ウィッチクラフトあんどログ

シャオえる

文字の大きさ
45 / 62

44. 楽しみなわけ

しおりを挟む
「マオさん、今日は来るのが遅かったですね」
「うん、ちょっとみんなとお喋りしてて。ごめんね」
「いえ来てくれたので嬉しいです」
 フラがマオの肩に乗りニコニコと嬉しそうに話し合う二人の少し後ろをついていくログをマオが時折チラチラと振り返って様子を見る
「でも、遅くなったし今日は練習出来ないかな」
「そうですね、今日は練習の息抜きということでお休みにしましょう」
 と、フランの話を聞きながら、また少し振り返りログを見ると、少し後ろにいたはずのログが大分遠く離れて立ち止まっていた
「どうしたの?」
 慌てて駆け寄り声をかける。マオの肩に乗っていたフランもログの側に移動して首をかしげた
「魔術を感じる」
 そうログが言うと、フランが辺りを見渡しはじめた
「魔術?私にはなにも……」
 二人の様子を見てマオも辺りをキョロキョロと見渡すが、特に変わった様子もなく険しい顔をしているログとフランを見て首をかしげた
「家の窓を開けっぱなしにしましたか?」
「そうだとしても、ここまで魔術は……それに」
 そう言うとログが目線をマオに向けた。目線があったマオが一瞬ビクッと驚いて、フランが心配そうにマオを見る
「こっちからだ」
 向かっていたお菓子屋とは方とは別の道へと歩きだしたログ。スタスタと歩くその後ろをマオとフランが追いかける。途中、マオがログに声をかけても返事はこないまま歩き続けていると、ふわりとそよ風ぎ吹いて、フランの長いピンクの髪がマオの顔の前で揺れた

「あれ、ミオ……?」
 フランの髪を避けようと顔を横に向けた時、マオがポツリと呟く。ログが声に気づき、立ち止まり動かないマオの隣に来ると、二人が見える先にある小さな公園で、落ち葉がヒラヒラと舞う中に、地面から少し浮かんで一枚の紙を手に持って読んでいるミオがいた
「あの方は、マオさんのご姉妹ですね」
「ああ……。この前の……」
「でもなんでマオさんが練習していたあの魔術を?」
「ミオに本が見つかって読まれちゃって。楽しみにしててって言ってたけれど……。こんな所で練習なんて」
 フランに返事をしながら、だんだんと声が小さくうつ向いて困ったように笑う。二人の話を聞きながら、ミオの様子をを見ていたログの肩にフランが座った
「フラン」
「ええ、大丈夫です。お菓子と紅茶はマオさんと買ってきますね」
「買いすぎないようにな」
「それは約束できません」
 ニコニコと微笑み返事をするフラン。ログが困ったようにため息をついて、歩いてきた道を戻るように歩きだし、フランは座っていたログの肩から離れ、マオの耳元に来てヒソヒソと話しはじめた
「マオさん、たくさん買っても良いみたいなので、魔術に気づかれないように行きましょう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

処理中です...