クローバーホリック

シャオえる

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27. まだ続いていく宿命

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「あの……本当にサクラさん、大丈夫なんですか?」
 サクラの家に帰ってきたミツバ達。少し気疲れた様子で、ソファーに勢いよく座るユリとナツメ。ツバキはキッチンで冷蔵庫からお茶を取り出している
「大丈夫だよ。一応サクラの家だし、サクラのお母さんだしさ」
 人数分のお茶を入れようとしているツバキを見て、キッチンに向かい一緒にお茶を持ってきたユリ。リビングでソファーに座らず立ちっぱなしのミツバにコップを渡して、ソファーに座りながら、ナツメの分のコップをテーブルに置いた
「でも、なんだか……」
「大丈夫だよ。本の片付けするだけだろうからさ」
 ユリがお茶を飲みながら不安そうなミツバに、答えるとその答えに不思議そうにミツバが首をかしげた
「本の片付け?」
「そう、私達が書いた本を、本棚に片付けるだけだと思うから」
「そうなの?じゃあ、なんで……」
 ミツバがナツメに聞き返しているその時、お茶とお菓子を持ってツバキがミツバのそばを通った 
「とても大変だからだよ。アルノさんのお手伝いで残ったの」
「私達がいると気になって邪魔だろうからさ。先に帰った方がいいの」
 ユリとツバキの言葉に、ますます不思議そうな表情で三人を見ているミツバ。すると、お茶を飲み終えたナツメがうーんと大きく背伸びをした
「それより、少し休もう。もしかしたら、後で本を書くかもしれないから」




「サクラ。ミツバちゃんに言わなかったの?」
 その頃、たくさんの本に囲まれたアルノの部屋では、はぁ。とため息混じりにアルノがサクラに問いかけていた。問いかけに返事もせず、サクラはうつ向いたまま
「覚えていないのは本の影響と思うわ。でも、記憶を無くすなんて聞いたことがないし」
 と、側にあった本棚から本を一冊取り出してパラパラとめくりはじめた。見慣れない文字や絵が書かれた本に目を通していくアルノの姿を見てすぐ目を背けた

「やっぱり、どの本にも、そんな記録にも残っていないわね……」
 困ったように本棚から本を何冊も取っては読んで、ふぅ。とため息ついた
「でも、ミツバちゃんはまた本を書かないといけない。それは、わかるでしょ?」
「ミツバちゃんは……」
「サクラのために、書くって決めたのだから、書かないといけないのよ」
 何かを言おうとしたサクラの言葉を遮り、語気を少し強めて言い返したアルノの言葉を聞いて顔を背けたサクラ。その様子を横目に見ながら本を本棚に片付けながら、話を続けていく
「本を書くの止めるわ。サクラ、もう帰りなさい。みんなが家で待っているから」
 アルノがそう言うと、うつ向いたままアルノの顔を見ずに、部屋から出ていったサクラ。廊下をパタパタと足音を鳴らしながら歩いていくと、自分の部屋の前で足を止めると、グッと手に力を込めて、うつ向いたままポツリと呟いた
「ミツバちゃん……私のために、書くのを決めたなら……私は……」
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