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48. また出会えるように
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「さすが一番の魔術師ですね」
ノエルが魔術を唱え続け、魔方陣が大きく広がっていく。ノエルの魔方陣から眩い光とそよ風が吹いて、アオイが少し目を細め髪がなびく
「ありがとう。でも私が一番なのは今だけだけどね」
「いえ、これからもきっと一番です」
ノエルの言葉にアオイがニコリと微笑み返事をする。ノエルがその言葉を聞いた後、魔方陣の真ん中で空を見上げるように倒れ、そっと目を閉じた
「あの姿はたぶんノエルさんですよね。いったい何を……」
その頃、地上から二人の動きを見ているメアの部下達は、広がっていく魔方陣に怯えていた。メアだけは嬉しそうな顔のまま魔方陣を見つめていた
「ちょっと眩しいね……」
暗かった空が明るくなるほど魔方陣から放たれる光に部下達が次々に目をぎゅっと強く閉じていく中、メアは目を細めつつ魔術の行方を見守っている
「月が綺麗だね」
「ええ、でももっと綺麗に輝きますよ」
ノエルが呟くとその隣で空を見上げながらアオイも答えると、渡していた本が二人の間に現れアオイが本を手に取った
「もっと綺麗な姿を楽しみに見ているよ」
「ありがとうございます」
二人の会話が終わるとアオイが持っていた本のページが風に揺らされ、数ページめくられた。アオイがノエルに聞こえないほど小声で呪文を唱えはじめるとアオイが持っていた本が剣に変わった。それを確認したアオイが、ふぅ。と一つ深呼吸をすると、側から離れノエルの体の上に立ち止まった
「ナツ、またここにいたの?」
アオイの家があった場所でナツが空を見上げ座っていた。探しに来ていた学校のクラスメイトが声をかける。ナツが声がした方に少しだけ目線を向け、クラスメイトに小声で返事をした
「うん、そう……」
「最近ここで空ばかり見るね。どうしたの?」
「魔術が使えて良かったなぁって思って」
「なにそれ。使えるのなんて当たり前じゃん」
返事を聞いてクスクスと笑うクラスメイト。それを聞き流しながらナツがまた空をボーッと見つめている
「それよりさ、今度魔術のテストがあるから練習しよ!次落ちたら私ヤバイから」
「もー、仕方ないなぁ……」
ため息混じりに返事をしながら立ち上がり、連中のため学校の方へと走っていくナツとクラスメイト。バタバタと走っていくそのすれ違いでメアがやって来た
「メアさん、どうしましたか?今日も空になにかありますか?」
「いえ、なにも……」
一緒に来ていた魔術師達に問いかけながらメアもナツが座っていた場所に立ち、空を見上げ太陽がある方を見ると、ちょうど雲に隠れ見えなくなった
「この場所はいつからあるの?」
「いつから……ですか?」
メアの話に魔術師達が顔を見合わせ首をかしげていると、側に小さな魔方陣が現れ、施設にいたはずの部下が現れた
「メアさん、施設で魔術師達が呼んでいます。本に書かれた魔術の結果が出たようです。今すぐ来れますか?」
「ええ、もう少ししたら行くわ」
メアが返事をすると、魔方陣から現れた魔術師と魔方陣が消え、またメアが空を見上げた。雲に隠れていた太陽がメアの視界を塞ぎ、ふわりとそよ風が吹いた
「魔術は成功ですね。やっぱりお二人の魔力は素敵でした」
メアの姿をフフッと笑いながら呟く声が聞こえた。その声の主はアオイの家の屋根の上で魔術を使い帰ろうとしているメア達を微笑ましく見ている
「ちゃんと二人の記憶も魔力、全て私の本の中ですね」
また一人呟くと、明るかった空が一瞬にして暗く夜になった。明るく光る満月を背に屋根から、ふわりと降りて無数の本が周りに現れ独りでにページがパラパラとめくられ、目の前にあった本を一冊手に取った
