突然、ベッドから降りて、ソファーの前にあるテーブルに置いてあるティーポットを取り、三人分の紅茶を淹れはじめた
「ミクちゃんのお母さん達のことは、今悩んでも進まないし、お茶でも飲みながら、ミクちゃんが起きた時、どこか行けるか相談しましょ」