シンフォニー・レイ

シャオえる

文字の大きさ
84 / 110

84. 思えば言うほど、意見は言うほど

しおりを挟む
「ダメよ!絶対反対!」
 一人大声で騒ぐルモカ。その迫力にゼフド以外の指令室に居た人達は、少し離れた場所に集まって二人の様子を見守っている

「落ち着けルモカ」
 ため息混じりに答えるゼフド。隣でルモカが更に騒がしく叫びだす
「落ち着けと言うなら、別の提案を出しなさいよ」
「仕方ないだろう。他に方法が無いんだ。それならルモカが提案を出してくれ」
 無言になるルモカに、はぁ。とため息をつくとキィと椅子を動かして、ルモカの方を見ると計画の予定が書かれた紙を数枚ルモカに渡した
「何かあった時のため、通信器機を三人に渡しておく。我々も、あの子達に気づかれないよう後を追う。心配は無用だ」
 パラパラと目を通しながら話を聞くルモカ。簡易な計画とゼフドの話しに、更に声が大きくなる
「私が心配しているのは、そういう事じゃなくて……!」
「分かっている。でも、他に方法が無いんだ。あのデータが本当であるということを知るためにも仕方ないんだ」
「でも……!」

 収まることのない二人の騒ぎを、ルモカと一緒に来て、隊員達と一緒に様子を見ていたメルナが、ノア隊員の袖を引っ張る
「ノアさん、今日は二人とも一段とヤバくないですか?」
「そ、そうだね……」
 戸惑う二人の傍らでは、まだまだ言い合うルモカとゼフドの声が聞こえてくる
「ルモカさん、なんでそんなに嫌がるんでしょうか?」
「うーん……」

 二人の騒がしい声が数分続いて、うるさい口論に慣れてきた頃、怒った顔をしたルモカがメルナの元にやって来た
「メルナ。戻るわよ」
「えっ、良いんですか?」
 口論が長くなりそうと、みんなでお茶を飲んでいたメルナ。思っていたより早く終わって、拍子抜けした返事をする
「嫌だけど、この件に関してはこれ以上、口を出しても仕方ないわ」
「……はぁ。分かりました」

 ルモカ達が帰り、やっと静かになった指令室。さすがに疲れた様子のゼフドに、ノア隊員がお茶を持ってきた
「ゼフドさん、大丈夫ですか?」
「……ああ、すまないな」
 話しかけられ苦笑いで返事をして、お茶を受けとり二人で一息ついていると、疲れがきたのか眠気が襲ってきたゼフド。ノア隊員の話の途中、ゆっくりと椅子から立ち上がり、
部屋の入り口へと歩き、入り口へと着くとノア隊員の方に向きを変え、声をかけた
「ノアくん。悪いが少し仮眠をする。後は頼んだ……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...