シンフォニー・レイ

シャオえる

文字の大きさ
73 / 110

73. 今日も変わらぬうた声を

しおりを挟む
「ツミキ君、体調はどうかね?」
 明朝、学校を休んでトレーニング場に集まったツミキ達。いつものように、隣の部屋にはゼフド達も集まってツミキ達にマイク越しに声をかけていた
「大丈夫です。朝御飯もたくさん食べましたし、元気です!」
「そうか、それはなにより……」
 気合い良く返事するツミキに対し、ゼフド達の部屋は少し重い空気。カエデやミオリも心配して表情は硬いまま、検査の為の準備が進む

「あのー……ノアさん」
 ゼフドの隣で、パソコンの前で真剣な表情のノアに、声をかけながら左人差し指をツンツンと左肩を突っつくメルナ。急に話しかけられて、驚きながら振り返る
「は、はい。なんでしょうか?」
 その表情は驚いたのまま。だがメルナは、それに気づかず目線の先は、不穏な雰囲気のルモカを見ている
「あの、昨日ゼフドさんとルモカさん何かあったんですか?」

「昨日指令室に行くって言ってから変なんです。今日、寝てないみたいですし……何かあったのですか?」
「あー、まぁ……」
 メルナの質問に苦笑いで返事に困ってしまうノア。二人の話し声にゼフドが気づいて、ちらりと二人を見る
「ノア君。準備のほどは良いかね?」
「あっ、はい。大丈夫です」
 慌ててパソコンに向かうノアと、ルモカの元に戻るメルナ。検査の為の準備が終わり、一層と部屋の雰囲気が重くなっていく

「……では、カエデ君、ミオリ君も用意はいいかね?」
 マイク越しに二人に話しかけると、トレーニング場も一気に緊張感が漂ってくる
「……はい」
「いつでも大丈夫です」
 二人が返事をすると、ゼフドが一つため息をついた
「では、ツミキ君、前と同じ曲を頼む」

「は、はい」

 ゆっくり唄い始めたツミキ。静かな部屋にツミキのうただけが響いて、みんながそのうたう姿を見ている
「……どうだね?」
 うたが中盤の頃、ノア隊員にツミキのうたの状況を確認する。三度目の調査はシキのうたのデータも合わせて行われていく
「やはり変わりありません。うたの力もあるとは言えないですね」

「……ふぅ」

 一曲うたい終え何事もない様子に、ちょっと一呼吸をする。緊張していたカエデもホッと胸を撫で下ろしていると、ツミキが、カエデとミオリに微笑む

「ツミキ君、お疲れさま。二人も体調に変化はあるか?」
 ゼフドがツミキ達に声をかけている側では、隣の部屋にいた人達もみな安堵の表情。そんな中、ルモカだけは相変わらず険しい顔で検査結果を見ていた

「いえ、特に何も……」
「私も大丈夫です」
 二人がゼフドの質問に答えていると、ツミキが二人に駆け寄って、ご機嫌で二人に抱きつく。明るいツミキの声に、隣の部屋も明るい雰囲気になっていく。そんな中、一人先に部屋を出たルモカ。その様子を一瞬見たゼフドは、出ていくのを止めることなくツミキ達にまた、声をかけている
「……三人ともお疲れさま。少し休憩をしたあと、あの二人を探しに行こうか」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...