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85. 昔からの忘れ物
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「あの……どこに行くんですか?」
お昼過ぎ、どうにか元気になったミクを連れて、本部内を歩き続けるリコ達。ご飯を食べに行く食堂とは違う場所を通り、不安そうなミクとはよそに、三人は迷うことなく進んでいく
「秘密だよ。着いてからのお楽しみ」
と、ご機嫌で返事をしながらミクの前を歩くリコ。その後ろ姿を、絵本と本を片手に持って、モモカと手を繋いで歩くミクだけが、徐々に不安が増えていく
「ミクちゃん、体調どう?」
「大丈夫です」
「具合悪くなったらすぐ言ってね」
「はい」
モモカの問いかけに、元気に答えるミク。体調を見ながら廊下を歩き続けていると、まだ見たことなかった本部の内部に、ミクのテンションが少しずつ上がって、笑顔になっていく
「でも、ここ通るのも久々な感じするなー」
「そうだね。この別館、新人の頃ぐらいしか使わないからね」
リコとクルミが、昔を思い出して会話が弾み、モモカもニコニコと笑って二人の会話を聞いていると、ミクの部屋から大分歩いた先の、古そうな部屋にたどり着いた
「ここだよ」
と、リコとクルミが足を止めると、部屋の大きな扉に少し怯えるミクをよそに、ガチャガチャと部屋の扉の鍵を開けた
「暗いですね……」
部屋の扉を開けると真っ暗な部屋で中が何も見えず、ミクのが不安そうに呟くと、クルミがパチッと電気をつけると、目の前に現れたたくさんの大きな本棚と埋め尽くされた本。見たことのない量の本の多さに、不安だったミクの顔が一気に笑顔になった
「スゴいです!本がたくさん!」
モモカの手を離して、部屋の中を見渡しはじめたミク。嬉しそうな反応に、リコ達はホッと胸を撫で下ろした
「ここは、本部の書庫だよ。ここの本は、昔の本過ぎて、あまり使われないんだよね」
「もう一ヶ所、図書館があるだけど、人もたくさん来るし、ここよりちょっと遠いから、まずは、ここを見せようかなって」
と、リコとクルミが説明している側で、近くの本棚に駆け寄っていくミク。分厚い本や、難しそうな本が並んでいるのを見て、楽しそうに、本棚の回りをあっちこっちと、動き続けている
「知らない本がたくさんです。お父様が喜びそう」
「ミク、あまり奥に行ったらダメだよ」
「はい……あれ?」
と、リコに返事をしていると、ふと側にいる本棚の中にあった一冊の本に目が止まったミク。その本を見つめたまま動かなくなった
「どうしたの?」
「この本……」
リコ達がミクのもとに駆け寄ると、本を指差したミク。その指差す古い本をリコが取り出すと、ミクに手渡した
「お父様が持つ本と、同じ模様だ」
と、呟いたミクの言葉に、リコ達が驚いていると、ミクは絵本と本を持ったまま、どうにか本を開いた
「読めない……」
本の中は、魔術が書いているのか、魔方陣が書かれている。だが、側に書かれている文字は読めず、リコ達もその文字を見て首をかしげた
「昔の文字かな?でも、魔術が書いてそう」
本の文字を見てクルミが話していると、モモカが本に書かれた文字を見つめ呆然としているミクに気づいた
「ミクちゃん、どうしたの?」
「これ……」
と、ミクがリコ達に何か言おうとした時、ミクが抱いて持っていた絵本と本が床に落ちた
「大丈夫?」
「はい、大丈夫……」
ミクがリコに返事をした瞬間、部屋の中が真っ暗になった
「何で急に……?」
「えー……。電球切れたのかな?」
「急に全部は切れないでしょ」
少し慌てるリコと冷静なクルミとモモカ。部屋の入り口から少し離れた本棚がある場所にいるため、外の光が入らず、リコ達がいる場所は真っ暗で、全員側にはずだが顔が見れず、動けないでいた
「ミク、大丈夫?危ないから動かないで」
「は、はいっ!」
真っ暗闇の中、側で聞こえたミクの元気そうな返事に、ホッとするリコ達。一方、ミクは突然暗闇の中から聞こえた声に驚いて、持っていたもう一つの本を床に落とした
「あっ、本が……」
慌てて、先に床に落とした絵本と本と一緒に、三冊とも取ろうと真っ暗な中、床に手を伸ばした
「今度は何?」
真っ暗だった周りが一変して、部屋の中が明るくなった。驚いて辺りをキョロキョロと見渡すリコ達。三人の周りは、街の広場にどこか似て、側には木々も溢れている。近くに人がいる気配はなく見慣れない風景に戸惑い動けずにいると、何かを見つけたのかクルミがどこかを指差した
「あれ……本部の建物じゃない?」
と、クルミが指差した先を見ると、今より新しい感じのする今と形が変わらない本部があった
「本当だ……じゃあここは、本部の広場?」
と、リコが驚き声を上げると、リコ達の後ろから誰かが近づいてくる気配を感じて振り返ると、いつから居たのか大勢の人達がリコ達の周りに集まっていた
「本を手に入れたと……」
大勢の人達が見守る中、ポツリと呟いた男性。その見つめる先には、隊員が膝をついて一冊の本を差し出している。その本を見つめ男性が不敵に笑った
