3 / 62
3. 誰にも気づかれないように
しおりを挟む
ログとフランと別れた後、寄り道をすることなく真っ直ぐ家に帰ったマオ。家の前に着くとふぅ。と一つ深呼吸をして、玄関の扉を開けるとすぐ美味しそうな匂いが漂ってきた
「あらマオ、お帰り。学園はどうだった?」
リビングに行くと、キッチンでマオの母親が夕御飯の用意をしていた
「なかなか良い感じ。何名か友達も出来たよ」
「そう、それなら良かったわ」
手際よく夕御飯を作るマオの母親のカナリヤの後ろ姿を見ながら、テーブルに置かれていたお菓子を手に取り頬張ると、ふと家がいつもより静かな気がしてリビングを見渡した
「そういえばミオは?」
「まだ学園。授業で遅くなるってさっき連絡が来たよ」
「へー、登校初日から大変だね」
「そうね。マオもたくさん勉強をして転校出来るように頑張りなさい」
カナリヤの話を聞きながらお菓子を食べきったマオ。返事をすることなく、次のお菓子を取り一口食べるとキッチンから出て玄関の方へと歩き、扉を開けてキッチンに向かって大声を出した
「お母さん、ちょっと出掛けてくる」
「マオ、ちゃんと夕御飯までには帰ってくるのよ!」
そうカナリヤが叫んでもマオからの返事はなく、その代わりにバタンと玄関の扉が強く閉まる音がキッチンまで聞こえてきた
「ご主人様、今日は何を食べましょうか」
一方その頃、家に帰る前にグレニア学園の近くにある街をのんびり歩いていたログとフラン。ミオに会ってからまだご機嫌なフランに対し、いつもより少し人が多い町並みにログがげんなりしながらフランに返事をした
「別に何でもいい」
「何でもはダメです。ちゃんと栄養を取って食べないと魔力にも魔術にも影響しますよ」
フランが肩に乗っていたのを頭の上に移動しながらちょっと怒った声でログに話していると、突然立ち止まり横を向いた
「どうしましたか?」
フランもログが見ている先を見る。二人の視線の先に大きな木々がたくさんある公園があった。ログがその公園に近づいてみると、公園内の広場でのんびりと過ごす人達とは離れた場所にある小さな広場でマオを見つけた
「マオさんですね。なにをしているのでしょうか」
「さあ」
二人が近くにあった木に隠れつつマオの様子を見る中、ふぅ。と深呼吸をしたマオの足元にある草花がユラユラと風に揺れ、マオがもう一度深呼吸をした
「なかなかの魔術ですね」
「ああ、今の学園じゃなくても大丈夫そうな魔術だな」
「そうですね。最下位の学園に来るとは思えません」
「まあ、飛行魔術はいまいちそうだったけど」
「それはご主人様が言っても大丈夫ですか?」
休む間もなく次々に魔術を唱えるマオを見ながら二人がヒソヒソと話をする。しばらくすると、マオの魔術に気づいた人達が立ち止まり、マオの魔術を見ている。数分程、休まず魔術を使ったマオは疲れた様子でふぅ。と深呼吸をすると、魔術を見ていた人達もいつの間にか帰って、いつもの広場に戻っていた。
「……よし」
深呼吸を終えたマオがトンっと軽く地面を蹴るとふわりと空を飛びあっという間にログとフランがいる木よりも高く飛び、公園を後にした
「マオさん、帰るんですかね?」
「もう遅いからな。ボクたちもそろそろ帰ろう」
「はい。もう帰りましょう」
マオが帰っていた方角とは反対の道を歩きだしたログ。フランがログの肩に乗り、少し振り向いてマオの姿が見えないかと空を見上げた
「私、ミオよりは魔力も魔術もあるつもりだけどな……」
その頃、家に帰るため空を飛ぶマオは、広場で練習をしていた光景を思いだしていた。少し疲れたのか時折ため息をつきながら、目を閉じ魔術の確認をすると、グレニア学園がある方角を向いて、グッと一つ息をのんだ
