ぱすてるランページ

シャオえる

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108. これは、僕の運命として

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「おはよう。機嫌はどう?」
 医務室のベッドで、一人のんびりと紅茶を飲んでいたミクに声をかけたレイ。ニコニコと笑顔で話しかけるレイを見た後、顔を背けるようにうつ向いた
「……ちょっと嫌われたかな?」
「まぁ、そうだろうな……」
 ミクの反応に苦笑いするレイに、一緒に来ていたカフカ呆れながら答えた
「ゴメンね。君のために、頑張ったんだけど最後は君の魔力の問題だったから、どうすることも出来なくて、無事でよかったよ」
 そうミクに話しかけると、顔を上げ二人を見たミクの少し暗い表情に、困った顔になるレイ。同じくカフカも困った表情で二人の様子を見守っていると、リコ達が医務室にやって来た

「あっ、レイさん……」
「体調は大丈夫ですか?」
 クルミとモモカがレイに声をかけていると、リコは無言でミクの隣にある椅子に座った
「ああ、僕はほとんど魔力を使ってなかったし。ほぼ全て本に残されていた魔力だったからね。父さんの残していた力は凄かったね……」
 笑顔で話すレイに、リコ達は返事をせず、カフカはふぅ。とため息ついた。その様子を不思議そうに見ているミクに気づいたレイがミクにニコッと笑った
「もう少し元気になったら、検査で少し頑張ってもらわなきゃね」
 レイの言葉を聞いてまたレイから顔を背けた。少し手が震えて、紅茶が入ったコップが揺れて、リコが落ち着かせようと優しく抱きしめた
「大丈夫。もう危険なことはしないよ。その為にちょっとだけ無理させたんだからね」
 と、ミクやリコ達の気にせず淡々と話していると、医師や看護師がミクの検査のために、近づいてきた。検査のためにミクの周りが騒がしくなって、部屋のすみに追いやられるリコ達
「それじゃあ、三人とも、後を頼むよ」
「あっ、はい……」
 クルミの返事と共に、医務室から出ていこうとすると、レイ達の方にちょっと振り向いたリコ。それに気づいたレイがクスッと笑いながら医務室の扉を閉めた



「そういえば、レグスは?」
 医務室を出てから、すぐに部屋に戻るでもなくバタバタと騒がしい本部内を特に宛もなく廊下を歩いていると、カフカの部屋を出てから、レグスがいないことに今、気づいたレイがカフカに問いかけた
「部屋を出てすぐに呼ばれて、仕事に戻ったみたいだな。今はあまり、会いたくないのかもしれないが」
「そっか。それは残念……」
 と、話をしていると、レイの手元に本が現れた
「本……あったんだな」
 レイの持つ本に、感慨深い表情で本を見ながら話しかけた
「そうさ。あの魔術を起こしたけど、僕の本の一族としての運命は変わらないからね」
「そうか。うたの方はどうなっている?」
「それは、分からない。二人とも動けないからね。調べてみないと……」
 カフカとは違い、明るく話をするレイ。パラパラと本をめくりながら歩いていると、二人が歩く向かい側から、おぼつかない足取りの隊員が歩いてきた
「あっ、カフカさん、すみません。少しよろしいですか?」
 隊員が大量に資料を持ちながら、カフカを呼び止めると、二人で何やら仕事の話をはじめた
「すまないな。レイ。話の続きはまた後でな」
 と、持っていた資料を全て受け取り、話をしながらレイから離れていく。その後ろ姿に手を降り見送ると、持っていた本を見つめ、パタンと閉じるとふぅ。と一つため息をついた
「それにしても、幸せになるために無理矢理変えた運命か。良いことか悪いか、やっと知れるのか……」
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