クローバーホリック

シャオえる

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43. 今日は天気がいいから

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「人多いね……」
「休日だからね。仕方ないよ」
「空飛んだ方が早いのに……」
「見られたら困るからダメだよ」
 人混みのなかを歩くサクラ達。あまりの人の多さに、ツバキがもう疲れた様子でゆっくりと歩いている。はぐれないように、手を繋いで歩くユリ。その二人の後ろを歩くミツバ
。同じく隣でユリとツバキの様子を見ているナツメに恐る恐る声をかけた
「これから、どこに行くんですか?」
「んー。分かんない。適当に街中を歩こうかなって」
「本が書けたら一番良いけどね」
 ナツメとの話しに入ってきたユリ。本の話が出てきて、サクラが少し不機嫌そうな顔でユリを見ている
「どうやって、書くんですか?」
「あれ?ミツバ、サクラも一緒?」
 ミツバの話を遮るように、こちらに指を指して声をかけたのは、サヤカとマホ。ミツバがサクラと一緒にいる姿を見て少し驚いた表情で駆け寄ってきた
「二人ともどうしたの?」
「散歩だけど、二人もどうしたの?」
「私達は暇潰しに来たの。側にいるの、サクラのお友達?」
 ナツメとツバキ、ユリを見て話しかけるサヤカ。話をしている間、じーっとマホに見られてツバキが慌ててユリの背中で顔を隠した

「うん。引っ越す前からのお友達で……」
「そっか。じゃあ邪魔しちゃ悪いから行くね。二人とも、あとで連絡するね」
「……うん。またね」
 手を振り、人混みのなかに消えていったサヤカとマホ。妙に緊張していたミツバ。二人の姿が見えなくなって、ふぅ。とため息ついた。立ち止まって動かないミツバを置いて、歩きはじめたナツメ。ユリとツバキも追いかけるように後を追う
「みなさん、サヤカとマホに会ったことなかったんですね」
 慌てて追いかけながら話しかけるミツバ。後ろから聞こえてくる声に振り返ることなく、ナツメ達が歩きながら返事をする
「うん、まあ……」
「本書いている人以外に会ってもね」
「噂が広まったら困るからね。こんな本書いているなんて、理解されないだろうし」
 ナツメだけでなく、ユリやツバキの話を聞いて少し納得した様子のミツバ。だが、サクラ一人だけあまり浮かない表情
で、ミツバの隣を歩いている

「ねえ。もう帰ろう……歩くの疲れた」
「もう、ツバキ。空飛ぶことに慣れすぎだよ。歩かないと……」
 街に来たばかりで帰りたがるツバキに呆れるユリ。だが、来たときよりも人も多くなっている。それに気づいたサクラが、
「じゃあ、夕御飯とか色々買ってもう帰ろうか」
「私もそろそろ帰ろうかな」
 サクラが帰る話をはじめると、ミツバも帰ろうとサクラ達に伝えると、もう帰ろうとするミツバにツバキが不思議そうに首をかしげた
「あれ?サクラの家、泊まらないの?」
 ツバキからの提案に、ミツバがちょっと戸惑っているとナツメとユリが、ツバキの提案に頷いている
「泊まりなよ。一緒にいれば、本が暴れてもどうにかできるし」
 と、言いながらナツメがサクラに目を向けた
「……そうだね。今日はお天気も良いから泊まったほうがいいかも」
 本の話を出されて、困ったような様子で答えるサクラ。同じく本のことを言われて、ミツバも少し困った表情をしつつも話しに納得して頷いた
「じゃあ……泊まろうかな」
 ミツバの返事に、一気に明るくなったサクラ。グイッとミツバの手を引っ張り、ナツメ達を置いて歩いていく 
「お家に泊まるなら、もっと美味しいご飯作らなきゃね。急いで帰ろう」
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