「さあ、試してみようか。本の一族が作り出した本の力を」
お昼過ぎ、どうにか元気になったミクを連れて、本部内を歩き続けるリコ達。ご飯を食べに行く食堂とは違う場所を通り、不安そうなミクとはよそに、三人は迷うことなく進んでいく
「秘密だよ。着いてからのお楽しみ」
と、ご機嫌で返事をしながらミクの前を歩くリコ。その後ろ姿を、絵本と本を片手に持って、モモカと手を繋いで歩くミクだけが、徐々に不安が増えていく
「ミクちゃん、体調どう?」
「大丈夫です」
「具合悪くなったらすぐ言ってね」
「はい」
モモカの問いかけに、元気に答えるミク。体調を見ながら廊下を歩き続けていると、まだ見たことなかった本部の内部に、ミクのテンションが少しずつ上がって、笑顔になっていく
「でも、ここ通るのも久々な感じするなー」
「そうだね。この別館、新人の頃ぐらいしか使わないからね」
リコとクルミが、昔を思い出して会話が弾み、モモカもニコニコと笑って二人の会話を聞いていると、ミクの部屋から大分歩いた先の、古そうな部屋にたどり着いた
「ここだよ」
と、リコとクルミが足を止めると、部屋の大きな扉に少し怯えるミクをよそに、ガチャガチャと部屋の扉の鍵を開けた
「暗いですね……」
部屋の扉を開けると真っ暗な部屋で中が何も見えず、ミクのが不安そうに呟くと、クルミがパチッと電気をつけると、目の前に現れたたくさんの大きな本棚と埋め尽くされた本。見たことのない量の本の多さに、不安だったミクの顔が一気に笑顔になった
「スゴいです!本がたくさん!」
モモカの手を離して、部屋の中を見渡しはじめたミク。嬉しそうな反応に、リコ達はホッと胸を撫で下ろした
「ここは、本部の書庫だよ。ここの本は、昔の本過ぎて、あまり使われないんだよね」
「もう一ヶ所、図書館があるだけど、人もたくさん来るし、ここよりちょっと遠いから、まずは、ここを見せようかなって」
と、リコとクルミが説明している側で、近くの本棚に駆け寄っていくミク。分厚い本や、難しそうな本が並んでいるのを見て、楽しそうに、本棚の回りをあっちこっちと、動き続けている
「知らない本がたくさんです。お父様が喜びそう」
「ミク、あまり奥に行ったらダメだよ」
「はい……あれ?」
と、リコに返事をしていると、ふと側にいる本棚の中にあった一冊の本に目が止まったミク。その本を見つめたまま動かなくなった
「どうしたの?」
「この本……」
リコ達がミクのもとに駆け寄ると、本を指差したミク。その指差す古い本をリコが取り出すと、ミクに手渡した
「お父様が持つ本と、同じ模様だ」
と、呟いたミクの言葉に、リコ達が驚いていると、ミクは絵本と本を持ったまま、どうにか本を開いた
「読めない……」
本の中は、魔術が書いているのか、魔方陣が書かれている。だが、側に書かれている文字は読めず、リコ達もその文字を見て首をかしげた
「昔の文字かな?でも、魔術が書いてそう」
本の文字を見てクルミが話していると、モモカが本に書かれた文字を見つめ呆然としているミクに気づいた
「ミクちゃん、どうしたの?」
「これ……」
と、ミクがリコ達に何か言おうとした時、ミクが抱いて持っていた絵本と本が床に落ちた
「大丈夫?」
「はい、大丈夫……」
ミクがリコに返事をした瞬間、部屋の中が真っ暗になった
「何で急に……?」
「えー……。電球切れたのかな?」
「急に全部は切れないでしょ」
少し慌てるリコと冷静なクルミとモモカ。部屋の入り口から少し離れた本棚がある場所にいるため、外の光が入らず、リコ達がいる場所は真っ暗で、全員側にはずだが顔が見れず、動けないでいた
「ミク、大丈夫?危ないから動かないで」
「は、はいっ!」
真っ暗闇の中、側で聞こえたミクの元気そうな返事に、ホッとするリコ達。一方、ミクは突然暗闇の中から聞こえた声に驚いて、持っていたもう一つの本を床に落とした
「あっ、本が……」
慌てて、先に床に落とした絵本と本と一緒に、三冊とも取ろうと真っ暗な中、床に手を伸ばした
「今度は何?」
真っ暗だった周りが一変して、部屋の中が明るくなった。驚いて辺りをキョロキョロと見渡すリコ達。三人の周りは、街の広場にどこか似て、側には木々も溢れている。近くに人がいる気配はなく見慣れない風景に戸惑い動けずにいると、何かを見つけたのかクルミがどこかを指差した
「あれ……本部の建物じゃない?」
と、クルミが指差した先を見ると、今より新しい感じのする今と形が変わらない本部があった
「本当だ……じゃあここは、本部の広場?」
と、リコが驚き声を上げると、リコ達の後ろから誰かが近づいてくる気配を感じて振り返ると、いつから居たのか大勢の人達がリコ達の周りに集まっていた
「本を手に入れたと……」
大勢の人達が見守る中、ポツリと呟いた男性。その見つめる先には、隊員が膝をついて一冊の本を差し出している。その本を見つめ男性が不敵に笑った
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