シンフォニー・レイ

シャオえる

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76. 戸惑いと緊張感のある場所へ

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「じゃあここに連れてこれるかね?」
「えっ?施設にですか?私は構いませんが……」
 少し離れた場所で、ミオリがゼフド達のいる施設に携帯から電話をかけていた。ゼフドの提案に戸惑いつつも四人の元に戻ってきた

「……すみませんが、私達の施設に来てもらうことは可能ですか?」
 シンクに話しかけるミオリ。その発言に驚くツミキとカエデ。ミオリも戸惑いから顔が強張っている
「構わないわ。あなた達の事を知れるのもありがたいし」
「お姉さま、本当に良いんですか?」
 カエデから貰ったソフトクリームを片手に嬉しそうにしていたシキも、あっさり了承したシンクに戸惑う
「ええ、無駄に手は出さないでしょうし、街で何処にしようか、迷うよりかは良いと思うし」
 シキに話しているとシキの口元に付いているクリームに気がついて、そっと人差し指ですくい取ってクリームを食べた。そんな二人の側では、ツミキ達も急な話に三人で慌ててヒソヒソと話している

「それじゃ、私達の後を追ってきてくれますか?今、迎えが来れないそうで……」
「もちろん」
 ミオリの話に答えるシンク。シキもミオリの分のソフトクリームを食べ終えて、カエデと話終えたツミキが何だか不安そうな顔になっていた
「飛んでいこう。結構時間かかるし。ツミキ用意はいい?」
「……はい。多分」



「ようこそ」
 施設の指令室にツミキ達と一緒に来たシキとシンク。ゼフド達、施設の人達が出迎え待っていた
「初めまして。私はシンクと言います」
「……シキです」
 たくさんの人達の注目を浴びて、落ち着かないシキと対照的に落ち着いているシンク。指令室も少しだけ緊張感が漂っている
「二人とも歓迎するよ。ゆっくりしていってくれ」
 ゼフドが挨拶をしている側で、シキが不馴れな空から飛んで帰ってきて、まだ緊張感が取れていないツミキにヒソヒソと話しかけてきた
「ここに住んでいるのか?」
「うん。私は最近からだけど……」
 二人が話していると、シンクは指令室内を見渡している。初めて見る物が多い中、表情はずっと変わらず落ち着いている
「私も色々話したいし、聞きたいのだけど……」
 ゼフドへの言葉を濁し、まだツミキと話していたシキを見る。楽しそうに話しているシキに微笑んでいると、シキが視線に気づいて、慌ててツミキから離れる

「シキ。今日は帰りましょう」
「えっ?来たばかりですよ」
「私達の住んでいる場所から大分遠いし……遅くなると二人が心配だわ」
「それは、そうですが……」
 シキと話終えると、ゼフド達に向かってお辞儀をした
「申し訳ありません。今日は帰ります。後日、ゆっくり話しても良いですか?」
 来てすぐのシンクの帰るという話に、一瞬ざわつくゼフド達。ツミキ達も心配そうに様子を伺っている。二人の話を静かに聞いていたゼフドが、ふぅ。と、みんなに聞こえる程の大きなため息をついた
「そうか。ならば仕方ない。後日そちらが良き日に是非いつでも訪ねてきてくれ」
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