こねくとノイズ

シャオえる

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46. 迷いなく行けるように

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「あの、リリさん。私も行くんですか?」
「もちろんよ。あなたも一緒じゃなきゃ意味がないわ」
 ノイズの家の玄関先で不安そうなサクラとリリが話をしていると、長堂玄関から出てきたリディがサクラの不安そうに話す声を聞いて、腕をグイッと強く引っ張った
「ノイズに何かしたのか?もしかして、怪我でもさせたのか?」
「いえ……、えっと、私はなにも……」
 リディに睨まれ戸惑い返事が出来ずにいると、サクラの腕をつかむリディの手が強くなっていく。そんな二人の様子を見ているミクがフフッと笑った
「喧嘩したり怪我の心配をしたり、本当リディはノイズが好きなのね」
「違う!戦う相手が居なくなったら困るから!それで!」
 腕をつかんだまま慌てて否定するリディ。あたふたする姿を見てミクがまたフフッと楽しそうに笑っていると、リリがリディにつかまれている方の肩に座るように乗った
「無駄話をしている暇はないのよ。二人はさっさと向かいなさい」
「えー、絶対行くの?」
「ご飯を食べたでしょう?さっさと行きなさい」
 嫌そうなリディにフフッと笑いながら言い返すリリ。それを見てムッとした顔でサクラの腕を振り払うように離した
「ミク、行こっ」
 サクラを見ることなく、トンっと地面を蹴る音をたてて空を飛ぶ。すぐに姿が小さく見えなくなっていくリディの後を、ミクが置いていかれないよう空を飛び後を追う



「じゃあ、私達も行きましょうか」
 二人の姿が見えなくなり、リリがサクラの肩を足でポンッと軽く踏みながら言うが、リディとミクが飛んでいった様子を見てサクラの不安が増えていた
「私達もって言われても私は……」
「モモがいるでしょう?使い方も分かるんだから、早くしなさい」
 サクラの周りでグルグルと動くモモを見て、小さく顔を横に振りうつ向いてしまった。不安そうに見ている家政婦達。リリも、はぁ。とため息をついて、サクラの肩からトンっと離れふわりと浮かぶと、本が一冊現れた。その本がパラパラとページがめくられ、開いたページから小さな光が現れ、その光の中から、施設で慌ただしく動くオンプと一息つこうとお茶飲もうとしていたリズムの姿が現れた
「オンプ。リズムと一緒に急いで来なさい」
「了解です!」
 ビシッと敬礼をして姿を消したオンプ。本もゆっくりと閉じられると、すぐサクラの前にオンプとお茶が飲めず少し落ち込むリズムが現れた
「お疲れ様です、リリさん。ご用はなんでしょうか?」
「サクラをノイズ達のところへ送ってあげて」
「それは構いませんが、大丈夫ですか?」
 リリに返事をしながらオンプがちらりとサクラを見る。その視線から外れるようにサクラが少しうつむくと、リリがまたサクラの頭に乗り、ポンッと少し強めに頭を叩いた
「構わないわ。それより、先に向かっているリディとミクより早く送り届けて」
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