ツイングリッター

シャオえる

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1. 剣が見つめる先

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 プリュエル王国という辺りは自然に囲まれた村にあるディオロイ城の大広間で白髪で長髪の一人の少女が黒髪で髪の短い少女に剣を向けていた
「シャーロット様、お止めください」
「今すぐ剣を納めてください」
 二人の周りにいる大人達があわてふためく。騒がし周りを余所に二人は黙って見つめ合う
「あなた、名前は?」
 険しい顔で向かいに座る人にシャーロットが剣先を向けたまま問いかける。だが、黒髪の少女は答えることなくシャーロットを睨む
「言葉がわからないの?それとも言えない理由があるの?」
 再び問いかけると、剣を持つ右手に力が入る。少し剣先が動いて黒髪の少女に近づく
「シャーロット様」
「わかってます。とりあえずこいつを牢屋に」
 再び名前を呼ばれ、剣を鞘に収め黒髪の少女に背を向ける。二人を見ていた女性メイドが黒髪の少女に駆け寄り、男性達が少女達を部屋の入り口に誘導
するように少女達の前を歩く。大広間の騒がしさが廊下に代わり、シャーロットのため息が大広間に微かに響く
「気分が悪い」
 少し廊下の方に顔を向けながら呟く。廊下の騒がしさが落ち着き、大広間にコツコツと歩く足音がシャーロットへ近づく足音が聞こえてきた
「シャーロット」
 腰まである長い黒髪の男性がシャーロットを呼ぶ。その声に驚いたシャーロットが振り向いて男性を見ると、顔を背けるように何度か顔を横に振る
「お、お父様……その……」
「少々、行儀が悪いみたいだね。少し控えるように」
「はい。ごめんなさい……」
 男性に注意されて、しょんぼりとうつむいたシャーロット。その頭に手をポンッと優しくおいて優しく撫でる。シャーロットが男性の顔に目線を向けると、近くにいた男性が二人に駆け寄ってきた
「クローム様、お時間が……」
「えっ。お父様、出掛けるの?」
「ああ、ここ最近町が不穏らしくてね」
 そう返事をすると、シャーロットが落ち込む前にまた髪を優しくなでた
「シャーロット、いい子でね」
 そう言うと部下達を引き連れ大広間を出ていったクローム。廊下を歩く音も遠くなり、一人大広間に残ったシャーロットがふと大広間にある大きな窓から見える牢屋を見て部屋を後にした



「はあ……。ここ、空気が悪いし、気分が悪い……」
 一方その頃、ディオロイ城の離れにある牢屋に閉じ込められた黒髪の少女がうーんと背伸びをして牢屋の中を見渡していた
「逃げらんないの?ここ」
 ため息混じりに呟くと、ふと目線を上に向けると格子がついた窓代わりの四角いを見つけた。手を伸ばして何度か飛んで届くか確認するが、全く届かずまたため息をついた
「届かないじゃん。めんどくさい」
「あら、口が悪いのね」
 と、牢屋の入り口の格子越しからシャーロットが呆れた様子で黒髪の少女を見ていた
「言葉が通じるなら、さっきの質問さっさと答えなさいよ」
 シャーロットがため息混じりにそう言うと、黒髪の少女がこちらをじっと見つめる。格子越しにシャーロットと目線が合った。少女からの目線を反らすように近くにいた家政婦が持っている砂糖がかかっている丸いパンを一つ手に取り、黒髪の少女に差し出した
「ここでパンを食べれるだけでも感謝しなさいよ」
 シャーロットの言葉を聞いてパンを受け取り、じっと見つめると、目線を合わせないように顔を横に向けるシャーロットを見た
「ねえ、あのさ」
「……なによ」
「無理にそんな話し方しなくてもよくない?私のそっくりさん」
「そっくりさん!?」
 少女の発言に苛ついたシャーロットが少女を指差し言葉強めに言い返す。騒ぐシャーロットを家政婦達が落ち着かせようと慌てる中、少女はパンを頬張る
「ここにいると気分が悪いわ。もう行きましょう」
「あっ、ちょっと待って」
 帰ろうと振り向いたところを呼び止められ少女に目を向けると、もうパンをあと一口で食べ終えるところだった
「パンおかわり」
 最後の一口を食べきって、シャーロットにお願いする少女。その態度に再び苛立ったシャーロットの顔が段々と赤くなっていく
「おかわりなんてないわよ、絶対にあげない!」
 大声でそう言うと、入り口の方へと向かっていったシャーロット。その後を家政婦達が慌てて追いかける。牢屋の外に出たシャーロットの怒りの声が聞こえる中、牢屋の扉が閉ざされた
「残念、あのパン美味しかったのに……」
 牢屋に一人残された少女残念そうに呟くと、格子についた鍵を見つけて、頭をポンポンと軽く叩く
「えーと、鍵を壊す魔術なんてあったかな……」
 髪を一度グシャグシャと掻いて、部屋の出入り口の扉に触れると、カシャンと鍵が開く音が牢屋に響いた。扉を開け廊下に出ると、シャーロット達が入ってきた扉のドアノブに手を掛けた。またカシャンと鍵の開く音が響き、続いて扉の開く音が聞こえた。外に出て数歩進み、木々に囲まれた牢屋を見た後、ディオロイ城も見てふとシャーロットの事を思いだしてフフッと一人笑った
「また後でね、シャーロット様」
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