こねくとノイズ

シャオえる

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82. 逃げ続けた先に見えたもの

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「待って、モモを助けないと!」
「今はムリ。逃げるしかないよ」
「でも……」
「モモはソナタさんにどうにかしてもらうから大丈夫だよ。それよりも魔法の使い方をあまり知らないサクラは、身の安全を守らないとね」
 女の子に引っ張られ真っ白な視界の中、飛んだり走ったりを繰り返し続けたサクラ。ふと、振り返ってみると、いつの間にかノイズの姿は見えなくなっていた
「ノイズ……」
 振り返ったままサクラが呟いたその時、少し熱い風が吹いて、走っていた女の子が立ち止まる。引っ張られていたサクラも立ち止まり、女の子の顔をみよう少し体を動かすと、サクラの横を小さな炎の塊が横を通りすぎた
「ほらー、言わんこっちゃない」
 女の子がため息混じりにサクラの髪が燃えていないか触さわり、その間サクラは両手をぎゅっとつかんで少しうつ向いた
「ノイズとモモはどうして……」
「だって魔力も術も本も奪われたんだよ。奪った人を狙うのは当然だよ」
「私そんなつもりは……」
「ノイズもそんなつもりはないとは思うけどね」
 辺りを見渡しながら女の子がそうサクラに言うと、サクラ達が来た方から人影が見えて、女の子がサクラの頬を軽くつまんだ
「それより、あの魔力を止めるために、私の主には頑張って貰わなきゃね」
「魔力を止める?」
「そう。でもその前に私の名前を呼んでほしいの。早く決めて」
「名前って言っても……」
「モモはダメ。というかそのせいで厄介なことにもなったんだから」
 ノイズとモモの姿が見えてきて、女の子がまたサクラの腕を引っ張りノイズから離れるために飛びはじめ、小さくなっていくノイズの姿をサクラが見ていると、女の子とは違う声が微かに聞こえて、キョロキョロと辺りを見渡してみるが、サクラと女の子以外の姿は見当たらず女の子の背中をポンポンと叩いた
「ねえ、声が聞こえる!ノイズの声と思う。止まって!」
「えー、聞こえないよ、気のせいじゃない?」
「でも確かに、あの時のうた声が……」
 サクラの声も気にせず、どんどん飛んで進んでいく女の子。サクラがもう一度背中を叩いたその時、突然女の子が立ち止まり、女の子背中にサクラの顔が当たった
「どうしたの?」
 顔を擦りながら女の子に声をかけると、二人の前に、燃えたはずのモモを手に持ち術を唱えようとしているノイズが立っていた
「お母様のためなの。だから私がもう少し頑張らないと……」
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