「お二人にまた会えるよう、この月夜と共に、とっておきの魔術の続きをまた一緒に見ましょう」
ノエルが魔術を唱え続け、魔方陣が大きく広がっていく。ノエルの魔方陣から眩い光とそよ風が吹いて、アオイが少し目を細め髪がなびく
「ありがとう。でも私が一番なのは今だけだけどね」
「いえ、これからもきっと一番です」
ノエルの言葉にアオイがニコリと微笑み返事をする。ノエルがその言葉を聞いた後、魔方陣の真ん中で空を見上げるように倒れ、そっと目を閉じた
「あの姿はたぶんノエルさんですよね。いったい何を……」
その頃、地上から二人の動きを見ているメアの部下達は、広がっていく魔方陣に怯えていた。メアだけは嬉しそうな顔のまま魔方陣を見つめていた
「ちょっと眩しいね……」
暗かった空が明るくなるほど魔方陣から放たれる光に部下達が次々に目をぎゅっと強く閉じていく中、メアは目を細めつつ魔術の行方を見守っている
「月が綺麗だね」
「ええ、でももっと綺麗に輝きますよ」
ノエルが呟くとその隣で空を見上げながらアオイも答えると、渡していた本が二人の間に現れアオイが本を手に取った
「もっと綺麗な姿を楽しみに見ているよ」
「ありがとうございます」
二人の会話が終わるとアオイが持っていた本のページが風に揺らされ、数ページめくられた。アオイがノエルに聞こえないほど小声で呪文を唱えはじめるとアオイが持っていた本が剣に変わった。それを確認したアオイが、ふぅ。と一つ深呼吸をすると、側から離れノエルの体の上に立ち止まった
「ナツ、またここにいたの?」
アオイの家があった場所でナツが空を見上げ座っていた。探しに来ていた学校のクラスメイトが声をかける。ナツが声がした方に少しだけ目線を向け、クラスメイトに小声で返事をした
「うん、そう……」
「最近ここで空ばかり見るね。どうしたの?」
「魔術が使えて良かったなぁって思って」
「なにそれ。使えるのなんて当たり前じゃん」
返事を聞いてクスクスと笑うクラスメイト。それを聞き流しながらナツがまた空をボーッと見つめている
「それよりさ、今度魔術のテストがあるから練習しよ!次落ちたら私ヤバイから」
「もー、仕方ないなぁ……」
ため息混じりに返事をしながら立ち上がり、連中のため学校の方へと走っていくナツとクラスメイト。バタバタと走っていくそのすれ違いでメアがやって来た
「メアさん、どうしましたか?今日も空になにかありますか?」
「いえ、なにも……」
一緒に来ていた魔術師達に問いかけながらメアもナツが座っていた場所に立ち、空を見上げ太陽がある方を見ると、ちょうど雲に隠れ見えなくなった
「この場所はいつからあるの?」
「いつから……ですか?」
メアの話に魔術師達が顔を見合わせ首をかしげていると、側に小さな魔方陣が現れ、施設にいたはずの部下が現れた
「メアさん、施設で魔術師達が呼んでいます。本に書かれた魔術の結果が出たようです。今すぐ来れますか?」
「ええ、もう少ししたら行くわ」
メアが返事をすると、魔方陣から現れた魔術師と魔方陣が消え、またメアが空を見上げた。雲に隠れていた太陽がメアの視界を塞ぎ、ふわりとそよ風が吹いた
「魔術は成功ですね。やっぱりお二人の魔力は素敵でした」
メアの姿をフフッと笑いながら呟く声が聞こえた。その声の主はアオイの家の屋根の上で魔術を使い帰ろうとしているメア達を微笑ましく見ている
「ちゃんと二人の記憶も魔力、全て私の本の中ですね」
また一人呟くと、明るかった空が一瞬にして暗く夜になった。明るく光る満月を背に屋根から、ふわりと降りて無数の本が周りに現れ独りでにページがパラパラとめくられ、目の前にあった本を一冊手に取った
「お二人にまた会えるよう、この月夜と共に、とっておきの魔術の続きをまた一緒に見ましょう」
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