クローバーホリック

シャオえる

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47. 少しでも前へと

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「サクラ!本を書きに行くよ!」
 機嫌良くサクラに話しかけるミツバ。ソファーに座って動かないサクラは、ウロウロと落ち着かないミツバを見て、ため息をついた
「ミツバちゃん……もう今日は止めよう。疲れちゃったし、ナツメちゃん達も今からでお家に来るし」
「じゃあ、私少し出掛けてくるから、後は頼んだ」
 と、サクラを残してベランダに走っていくミツバの後ろ姿を、少し呆れながら見ている
「もー。今すぐ全部書かなくても良いんじゃない?」
「ダメだよ。一日でも早く書き終えないと……」
 サクラの言葉に振り返り、少し怒った顔でサクラを見た。ミツバの表情にサクラが少し怯えていると、すぐにクスッと微笑み何か呟いた
「書き終えて、一緒に……」






「一緒に……なんだっけ……」
 ふと目が覚めて夢の続きを思い出しながら一人呟いたミツバ。ボーッとしながら体を起こし部屋の周りをゆっくりと見渡していく。家の中からサクラ達の騒がしい声が聞こえているが、ベッドに座ったまま、寝すぎてまだ頭が動かないのかボーッとしながら声を聞いている
「あっ、ミツバ起きたの?」
 玄関の掃除をしていたユリがミツバが起きている事に気づいて、部屋に入ってきた
「はい……あの……」
「もうお昼前だよ」
 ユリの言葉に慌てて窓を見ると、明るい日差しが入っている窓を見て少し呆然とした
「えっ?今日、学校……」
「サクラがお休みの連絡しているから大丈夫だよ。サクラ呼んでくるから待ってて」
 と、ユリが部屋を出ていってすぐ、バタバタと足音と共に、サクラが勢いよく部屋に入ってきた

「ミツバちゃん!」
 ベッドに座っているミツバを見るなり、勢いつけてぎゅっと抱きついたサクラ。勢い余って二人一緒にベッドに倒れた
「よかった起きて。一生眠るのかと思ったよ」
「ごめんなさい。迷惑かけて」
「ううん。大丈夫」
 ミツバとの会話をニコニコと笑いながら、起き上がるサクラ。ミツバもゆっくりと起き上がると、隣で微笑むサクラをじーっと見つめだした
「なに?」
「……一緒になにをするんだっけ?」
 と、まだ少しボーッとした表情でサクラに問いかけたミツバ。ミツバの言葉を聞いたサクラは困ったように微笑み、二人の側にいたナツメ達は、不思議そうに首をかしげた
「なにそれ?」
 ナツメがサクラに話しかけても、何にも言わず微笑んだまま。不穏な雰囲気が部屋に流れかけた時、ゆっくりとベッドから降りはじめたミツバ。立ち上がり歩き始めるが、フラフラと歩くミツバの手をぎゅっとつかんだ
「大丈夫?」
「ごめんなさい……」
「謝らないで。私も悪いから」
 話をしながら部屋をゆっくりと歩く二人の様子を無言で見ているナツメ達三人。部屋の入り口まで来たとき、サクラが少し振り返り、ナツメ達に微笑み話しかけた 
「リビングに行こう。私達もお茶でも飲んで少し休憩しようっか」
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