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86. 威厳と根源
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「なに?誰?」
知らない人々が現れ、戸惑うクルミ。周りの人々はすぐ側にいるリコ達の事に気づいていないのか、淡々と話を進めている
「ミク、離れちゃダメだよ」
「……はい」
ミクを守るように周りを囲うリコ達。不穏な雰囲気に、落とした三冊の本を取らず、周りをキョロキョロと見渡している。見慣れた本部の制服を着ている人達は、広場の真ん中に立っている二人に注目をしている
「なるほど、この本には、風の魔術が書かれていると……」
「はい」
「私は風というもの扱えぬ。この本を読めば、使えるというのだな」
「はい。噂通りであれば……」
緊張した面持ちで話す隊員との質問を一通り終え、目の前で差し出された、その本を再び見つめる男性。緊張感が募る中、ゆっくりと、その本に手を伸ばした
「ふむ……」
一呼吸おいて本を受けとると、パラパラと本をめくりはじめた。見慣れない魔術に戸惑いつつも、書かれた魔術に一通り目を通し終えると、本を開いたまま魔術を読み始めた。すると、周りの木々達がガサガサと動き始め、リコ達の前に、突然巨大な竜巻が現れ、広場に生えていた木々達を次々となぎ倒していく
「素晴らしい!是非、この本だけでなく、もっと多くの本を本部に!」
目の前で起きた魔術に感激し、その嬉しさのあまり、パタンと本を閉じた男性。それと同時に竜巻も消え、竜巻に巻き込まれた木々や木の葉が、あちらこちらに落ちたり舞い上がっている
「いえ、一族は本を魔術の為にとは願っていないので……」
「一族は、人々の幸せのために書き続けると言っていましたので、今回は、私達が何十年もお願いをし、一族の尊厳を守ると交渉してやっとお借りした一冊でして……」
「だが、得手不得手を問わず使えるとなれば、悪き者から救える者も増える。それを伝えれば良いではないか」
「ですが……」
言い返され困ってしまった隊員。すると、本の魔術を見ていた隊員達が、少しずつざわつきはじめた
「私も本を使っても良いですか?」
「私も使いたいです!」
「自分も是非……」
本の魔術を見た隊員達が次々と手を上げ本を欲し叫ぶ。リコ達の側を走り抜けていく隊員達。周りには誰もいなくなると、再び視界は真っ白に変わり、また少しずつ目の前に広がる世界が変わり、今度はリコ達も見たことのある会議室に変わっていく
「……今度はなに?」
不安そうにリコが呟くと、会議室の大きなテーブルに、いつの間に現れたのか隊員達が座っている
「本をもっと貰ってこい!使えぬ力を更に補わなければ!本部だけでなく、各地にある支部の者達の分もまだまだ足りぬぞ!」
机を強く叩き、大声を上げ叫び出した男性。周りにいる隊員達は、その様子を怯えながら聞いている
「ですが、本を書くにも一族の力が要ります。あまり無理をさせては……。それに一族との当初の約束と違います。これ以上は……」
「口答えをするな!力が足りなければ、補うようどうにかしろ!」
恐る恐る答えた隊員に即座に反論し、更に声が大きくなっていく。顔を真っ赤にして、叫び続けていると、男性の隣にいた少し若い男の人が、男性に声をかけた
「そういえば、うたの一族を知っていますか?」
「ああ、魔力を爆発的に上げると噂の、うたを唄う一族だろう?それがなんだ!」
問いかけに機嫌悪く大声で返事をすると、その若い男性は怯むことなく淡々と語りはじめた
「本の力が足りなければ、うたの力も借りればよいのでは?魔力も魔術性能も上がり、本の一族の力を借りずに済むのでは?」
その提案に、驚きつつも段々と意味を理解していく男性。会議に参加している人達は、嫌な予感を感じざわつき始めると、ガタンと音がなり一斉に叫んでいた男性の方に皆が振り向いた。椅子から立ち上がり、部屋にいる隊員達を見渡し確認すると、再び会議室に声が響き渡った
