シンフォニー・レイ

シャオえる

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68. 騒がしいのは、会いたかったから

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「……どういうことだ?」
「いや、私にもよく分からないのですが……」
 ゼフドに電話で事情を話すミオリの後ろで騒がしいシキ。ゼフドが持つ受話器からも騒がしい声が漏れて、隣にいたノア隊員に聞こえて苦笑いしている
「……とりあえず、ノア君に迎えに寄せる。全員そこで待っててくれ」
 ミオリとの電話を切ると、一つ大きなため息をついたゼフド
「そんなことがあるのですか?」
 ノア隊員の質問に、腕を組んで考え込む
「いや、聞いたことはない。だが、あの子が言うならそうなのかもしれないが……」
 ゼフド達のいる指令室も慌ただしく隊員達の声が騒がしい。部屋にいた人達を呼んで、ミオリの電話の内容を伝える。その内容に驚く隊員達が落ち着く間もなく、ゼフドの話は続く
「という連絡があった訳だが……。とりあえず、ノア君は、五人の迎えを。残りのものは急いで迎え入れの準備をしようか」


「と、いうことらしいが……聞いてるか?」
 ミオリもゼフドとの電話を切ると、ツミキ達に声をかける
「いえ、多分聞いてない……です」
 カエデが苦笑いで返事をする。二人の目の前ではシキがツミキに詰め寄って騒いでいた
「ごめんなさいね。シキと遊んじゃって」
 シンクはクスクスと楽しそうに、二人の様子を止めることなく、ただ見守っている
「いえ、それにこれは遊んではないと……」
 シンクの発言に、また苦笑いのカエデ。始めて話すシンクにちょっと戸惑いつつも、ちらちらとシンクの顔を見る

「あの……シンクさんですね?」
 シンクに恐る恐る、話しかけるカエデ。名前を呼ばれてシンクがカエデに微笑み頷く
「ええ。呼び捨てで良いわよ」
 クスクスと笑い返事をすると、また恐る恐る話しかける
「あの……なんで急に私達に会いに?」
「それは、シキの一大事だからよ。それに、会いたがっていたから……」
 何だか嬉しそうにシキを見るシンクに見とれていると、また一段と騒がしい声が聞こえてくた

「二人とも、ノアさんが来るそうだから、もう止めろ」
 うるさいシキとツミキの間に入って騒ぎを止めるミオリ。その三人の側にシンクも来ると、シキに声をかける
「シキ、帰りましょう」
「えっ?でも……」
 問い詰め足りないと、シキがツミキを睨む。ミオリの側に寄ってシキの雰囲気に押される
「お父様のことも気になるし、また今度……ね、ツミキちゃん」
 帰らないと暴れるシキをムリヤリおんぶをして、追いかける間もなく空を飛び二人帰っていった
「行っちゃった……」
 ツミキが帰る挨拶をする暇もなく、あっという間に帰っていった二人の帰り道を見ていると、三人の側に車が止まった
「ご無事でしたか?あの子達は?」
 降りてきたのはノア隊員。シキとシンクが見当たらず辺りを見渡していく
「あっ、さっき帰っちゃいました……」
 人混みの中を探し回るノア隊員に、カエデが報告をしている側で、ツミキが、ぼーっと帰っていった空を見ていた
「シキちゃんのうたが無くなったって……私が?」
 空を見たまま一人呟く声に気づいたミオリが、側に来て声をかけた
「帰ろうツミキ。あの子達はきっと、大丈夫だ」
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