シンフォニー・レイ

シャオえる

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104. 後悔が何かを壊して

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「ああ、やっと会えた……こんな姿で悪いね」
 ツミキに微笑むと、立ち上がり車椅子に座るツミキの母親という人の頭をそっと撫でた
「それじゃあ、ツミキ。今すぐ抱きしめたい気持ちはあるけど……その前にお願いを聞いてもらえるかね」
「私のうた……ですか?」
「そう、ツミキのうたが必要なんだ。シキの時みたいに……」
「シキちゃんの時と……」
「お父様、知って……」
「ミオリさん!ミオリさん!」
 シンクの言葉を遮って、カエデが突然ミオリの名前を叫ぶ。うつ向いているミオリをツミキ達が見たその瞬間、また建物がグラグラと揺らぎ始めた
「君も絶望のうたを唄うのかい?あまり、唄いすぎるのは良くないよ」
 揺れ動く車椅子を支えながら、ミオリに優しく注意しても、揺れは止まることなく、更に揺れが激しくなっていく

「ミオリさんのうたの力が、急激に増大しています!これ以上の増加は体に大きな負担になります!早く止めないと」
 ミオリの危険を知らせるアラートが鳴り始めた指令室。モニターには、崩れ落ちてくる瓦礫と、崩壊した建物で身動きとれずにいる隊員達と、通信が途絶えてきてツミキ達の様子がモニターに時々映らなくなってきていた

「ミオリさん!どうしたんですか?」
「ミオリさん!返事してください!」
 二人の呼び声にも反応せず、うつ向くミオリ。何か話している声も、落ちてくる瓦礫の音にかき消されている
「その子は、深い悲しい後悔を主にして、うたを唄っているんだ。僕も呼び戻そうと頑張っていたけれど……もう深く遠くて、聞いてくれないんだ」

 落ちてくる瓦礫から守るためシンクに抱きしめられていたシキが、その腕を退けてツミキの側に駆け寄っていく
「シキ……」
「おい!ツミキ!うたえよ!早く!」
 崩れ落ちてく瓦礫の音に消えそうなシキの声。隣で叫び続けるシキの声と、必死で何かを伝えようとする動きにツミキとカエデは顔を見合わせて戸惑っている
「私のうたを無くしたように!きっと、この人のうたも消せるだろ!」
 微かに聞こえるシキの話す声に、嬉しそうな顔でツミキ達を見たあと、支えていた女性の手をギュッと握り、耳元でそっと話しかけている
「やっぱり、シキのうたは消えていたのか。君の言う通り、ツミキは希望の子だ……」
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