4 / 4
4. トンっと落ちた忘れ物
しおりを挟む
学校の帰り道、ボーッと歩く悠の隣で怜が色々と話しかけている。なんとなく適当に返事をしながら、トボトボと歩いていると怜がため息混じりに肩にポンッと手を置いた
「おい、悠。今度はなに見ているだ?」
「特になにも見てないけど……」
「今日も雨が降らないかなとか思うなよ。また濡れて帰るはめになるんだから」
「ああ分かってるよ」
返事をしながら、ふと空を見上げる。今は雲一つない快晴で、夕暮れが近い時間になっても日差しが眩しく少し目を閉じた
「なぁ、怜は夢を見るのか?」
悠が小声で問いかけると怜が首をかしげながら悠の顔を見た
「夢?寝ているときに見るやつか?」
「まあ、そんな感じの」
「いや、全く。仮に見てたとしても覚えてない」
「そっか。まあそうだよな」
怜の返事を聞いて、悠も素っ気なく返事をしてスタスタと歩きだす。追い抜かれた怜が慌てて悠のあとを追いかけながら戸惑いつつ声をかけた
「なに、なんか夢でも見たのか?」
少し顔をにやつかせながら聞く怜。悠はその話しに返事せずに歩き続ける
「嫌な夢か?良い夢とか?」
「良い夢といえばそうかな……」
「なんだ、教えろ……」
怜が悠の左腕にトンっと軽く肘打ちしながら話しかけた時、突然悠が歩くのを止め、道路の向こう側を見ていた
「あの人……」
「ん?なんだ?」
怜も足を止め悠が見る先を見ると、前に見た公園に一人また同じように傘をさした女性が一人立っていた
「やっぱり似てる……」
「似てる?誰に?」
怜が悠の呟いた声を聞いて不思議そうに聞くと、女性がこちらに振り向いた
「あの人……」
二人と目が合った女性が驚きつつ呟く。抱きしめている子猫が上を向き、にゃあ。と一つ鳴いて、ジタバタと動きだした
「まって、急に動かないで……」
慌てて子猫を落ち着かせようとして、持っていた傘が地面に落ちた。トンっと落ちた音に驚いた子猫が女性の腕からすり抜け走って逃げた
「あっ、ゆう……」
逃げていく子猫に手を伸ばし声をかけるが、子猫はあっという間に草むらに隠れ消えていった。女性が子猫が走っていた草むらの方を見てしょんぼりとしていると、そばに落ちたはずの傘が突然視界から消えた
「あの……すみません、この傘……」
聞こえてきた声に驚いて振り向くと、悠と目が合った
「もしかして夢で……」
「いえ、たぶん違います!」
そう悠が問いかけると、大きな声で否定すると同時に女性が子猫が走って逃げた草むらの方にバタバタと走っていった
「なんだ悠、知り合いか?」
「いや、知り合いとかでは……」
後から追いかけてきた怜に返事をしながら渡しそびれた傘を見た後、グッと傘を強くつかんで女性が走り去った方を見た
「おい、悠。今度はなに見ているだ?」
「特になにも見てないけど……」
「今日も雨が降らないかなとか思うなよ。また濡れて帰るはめになるんだから」
「ああ分かってるよ」
返事をしながら、ふと空を見上げる。今は雲一つない快晴で、夕暮れが近い時間になっても日差しが眩しく少し目を閉じた
「なぁ、怜は夢を見るのか?」
悠が小声で問いかけると怜が首をかしげながら悠の顔を見た
「夢?寝ているときに見るやつか?」
「まあ、そんな感じの」
「いや、全く。仮に見てたとしても覚えてない」
「そっか。まあそうだよな」
怜の返事を聞いて、悠も素っ気なく返事をしてスタスタと歩きだす。追い抜かれた怜が慌てて悠のあとを追いかけながら戸惑いつつ声をかけた
「なに、なんか夢でも見たのか?」
少し顔をにやつかせながら聞く怜。悠はその話しに返事せずに歩き続ける
「嫌な夢か?良い夢とか?」
「良い夢といえばそうかな……」
「なんだ、教えろ……」
怜が悠の左腕にトンっと軽く肘打ちしながら話しかけた時、突然悠が歩くのを止め、道路の向こう側を見ていた
「あの人……」
「ん?なんだ?」
怜も足を止め悠が見る先を見ると、前に見た公園に一人また同じように傘をさした女性が一人立っていた
「やっぱり似てる……」
「似てる?誰に?」
怜が悠の呟いた声を聞いて不思議そうに聞くと、女性がこちらに振り向いた
「あの人……」
二人と目が合った女性が驚きつつ呟く。抱きしめている子猫が上を向き、にゃあ。と一つ鳴いて、ジタバタと動きだした
「まって、急に動かないで……」
慌てて子猫を落ち着かせようとして、持っていた傘が地面に落ちた。トンっと落ちた音に驚いた子猫が女性の腕からすり抜け走って逃げた
「あっ、ゆう……」
逃げていく子猫に手を伸ばし声をかけるが、子猫はあっという間に草むらに隠れ消えていった。女性が子猫が走っていた草むらの方を見てしょんぼりとしていると、そばに落ちたはずの傘が突然視界から消えた
「あの……すみません、この傘……」
聞こえてきた声に驚いて振り向くと、悠と目が合った
「もしかして夢で……」
「いえ、たぶん違います!」
そう悠が問いかけると、大きな声で否定すると同時に女性が子猫が走って逃げた草むらの方にバタバタと走っていった
「なんだ悠、知り合いか?」
「いや、知り合いとかでは……」
後から追いかけてきた怜に返事をしながら渡しそびれた傘を見た後、グッと傘を強くつかんで女性が走り去った方を見た
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる