シンフォニー・レイ

シャオえる

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23. この施設とトレーニング場

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「どうだね、二人の様子」
 街でシキと会った数日後、トレーニング場では何やら騒がしい音が響いている
「なんだかスゴいです。うたの力でこんな……」
 その隣の部屋で、ゼフドとツミキが見入っているのは、カエデとミオリ対この施設の隊員数名の練習試合。多少怪我を負いながらも接戦を続けている
「本当だな。なぜこのような能力が発揮されるんだろうな」
 練習試合を見つめ呟いた言葉にツミキが気づく。視線に気づいたゼフド。一瞬ツミキを見たあと、また試合を見ながら話を続けてく
「なぜうたなのか、どうしてなのか現在時点では、あまり証明されていないんだ。大昔から、このうたの力はあったんだが……」
「そうなんですか?」
「この施設は大昔、国からうたの力を調べるために作られた施設だった。だが、シキという子達が現れてからは、二人の対策と、他にうたの力を持つものを探すことに力をいれているんだよ」
 と、話したあとゼフドがふぅ。と大きめなため息をついて、トレーニング場へと目を向けた。質問が聞きづらい雰囲気。でも、ついでに色々聞きたいツミキは恐る恐るゼフドに声をかけた
「あの……、シキちゃんにも、うたの力があるんですよね?」
「そうだな。あのシンクという女性もそうだが、能力は大分高い……二人同時に来られたら、やっかいな程だ」
「じゃあ、最近多い避難勧告とシキちゃんには、やっぱり関係が……?」
「そうだ。あの子達がある日突然この施設を狙い、更にはカエデ君やミオリ君を狙い、君も狙ってる事が分かってな。保護し、事情を聞きたいのだが、なかなか……」

 二人の会話が終わっても、まだまだ続く練習試合。ミオリとカエデの疲れが見えてきた頃、ゼフドがちらりと時計を見たあと、部屋にあったマイクでトレーニング場に向けて伝えはじめた
「皆、今日の練習はもう終わりにしよう。お疲れさま」
 スピーカーから聞こえてくるゼフドの声で、全員攻撃を止める。一気に静かになるトレーニング場。疲れたのか、カエデがその場で座り込むと、同じく疲れて足取りの重いミオリがゆっくりと近づいてく
「カエデ。お疲れさま」
「はい、ミオリさんも、お疲れさまです」
 話しかけられミオリの方を見たとき、ちょうど別部屋で二人に手を振っているツミキを見つけたカエデ。手を振り返していると、ついの間にか出口に向かっていたミオリが再び話しかけてくる
「ツミキに用事?私は先にお風呂に行くけど……」
「いえ、私も一緒に行きます」
 急いでトレーニング場を出ていったミオリを追いかけてく
「あっ、行っちゃった……」
 離れてく二人を見て、しょんぼりしているツミキ
「何も知らずに帰れ。か……それが一番だったかもしれないな」
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