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23. 微かな音が大きくなって
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「僕とフランの名前が書いてありますが……」
「そうだね」
「誰が許可したんですか?」
ユグスのいる校長室に呼ばれたログが数枚の紙を見つめため息をついた。フランもログの右肩に座り、その紙を読んで不安そうにしている
「そう怒らないでよ。次の場所を探すまでの暇潰しと思ってくれればいいから」
「目立つことは今はしないと決めています。なので、辞退させてください。もちろんフランも」
ユグスが座る椅子の前に置かれた机の上に持っている紙をバサッと置き、校長室の入り口の方へと歩きだしたログ。その後ろ姿を見ながらユグスが困ったようにふぅ。とため息をつき、椅子に背もたれた
「大会まで日にちもまだあるし、出るかはゆっくり考えていてよ」
ユグスの言葉を聞いてログが少し振り返ると、ユグスがニコッと微笑みヒラヒラと手を振る。それを見たログがまた一つため息をつくと、入り口の扉を開けた
「マオさん」
扉を開けてすぐ右隣に壁に耳を当ていたマオを見つけたフランが声をかけた。ログと目線が合ったマオがエヘヘと苦笑いしながらログに話しかけた
「な、なにを話していたの?」
「聞いていたと思っているけど」
「うん、そう。聞いてた、ごめんね」
マオがいる所とは逆の方にスタスタと廊下を歩きだしたログの後をマオが慌てて追いかける
「別にほら大会に出なくてもさ、この学園を……」
と、マオがログにまた話しかけた時、ログの肩で乗っていたフランが急に廊下の窓の方に移動すると窓をガラッと勢いよく開けた
「フラン、どうしたの?」
マオがフランに声をかけながら窓の方に近づいた時、ふわりとそよ風が吹いて、フランのピンク色の長い髪が揺れた
「またか……」
ログがそうため息混じりに呟くと、フランがマオの手をグイッと引っ張り、窓から離しそのままログの背後まで引っ張られた
「ご主人様、どうしますか?」
「とりあえず様子見だな」
と、二人の会話が終わると同時に、窓の外に小さな魔方陣が一つ現れた
「あの魔方陣……」
マオが現れた魔方陣を見て驚き呟く。その声を聞いたログが少し振り向きため息をついた
「やっぱり知り合いか」
「やっぱりって……」
「魔力も魔方陣もよく似ているからな」
そうログが言った時、窓の外からバサッと鳥の羽根の音が響いた
「フラン、頼んだ」
「了解しました」
マオの側にいたフランがログに返事をすると、窓から外に出て魔方陣に近づく。フランがふぅ。と一つ深呼吸をすると、またピンク色の髪がふわりと揺れフランの足元に小さな魔方陣が現れ、小鳥がまたバサリと翼を広げた
「まって、あの鳥に怪我は……フランも危ないよ」
「あの鳥は魔術で現れている、別に危害は加えないし、フランも大丈夫だ」
「そうかもしれないけれど、それより……」
と、マオがログの服をつかんで言葉強めに言い返そうとした時、ガシャンと硝子が割れる音と共にマオの体にフランが向かってきた
「フラン、大丈夫?」
ぐったりしているフランをぎゅっと抱きしめる。少し頬に傷が付いているのが見えた瞬間、耳元にバサッと鳥が羽根を広げる音が聞こえた
「フラン、起きろ」
今度はログの声が聞こえて、フランがフラフラと体を起こしマオの体を両手で押しログの肩に移動すると頬に手を掛け立った。目の前には飛び散った硝子の破片と、いつの間にか増えていた白い小鳥達が廊下の外に飛んでいた
「頼んだ」
「了解です」
ログに返事をすると、窓の外へとトンっと飛び立つと、たくさんいた白い鳥達がフランに向かって飛んで行く。そのまま屋上の方へと上に向かって飛んで行くフラン。マオが不安そうに一歩踏み出すと落ちた窓の硝子の破片を踏んで足元を見た
「ご主人様、どうにかなりました」
マオが落ちている硝子片を見てすぐ、戻ってきたフランがニコリと微笑み、ログの肩に乗り直すと、騒ぎを聞き付けた生徒や教師達がマオやログの様子を見てヒソヒソと話をしている。ユグスも校長室から出てきて、ログやフランの様子を見ている
「窓は私が術で直すから」
マオがうつ向きながらそう言うと、窓に近づいて術を唱えはじめた。それを見たログは生徒やユグス達が集まっている方へと歩きだした
「フラン、大丈夫か?怪我はないか?」
「ええ。少し怪我をしましたが治しました」
フランの言葉を聞いたマオが術を読むのを止めログとフランに目線を向けた。目線に気づいたのかログも少し振り向いてマオを見た後、ユグスに近づいて他の生徒に聞かれないよう小声でユグスに話しかけた
