10 / 67
10. 募る思いと違和感と
しおりを挟む
「……おはよう」
少しテンション低く教室に入ったサクラ。騒がしい教室の中、少しうつ向いて歩くサクラに気づいたサヤカもマホが気づいて声をかけた
「おはようサクラ」
「おはようございます」
二人の明るい声に、慌てて笑って返事をすると、サクラの前の席に目を向けた
「ああ、ミツバはまだ来てないよ。よく遅刻するんだよね」
「……そっか」
サヤカの言葉にボソッと呟くように返事をすると席に座り二人の会話に混ざり話を楽しんでいると、バタバタと足音をたててミツバが教室に入ってきた
「おはよう!」
大声で挨拶をするミツバ。クラスの人達がミツバの方に向いて挨拶をする。挨拶を返しながら、席へ向かうと側の席にいたサヤカとマホもミツバに声をかけた
「おはようミツバ。今日もギリギリだね」
「うん、なんだか夜、眠れなくて……」
苦笑いしながらサヤカに返事をしていると、席の後ろにいたサクラに気づくと少し後退りをして苦笑いで声をかけた
「……おはよう」
「おはようございます」
ミツバの挨拶にサクラがニコッと笑って挨拶を返すと、ちょうどチャイムが鳴り、教室がまたバタバタと騒がしくなっていく。休憩時間にも特に会話もせず過ごしていく
「サクラさん、ちょっといい?」
お昼時間のチャイムが鳴ったと同時にミツバがサクラに声をかけた。声に気づいてサクラが隣にいたミツバの顔を見た瞬間にサクラの手をつかみ、無理矢理引っ張ってバタバタと早足で教室を歩きだしたミツバ。二人の行動に、一緒にご飯を食べようとして声をかけようとしていたサヤカとマホが驚き戸惑っている
「二人ともどこいくの?」
「ゴメン、一緒にお昼ご飯買ってくる!」
サヤカに大声で返事をすると、サクラの手を引いたまま教室を出ていった。二人の後ろ姿を呆然と見ているサヤカとマホ。ふぅ。とため息ついて二人でお昼ご飯を食べはじめた
「傷……治ったんだね」
教室から少し離れた学校の廊下で話しはじめたミツバ。強く握られていた腕を離されると赤くなった腕にそっと触れるサクラを睨んでいる
「あっ、うん。すぐに治せるから」
「本を使ったの?」
「……うん」
「私の本を使ったの?どうやって?」
強い口調で聞いてくるミツバに、サクラはまだ赤い腕をつかんだまま顔を背けた
「ミツバちゃんの本じゃないけど……それに使い方も言えないよ……」
質問に言葉を濁して答えるサクラ。すると、ミツバが近づいて、更に声を荒らげた
「返して私の本。勝手に持っていって何をしているの?」
「返せないし、何も言えないよ……」
「持っていった私の本。あれは……!」
と、話している途中で言葉につまったミツバ。少しサクラから離れて本の事を思い出しはじめた
「……あれ?何であの本を持ってたんだっけ……」
「思い出さないで!」
今度はサクラがミツバの話を遮るように叫んだ。すると、廊下を歩いていた生徒達が叫び声が聞こえたのか、少しずつ二人の側に集まってきた。まだ本の事を思い出しているミツバを残して、歩きはじめたサクラ。ミツバの隣を歩いて通りすぎる時、か細い声でポツリと呟いた
「本は絶対に返さないから……ミツバちゃんも、もう本のことは忘れてね……」
少しテンション低く教室に入ったサクラ。騒がしい教室の中、少しうつ向いて歩くサクラに気づいたサヤカもマホが気づいて声をかけた
「おはようサクラ」
「おはようございます」
二人の明るい声に、慌てて笑って返事をすると、サクラの前の席に目を向けた
「ああ、ミツバはまだ来てないよ。よく遅刻するんだよね」
「……そっか」
サヤカの言葉にボソッと呟くように返事をすると席に座り二人の会話に混ざり話を楽しんでいると、バタバタと足音をたててミツバが教室に入ってきた
「おはよう!」
大声で挨拶をするミツバ。クラスの人達がミツバの方に向いて挨拶をする。挨拶を返しながら、席へ向かうと側の席にいたサヤカとマホもミツバに声をかけた
「おはようミツバ。今日もギリギリだね」
「うん、なんだか夜、眠れなくて……」
苦笑いしながらサヤカに返事をしていると、席の後ろにいたサクラに気づくと少し後退りをして苦笑いで声をかけた
「……おはよう」
「おはようございます」
ミツバの挨拶にサクラがニコッと笑って挨拶を返すと、ちょうどチャイムが鳴り、教室がまたバタバタと騒がしくなっていく。休憩時間にも特に会話もせず過ごしていく
「サクラさん、ちょっといい?」
お昼時間のチャイムが鳴ったと同時にミツバがサクラに声をかけた。声に気づいてサクラが隣にいたミツバの顔を見た瞬間にサクラの手をつかみ、無理矢理引っ張ってバタバタと早足で教室を歩きだしたミツバ。二人の行動に、一緒にご飯を食べようとして声をかけようとしていたサヤカとマホが驚き戸惑っている
「二人ともどこいくの?」
「ゴメン、一緒にお昼ご飯買ってくる!」
サヤカに大声で返事をすると、サクラの手を引いたまま教室を出ていった。二人の後ろ姿を呆然と見ているサヤカとマホ。ふぅ。とため息ついて二人でお昼ご飯を食べはじめた
「傷……治ったんだね」
教室から少し離れた学校の廊下で話しはじめたミツバ。強く握られていた腕を離されると赤くなった腕にそっと触れるサクラを睨んでいる
「あっ、うん。すぐに治せるから」
「本を使ったの?」
「……うん」
「私の本を使ったの?どうやって?」
強い口調で聞いてくるミツバに、サクラはまだ赤い腕をつかんだまま顔を背けた
「ミツバちゃんの本じゃないけど……それに使い方も言えないよ……」
質問に言葉を濁して答えるサクラ。すると、ミツバが近づいて、更に声を荒らげた
「返して私の本。勝手に持っていって何をしているの?」
「返せないし、何も言えないよ……」
「持っていった私の本。あれは……!」
と、話している途中で言葉につまったミツバ。少しサクラから離れて本の事を思い出しはじめた
「……あれ?何であの本を持ってたんだっけ……」
「思い出さないで!」
今度はサクラがミツバの話を遮るように叫んだ。すると、廊下を歩いていた生徒達が叫び声が聞こえたのか、少しずつ二人の側に集まってきた。まだ本の事を思い出しているミツバを残して、歩きはじめたサクラ。ミツバの隣を歩いて通りすぎる時、か細い声でポツリと呟いた
「本は絶対に返さないから……ミツバちゃんも、もう本のことは忘れてね……」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる