こねくとノイズ

62. 紅茶の香りに誘われて

「ソナタさん、ノイズさんが動いたようですよ」
　ノイズがサクラを抱きしめたその時、ソナタがいる施設の一室では、オンプが険しい顔をして地面に置かれた大きな本を見ていた
「あら、意外と早かったわね。サクラちゃんの様子は？」
「今のところ変化はないです。ノイズさんもソナタさんの結界にも気づいていないようなので、無事だと思います」
　オンプの話を聞きながらソナタも本を見る。大きな本のページにはサクラを抱きしめるノイズとそれを見つめるノオトが映っていた
「とりあえず様子見ね。もし気づかれたら呼んでね」
「えっ、助けに行かなくて大丈夫ですか？」
「ノオトもいるし大丈夫よ。それより仕事が溜まっているのよ。一通り終わったら聞きに来るから」
　そう言うとリリと一緒に部屋を出たソナタ。それと行き違いでリズムが部屋に入ってきた

「ノイズさんの術はどうなっている？助けが要りそう？」
　用意していた紅茶を淹れ一休みしようとしていたオンプの隣に来ると、オンプが読もうとしていた本を見つけ、リズムがふむふむと読み始めると部屋の片隅にテーブルと椅子を二脚現れた
「時を止める最低限の魔力を使っているみたいで、公園の近辺は特に変化無しだから、今無理に動いたら気づかれる可能性があるから、今は一旦様子見中」
　リズムの分の紅茶を淹れながら答えると、リズムは本の中を見てノイズ達の様子を見ている
「じゃあ今のうち、リディさんとミクさんを呼んでおく？」
「うーん、あまり二人には……」
　カチャンと紅茶を淹れたティーカップをテーブルに置きながらリズムに返事をすると、ティーカップの前に突然メメが現れた
「メメさん！なんでここに？」
　オンプの驚いた声でリズムが振り向くと、オンプがテーブルに置いたお菓子を見つけたメメが大きく口を開けて食べようとしていた
「ノオトにここに避難するように言われたの。私は一度、サクラの術の中にいたからね。何かあればすぐに助けてくれるだろうってね」
「さすがノオトさん。それは懸命な判断です」
　そう言うとメメの分の紅茶も淹れるためテーブルから離れるオンプ。メメもお菓子を一つ持ちながら、大きな本を見るリズムの隣に来て、ノオト達の様子を見ると、ノイズがサクラを抱きしめたままモモを開いた状態で手に持っていた
「動きがあるかもしれません。気づかれないように、静かにしてください」