「しばらくここには来ません」
「わかった。でも面倒は起こさないようにね」
「そうだね」
「誰が許可したんですか?」
ユグスのいる校長室に呼ばれたログが数枚の紙を見つめため息をついた。フランもログの右肩に座り、その紙を読んで不安そうにしている
「そう怒らないでよ。次の場所を探すまでの暇潰しと思ってくれればいいから」
「目立つことは今はしないと決めています。なので、辞退させてください。もちろんフランも」
ユグスが座る椅子の前に置かれた机の上に持っている紙をバサッと置き、校長室の入り口の方へと歩きだしたログ。その後ろ姿を見ながらユグスが困ったようにふぅ。とため息をつき、椅子に背もたれた
「大会まで日にちもまだあるし、出るかはゆっくり考えていてよ」
ユグスの言葉を聞いてログが少し振り返ると、ユグスがニコッと微笑みヒラヒラと手を振る。それを見たログがまた一つため息をつくと、入り口の扉を開けた
「マオさん」
扉を開けてすぐ右隣に壁に耳を当ていたマオを見つけたフランが声をかけた。ログと目線が合ったマオがエヘヘと苦笑いしながらログに話しかけた
「な、なにを話していたの?」
「聞いていたと思っているけど」
「うん、そう。聞いてた、ごめんね」
マオがいる所とは逆の方にスタスタと廊下を歩きだしたログの後をマオが慌てて追いかける
「別にほら大会に出なくてもさ、この学園を……」
と、マオがログにまた話しかけた時、ログの肩で乗っていたフランが急に廊下の窓の方に移動すると窓をガラッと勢いよく開けた
「フラン、どうしたの?」
マオがフランに声をかけながら窓の方に近づいた時、ふわりとそよ風が吹いて、フランのピンク色の長い髪が揺れた
「またか……」
ログがそうため息混じりに呟くと、フランがマオの手をグイッと引っ張り、窓から離しそのままログの背後まで引っ張られた
「ご主人様、どうしますか?」
「とりあえず様子見だな」
と、二人の会話が終わると同時に、窓の外に小さな魔方陣が一つ現れた
「あの魔方陣……」
マオが現れた魔方陣を見て驚き呟く。その声を聞いたログが少し振り向きため息をついた
「やっぱり知り合いか」
「やっぱりって……」
「魔力も魔方陣もよく似ているからな」
そうログが言った時、窓の外からバサッと鳥の羽根の音が響いた
「フラン、頼んだ」
「了解しました」
マオの側にいたフランがログに返事をすると、窓から外に出て魔方陣に近づく。フランがふぅ。と一つ深呼吸をすると、またピンク色の髪がふわりと揺れフランの足元に小さな魔方陣が現れ、小鳥がまたバサリと翼を広げた
「まって、あの鳥に怪我は……フランも危ないよ」
「あの鳥は魔術で現れている、別に危害は加えないし、フランも大丈夫だ」
「そうかもしれないけれど、それより……」
と、マオがログの服をつかんで言葉強めに言い返そうとした時、ガシャンと硝子が割れる音と共にマオの体にフランが向かってきた
「フラン、大丈夫?」
ぐったりしているフランをぎゅっと抱きしめる。少し頬に傷が付いているのが見えた瞬間、耳元にバサッと鳥が羽根を広げる音が聞こえた
「フラン、起きろ」
今度はログの声が聞こえて、フランがフラフラと体を起こしマオの体を両手で押しログの肩に移動すると頬に手を掛け立った。目の前には飛び散った硝子の破片と、いつの間にか増えていた白い小鳥達が廊下の外に飛んでいた
「頼んだ」
「了解です」
ログに返事をすると、窓の外へとトンっと飛び立つと、たくさんいた白い鳥達がフランに向かって飛んで行く。そのまま屋上の方へと上に向かって飛んで行くフラン。マオが不安そうに一歩踏み出すと落ちた窓の硝子の破片を踏んで足元を見た
「ご主人様、どうにかなりました」
マオが落ちている硝子片を見てすぐ、戻ってきたフランがニコリと微笑み、ログの肩に乗り直すと、騒ぎを聞き付けた生徒や教師達がマオやログの様子を見てヒソヒソと話をしている。ユグスも校長室から出てきて、ログやフランの様子を見ている
「窓は私が術で直すから」
マオがうつ向きながらそう言うと、窓に近づいて術を唱えはじめた。それを見たログは生徒やユグス達が集まっている方へと歩きだした
「フラン、大丈夫か?怪我はないか?」
「ええ。少し怪我をしましたが治しました」
フランの言葉を聞いたマオが術を読むのを止めログとフランに目線を向けた。目線に気づいたのかログも少し振り向いてマオを見た後、ユグスに近づいて他の生徒に聞かれないよう小声でユグスに話しかけた
「しばらくここには来ません」
「わかった。でも面倒は起こさないようにね」
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