シンフォニー・レイ

シャオえる

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35. 私のあなたへの願い

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 ルモカが帰ってすぐベットに横になる二人。眠れずお互い背を向けたまま、静かな部屋で時間が過ぎてく
「カエデは大丈夫よ。あの子は強いから」
 先に声をかけたのはミオリ。声が聞こえて、体をミオリの方に向ける
「あの、ミオリさん……」
 ツミキの声と体を動かした雰囲気に、ミオリもツミキの方を向く。見つめあう二人。ずっと不安そうな表情のままのツミキに微笑むと、静かな部屋がちょっとだけ雰囲気が変わってく
「私は、生まれた時からここにいるの」
 ミオリがゆっくりと語り始めた。話の内容に驚いているツミキをよそに、ミオリの話は続いてく

「私の両親も、うたの力を持っていた。この施設で、うたの力を調べ、災害や事故が起こった時にも救護や調査の役目をしていた」

「けれど、ある日。私の母が力の使いすぎによる暴走を起こした。この施設だけでなく、町の人々にも危害を起こすと、父は町の人や、この施設の人々を助けるため、母を止めるために最大限うたの力を使ったの」

「それが最後。私がとても小さい時のお話。だから、両親の事は覚えていないけれど……」
 話が止まりミオリが、ぎゅっとツミキの両手を握る。強く握りしめた両手は、少しだけ震えている
「私やカエデだって、いつか暴走するかもしれない。誰にも止められないかもしれない。でも、今は必要な力。暴走をしないためにも、力の意味を調べないといけない。それは、私とカエデの二人だけでいい。ツミキは、うたってはいけない」

「カエデちゃん……そんな、どうして」
 ミオリの話を聞いて、医務室にいるカエデの事を思いだし震えている。震えて泣きそうなツミキの様子に気づいた。ツミキの両手を握るミオリの力が更に強くなる
「ゴメンね、ツミキ。嫌よね。眠る前にこんな話」
「ミオリさん……私」
 両手をぎゅっと強く握り返す。その力強さに驚き微笑むと、そっと手を離しツミキの頭を撫でる
「ツミキ、私達のこと嫌いにならないで」
「そんな嫌いなんて……!」
 泣き崩れてしまったツミキ。その様子をただ見つめていたミオリ。そっと再び頭を撫で優しく抱きしめる
「ありがとう。でも、もう眠りましょ。おやすみ」
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