シンフォニー・レイ

75. 甘いのを一緒に食べながら

「これ美味しいよ。二人とも食べて食べて！」
　カエデの目の前に見せるソフトクリーム。三人別々のソフトクリームを買って、街を食べ歩いている
「……ツミキ、今日の目的分かってる？」
　ミオリと交代して食べ比べをしているツミキに注意するカエデ
「分かってるよ。シキちゃんとシンクさんを探す。でしょ？」
　と言いながら、カエデとも交代して、三人食べ比べをして
街中を歩いていく

「でも何であの二人は、街や森を壊していたんだろう？」
　食べ比べをし過ぎて、ほとんど無くなったソフトクリームを食べながら、カエデが疑問に思っていたことを二人に聞いてみる
「そういえば、なんでだろう？また何処か壊しに行くのかな？」　
「修復に時間もかかるし、避難勧告の説明も大変と言っていたから、もう街を壊すのは止めてほしいのだが……」
　カエデの疑問にソフトクリームを食べ歩きながら、考えていると、三人の元に足音が駆け寄ってくる

「それは、お父様が願ったからだ」

　後ろから聞き覚えのある声が聞こえて三人一緒に振り返ると、人混みの中、探していた二人がツミキ達を見ていた
「シキちゃん！」
　姿を見るなり駆け寄るツミキ
「近寄るなっ！」
　シキの叫び声で足を止める。その声に周りの人達がシキの方を見ているなか、クスクスと笑うシンクが少し離れて呆然と見ていたカエデとミオリに声をかける
「こんにちは。ご機嫌いかが？」
　
「あの……私達は……」
「私達も、あなた達に用があるの。どこかでお茶でもどう？」
　ミオリの話を遮ってシンクが話始めた側では、ツミキとシキが人目も気にせず騒いでいる。ツミキの食べていたソフトクリームをシキに渡して食べてたりして、楽しそうな二人を横目に、三人は睨み合っていた。緊張感なく更に騒がしくなっていくツミキとシキに、はぁ。とミオリがため息をついた
「……ゼフドさんに連絡をします。少し時間をください」