「大丈夫、ミオには負けない。魔術ランク最下位の学園にいる私が負けるもんか」
「あらマオ、お帰り。学園はどうだった?」
リビングに行くと、キッチンでマオの母親が夕御飯の用意をしていた
「なかなか良い感じ。何名か友達も出来たよ」
「そう、それなら良かったわ」
手際よく夕御飯を作るマオの母親のカナリヤの後ろ姿を見ながら、テーブルに置かれていたお菓子を手に取り頬張ると、ふと家がいつもより静かな気がしてリビングを見渡した
「そういえばミオは?」
「まだ学園。授業で遅くなるってさっき連絡が来たよ」
「へー、登校初日から大変だね」
「そうね。マオもたくさん勉強をして転校出来るように頑張りなさい」
カナリヤの話を聞きながらお菓子を食べきったマオ。返事をすることなく、次のお菓子を取り一口食べるとキッチンから出て玄関の方へと歩き、扉を開けてキッチンに向かって大声を出した
「お母さん、ちょっと出掛けてくる」
「マオ、ちゃんと夕御飯までには帰ってくるのよ!」
そうカナリヤが叫んでもマオからの返事はなく、その代わりにバタンと玄関の扉が強く閉まる音がキッチンまで聞こえてきた
「ご主人様、今日は何を食べましょうか」
一方その頃、家に帰る前にグレニア学園の近くにある街をのんびり歩いていたログとフラン。ミオに会ってからまだご機嫌なフランに対し、いつもより少し人が多い町並みにログがげんなりしながらフランに返事をした
「別に何でもいい」
「何でもはダメです。ちゃんと栄養を取って食べないと魔力にも魔術にも影響しますよ」
フランが肩に乗っていたのを頭の上に移動しながらちょっと怒った声でログに話していると、突然立ち止まり横を向いた
「どうしましたか?」
フランもログが見ている先を見る。二人の視線の先に大きな木々がたくさんある公園があった。ログがその公園に近づいてみると、公園内の広場でのんびりと過ごす人達とは離れた場所にある小さな広場でマオを見つけた
「マオさんですね。なにをしているのでしょうか」
「さあ」
二人が近くにあった木に隠れつつマオの様子を見る中、ふぅ。と深呼吸をしたマオの足元にある草花がユラユラと風に揺れ、マオがもう一度深呼吸をした
「なかなかの魔術ですね」
「ああ、今の学園じゃなくても大丈夫そうな魔術だな」
「そうですね。最下位の学園に来るとは思えません」
「まあ、飛行魔術はいまいちそうだったけど」
「それはご主人様が言っても大丈夫ですか?」
休む間もなく次々に魔術を唱えるマオを見ながら二人がヒソヒソと話をする。しばらくすると、マオの魔術に気づいた人達が立ち止まり、マオの魔術を見ている。数分程、休まず魔術を使ったマオは疲れた様子でふぅ。と深呼吸をすると、魔術を見ていた人達もいつの間にか帰って、いつもの広場に戻っていた。
「……よし」
深呼吸を終えたマオがトンっと軽く地面を蹴るとふわりと空を飛びあっという間にログとフランがいる木よりも高く飛び、公園を後にした
「マオさん、帰るんですかね?」
「もう遅いからな。ボクたちもそろそろ帰ろう」
「はい。もう帰りましょう」
マオが帰っていた方角とは反対の道を歩きだしたログ。フランがログの肩に乗り、少し振り向いてマオの姿が見えないかと空を見上げた
「私、ミオよりは魔力も魔術もあるつもりだけどな……」
その頃、家に帰るため空を飛ぶマオは、広場で練習をしていた光景を思いだしていた。少し疲れたのか時折ため息をつきながら、目を閉じ魔術の確認をすると、グレニア学園がある方角を向いて、グッと一つ息をのんだ
「大丈夫、ミオには負けない。魔術ランク最下位の学園にいる私が負けるもんか」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる