こねくとノイズ

シャオえる

文字の大きさ
28 / 86

28. いつもと違う音に気づいたら

しおりを挟む
「えーっと、あの本ですか?あの本は記録に残していましたっけ?」
「……たぶん。かなり昔に」
 エヘヘと苦笑いで返事をするノイズの前に、オンプが困った顔で大量の本や紙をふわふわと浮かべている。記録を探そうと更に量を増やし、オンプの姿が段々と見えなくなってきた
「かなり前なんですか?うーん……。ちょっと大変そうだけど探してみますね、待ってて下さい」
「ごめんね、ありがとう」
 本や紙に埋もれ見えなくなったオンプにお礼を言うと、少し離れた所にあるソファーにノオトと一緒に座ると、ノイズがはぁ。と一つため息をついた
「あーあ、お母様に怒られるなぁ……」
 そう言いながら、うーんと背伸びをして辺りを見渡すと、たくさん人達が忙しそうに動き回っている。その中に学園の知り合いを見つけ手を振ると、気づいた知り合いも手を振り返しニコッと微笑み、ノイズもエヘヘと笑うと、ふと隣にいるノオトが動いてないのに気づいて振り向くと、メメを膝に乗せ背中を撫でながらボーッとしていた
「ノオト、大丈夫?」
 ノイズが心配そうに声をかけると、一瞬ハッとした顔になったかと思えばノイズを見てすぐフフッと笑った
「ちょっと疲れた……かな」
「ごめんね、色々巻き込んだかも」
「それは昔から」
「えー、そうかなー」
 二人が楽しく話しているとメメを撫でていた手が止まっていたのか、ノオトの手に顔を刷り寄せる。気づいたノオトがまた背中を撫で、ノイズがメメの顔を撫でていると、オンプがバタバタと足音をたててやって来た
「ノイズさん、本の記録を探すのに、まだまだ時間がかかりそうです。また後で来てくれると助かります」
「そっか、じゃあまた来るよ」
 オンプの報告を聞いて立ち上がるノイズ。ノオトも立ち上がると、まだ撫でほしそうなメメは不満そうにノオトの肩に乗る。




「寝みぃ……。ちょっと起こすの早すぎるんじゃない?」
「いつも起きるのが遅いから、ちょうどいいんじゃいの?」
 サクラが寝て少し経った頃、サクラを襲った女の子が大きなアクビをしながら珈琲を淹れていた女の人に話しかけていた
「そういえばノイズの家にいたアイツ誰?」
 目を擦りながら、またアクビをしながら飲み物を飲もうと冷蔵庫を開け中を見渡すが、目当ての物は見当たらず、少ししょんぼりしながら冷蔵庫の扉を閉めると、珈琲を淹れていた女の人がクスッと笑いながら目当ての飲み物を手渡した
「あの子のことはノイズに聞けば分かるんじゃないかな」
「……聞く気ない」
 飲み物をグイッと一気に口に入れたその時、二人の側にトンっと小さな音が聞こえた
「あの子はサクラよ」
 突然聞こえた声に飲み物がむせて咳きこんだ。ゲホゲホと咳き込む女の子の背中を優しく擦り、声のする方をみると、用意していたお菓子を頬張るリリがいた
「げっ、リリ……」
「珍しいね、何しに来たの?」
 クッキーのおかわりを食べようとしているリリに声をかける二人。お菓子を口一杯に入れながらリリがクスッと笑って二人の方に振り向いた
「ちょっと二人に忠告をしに来たのよ。だから、お茶の用意をしてくれる?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...