「これは魔術本部にとって良い案だ。すぐに、うたの一族を探し出せ!」
知らない人々が現れ、戸惑うクルミ。周りの人々はすぐ側にいるリコ達の事に気づいていないのか、淡々と話を進めている
「ミク、離れちゃダメだよ」
「……はい」
ミクを守るように周りを囲うリコ達。不穏な雰囲気に、落とした三冊の本を取らず、周りをキョロキョロと見渡している。見慣れた本部の制服を着ている人達は、広場の真ん中に立っている二人に注目をしている
「なるほど、この本には、風の魔術が書かれていると……」
「はい」
「私は風というもの扱えぬ。この本を読めば、使えるというのだな」
「はい。噂通りであれば……」
緊張した面持ちで話す隊員との質問を一通り終え、目の前で差し出された、その本を再び見つめる男性。緊張感が募る中、ゆっくりと、その本に手を伸ばした
「ふむ……」
一呼吸おいて本を受けとると、パラパラと本をめくりはじめた。見慣れない魔術に戸惑いつつも、書かれた魔術に一通り目を通し終えると、本を開いたまま魔術を読み始めた。すると、周りの木々達がガサガサと動き始め、リコ達の前に、突然巨大な竜巻が現れ、広場に生えていた木々達を次々となぎ倒していく
「素晴らしい!是非、この本だけでなく、もっと多くの本を本部に!」
目の前で起きた魔術に感激し、その嬉しさのあまり、パタンと本を閉じた男性。それと同時に竜巻も消え、竜巻に巻き込まれた木々や木の葉が、あちらこちらに落ちたり舞い上がっている
「いえ、一族は本を魔術の為にとは願っていないので……」
「一族は、人々の幸せのために書き続けると言っていましたので、今回は、私達が何十年もお願いをし、一族の尊厳を守ると交渉してやっとお借りした一冊でして……」
「だが、得手不得手を問わず使えるとなれば、悪き者から救える者も増える。それを伝えれば良いではないか」
「ですが……」
言い返され困ってしまった隊員。すると、本の魔術を見ていた隊員達が、少しずつざわつきはじめた
「私も本を使っても良いですか?」
「私も使いたいです!」
「自分も是非……」
本の魔術を見た隊員達が次々と手を上げ本を欲し叫ぶ。リコ達の側を走り抜けていく隊員達。周りには誰もいなくなると、再び視界は真っ白に変わり、また少しずつ目の前に広がる世界が変わり、今度はリコ達も見たことのある会議室に変わっていく
「……今度はなに?」
不安そうにリコが呟くと、会議室の大きなテーブルに、いつの間に現れたのか隊員達が座っている
「本をもっと貰ってこい!使えぬ力を更に補わなければ!本部だけでなく、各地にある支部の者達の分もまだまだ足りぬぞ!」
机を強く叩き、大声を上げ叫び出した男性。周りにいる隊員達は、その様子を怯えながら聞いている
「ですが、本を書くにも一族の力が要ります。あまり無理をさせては……。それに一族との当初の約束と違います。これ以上は……」
「口答えをするな!力が足りなければ、補うようどうにかしろ!」
恐る恐る答えた隊員に即座に反論し、更に声が大きくなっていく。顔を真っ赤にして、叫び続けていると、男性の隣にいた少し若い男の人が、男性に声をかけた
「そういえば、うたの一族を知っていますか?」
「ああ、魔力を爆発的に上げると噂の、うたを唄う一族だろう?それがなんだ!」
問いかけに機嫌悪く大声で返事をすると、その若い男性は怯むことなく淡々と語りはじめた
「本の力が足りなければ、うたの力も借りればよいのでは?魔力も魔術性能も上がり、本の一族の力を借りずに済むのでは?」
その提案に、驚きつつも段々と意味を理解していく男性。会議に参加している人達は、嫌な予感を感じざわつき始めると、ガタンと音がなり一斉に叫んでいた男性の方に皆が振り向いた。椅子から立ち上がり、部屋にいる隊員達を見渡し確認すると、再び会議室に声が響き渡った
「これは魔術本部にとって良い案だ。すぐに、うたの一族を探し出せ!」
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