こねくとノイズ

シャオえる

文字の大きさ
7 / 86

7. 思いは互いに違えど

しおりを挟む
「この資料は読みましたか?」
「……はい。たぶん」
「ふむ。ではこれは……」
 たくさん積まれた資料の中から数枚の紙を引き抜いてサクラに手渡すオンプ。バサバサとたくさんの資料がテーブルから落ちているのにも気にせず、サクラをじーっと見つめる。その視線にサクラが焦り、資料を適当に読んでいいる
「まだまだ時間がかかりそうね」
「まあ、あの量だしね」
 サクラとオンプを見ながらクスクスと笑ってメメに答えるノイズ。終わりの見えない資料の束を見て、メメがはぁ。とため息をついた
「そろそろノオトのところに行ってくるわ。後で一緒に来るから」
「了解、それまでに終わっていると良いけどね」
 うーんと背伸びをするメメにノイズが返事をすると、スタスタと歩くメメ。サクラが気づいてメメを見た時、ふとメメの姿が消えて何処かへ行ってしまった






「ノオト、いる?」
 メメが着いた先には、とある部屋でノオトが本棚の前に立ち本を読んでいた。メメの声に気づいたノオトがパタンと本を閉じ、机に飛び乗るメメを見て、側にある椅子に座りメメの背中を撫でた
「メメ、遅かったね。何かあったの?」
「まあ、色々ね。本当、ノイズは面倒を持ち込むのは得意ね」
 メメが少し呆れたように話した内容を聞いて、ノオトが何かを考え込むような顔をする
「あのサクラっていう子に何かあったの?」
「受付につかまっているわ。色々説明を受けているけど、あの様子では、頭に何一つ入ってなさそうね」
「そう、この世界に来たの」
「ノイズが無理やりにね」
 と、メメが言うと会話を終え、椅子から立ち上がるノオト。ソファーに置いていた上着を取り着けた

「メメ、ご飯は?」
「サクラのお家で食べたわ。あの世界のご飯もなかなか美味しいのね」
「そう」
 と、メメの返事を聞いてすぐ、ノオトのお腹がぐぅ。と鳴った。メメは聞こえていないのか、机の上でうーんと背伸びをしている。そんなメメをノオトがぎゅっと抱きしめた
「行きましょうか。受付でいいの?」
「ええ、あの子がまだ資料を読んでいればね」



「うーん、意味は分かりました……。けど……私なんかに出来ますか?」
「出来る出来る。本もサクラの事を気に入っているし、大丈夫」
「でも……」
 その頃、資料を一通り読み終えたサクラがノイズから預かった本を抱きしめ不安そうにうつ向いていた。そんなサクラを励ますように、ノイズが微笑み頭を撫でている
「ノイズ、読み終えたの?」
 と、ノオトに抱きしめられてきたメメがノイズに声をかけると、ノオトが本を抱きしめうつ向くサクラを見て、ふぅ。とため息をついた
「ノオトからも言ってよ、サクラなら大丈夫だって」
「そうは言っても、彼女には昨日の今日でしょ。すぐに良いとはならないわよ」
 と、ノイズの言葉に呆れたように返事をすると、サクラの前に立ったノイズ。サクラの顔を見つめると恐る恐る顔を上げたサクラの目の前にノオトの顔がすぐ目の前にあり、少し垂れた髪と共に思わずその顔を見つめてしまった

「サクラ」
「はっ、はい!」
 すぐ近くから聞こえたノオトの声に、我に返ったサクラが少し声が裏返りつつ返事をする。その様子に、メメがクスっと笑いながらサクラの膝の上に乗り座った
「ノイズに無理やり連れてこられて可哀想ね」
 と、サクラを見ながら呟くノオト。その言葉にサクラはエヘヘと苦笑いをして、ノイズはちょっと不満そうにムッと顔を膨らませる
「可哀想って……ひどい」
 そう呟いたノイズの言葉が聞こえたサクラがそれを否定するように何度も顔を横に振る
「いえ。とても不思議な世界を見ているみたいで私は……」
「不思議ねぇ」
 と、サクラの言葉にノオトがそう呟くと、メメがノイズ肩の上に飛び乗ったその時、受付に戻っていたオンプが紙を一枚持ってサクラ達の方へと走ってやって来た
「サクラさん、この書類にお名前書いてください。書いたらノイズさん達と行っても大丈夫ですよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...