シンフォニー・レイ

シャオえる

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110. 希望のうたを、うたい続けるように

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「みなさん、どうぞ……」
  医務室の前で待っていたカエデ達。メルナに呼ばれて、急いで医務室のツミキの居る所までバタバタと足音を立てて入ってく

「ツミキ!」
「カエデちゃん!」
 ベットにいるツミキに思いっきり抱きつくカエデ。そのまま二人抱き合って、楽しそうに話しあう
「良かったわ。本当に……」
 元気な姿にシンクがホッとした表情をしてるその後ろでは、ツミキに見つからないように、シキの背中で隠れているミオリがいた
「あっ、ミオリさん」
 ツミキにあっさり見つかって、コソコソとしているとカエデに背中を押されツミキの側に来る
「ツミキ……ごめんなさい。私……」
 ボソボソと喋るミオリに、ツミキは気にせず問いかける
「ミオリさんはもう、体は大丈夫なんですか?」
「私は……」
 明るく話しかけてくるツミキに、返事をせずに戸惑うミオリの後ろから、こちらへ歩く足音が聞こえて、ルモカがミオリの代わりに答えてく
「ええ、もう元気一杯。心配かけた分、医務室でも働いてもらおうかと思っているくらいよ」
 ルモカが笑いながら話すとツミキもつられて微笑んでいると、ツミキ達の後ろに、誰かがやって来た

「私達からも謝ってもいいかね?」
 突然の聞こえてきた声に、振り向くカエデ達。車椅子に乗ったナギと車椅子を押しているナツキが、医務室の中に入ってきていた
「お父様……お母様も……」
「ツミキ、悪かったね……シキもシンクも、すまない……」
 ツミキやシンク、シキに二人が頭を下げ謝ると、今度はミオリの方を向くと、ミオリにも頭を下げ謝った
「君にも悪かった……キツいことをたくさん言って」
「いえ、私……」
 その謝る姿に、顔を背けるミオリ。部屋が静かになって、明るかった部屋が、一気に不穏な雰囲気になっていく
「雰囲気悪いわ……。全員、部屋から出ていってくれる?」
 ルモカの言葉にみんな苦笑いしていると、ツミキが突然、何か思い出したような顔をした
「あっ!」
 ツミキの声でみんな、ツミキに振り向いた
「そう言えば、力はどうなったんですか?うたの力」
 そのツミキ問いかけに、誰も答えることなく気まずそうな雰囲気が流れ、ふぅ。とため息ついたカエデが、ゆっくりと答える
「それは……」





「ツミキ!ちょっと苦しい!力緩めて!」
「だってカエデちゃん……」
「まだ、空を飛ぶのに馴れてないのか?」
 晴天の空を飛び、並んでどこかへ向かうツミキ達。カエデにおんぶされているツミキに呆れ顔のシキ。その三人の後ろを、シンクとミオリが追いかけている

「昔を思い出すわ……シキも空飛ぶうたの力を得た時、すごく怖がって……」
「ちょっと、シンクお姉さま!」
 慌ててシンクの口を閉じようとするシキ。苦笑いするカエデの背中でツミキも楽しそうに見ている
「というか、なんでシンクお姉さまも来ているのですか?お姉さまは、学校に通わないはずじゃ……」
「だって今日は、シキの初登校日……登校姿を見ないなんて、寂しいじゃないの」
 と、シンクが言うと急に恥ずかしそうに、着ている学校の制チラッと見て顔を鞄で隠した。そんなシキの様子も嬉しそうなシンク。二人のほんわかした会話を聞いてツミキとカエデが笑っている
「そう言えば、お母様とルモカさんが、学校終わる頃に迎えに来るそうよ。登校祝いに、みんなで何か食べようって」
 シンクの発言に、ツミキ達のテンションが上がる。何を食べようか、ツミキとカエデが盛り上がっていると、シキが立ち止まって何か呟いた

「……パフェが良い。あの甘いパフェ……」
 呟いてすぐ、ハッと周りを見渡すと、ジーッとシキを見るツミキ達。恥ずかしさでシキがあたふたと、うろたえだす
「あっ、いやその……」
「良いね!私も食べたい!」
 シキの発言にテンションが更に上がってシキを見ると、うつ向いているミオリが目に入った
「ミオリさんも、食べたいですよね!」
「え、ええ……そうね……」
 ツミキが話しかけても、ミオリはどこか上の空。そんなミオリに、ツミキがゆっくりとミオリの側まで飛んで行く。落ちそうになりながらも、やっとたどり着くと、ギュッとミオリの手をつかんだ

「ミオリさん。私、うたの力があって、お母さんやミオリさんだけじゃなく、みんなに迷惑かけちゃったけど……。けど、今が一番楽しいんです!それはミオリさんも居るし、カエデちゃん、シキちゃん、シンクさん……みんな居るからだから。もしこれ以上、悲しい顔をしたら、ミオリさんのお母さんの代わりに、私達が怒っちゃいますよ」
「ツミキ……ありがとう」

 二人が向かい合い微笑んでいると、遠くからカランカランと鳴る鐘の音が聞こえてきた
「あっ、チャイム……」
 ツミキが鐘の音を聞いて呟くなり、カエデが慌てて学校の方へと飛んでいく
「ツミキ、ミオリさん!遅刻するから早く!」
「あらあら、遅刻したらパフェは無しって伝えておこうかしら」
「シンクお姉さま、それはダメです!」
 先に学校に向かうカエデの後を追っていくシキとシンク。そんな三人の後ろを、ミオリと手を繋いでいたツミキが、グイッと手を引っ張って、後を追う。急に手を引っ張られ戸惑うミオリに、ツミキが振り返り微笑む
「行きましょミオリさん。迷子になったらパフェが食べれなくなりますよ!」





「ナギ、何見ているの?」
 施設の外で一人、ベンチに座って空を見ていた姿に声をかけるルモカ。クスッと笑い返事をするナギの隣に来てルモカもベンチに座ると二人で、ボーッと空を見る
「……ツミキは、素敵な子になったのね」
 ナギがポツリと呟く。ちょっとうつ向いて微笑みまたか細い声でルモカに話しかける
「それは、カエデちゃん達やルモカ達がいたからかしら……」
「さあ?私には分からないわ……」
「でも、あの子達が素敵なうたを唄い続ける限り、私達の希望の子になる。たとえ、うたの力が無くなっても……」
「そうね……」
 ルモカの言葉に、ナギがふふっと笑っていると、急にルモカが何かを思い出したような表情をしている

「それよりナギ。ちょっと手伝ってほしいのよ」
「街の修理。あなた達が壊した街、うたでさっさと直してほしいのよ」
「あら、私……」
「そうよ。歩けるように治療したんだし、気分転換も兼ねてね」
 ナギの手を握りベンチから立ち上がると、手を繋いで施設の入り口へと歩いてく。ナギの歩くペースに合わせてゆっくりゆっくりと二人並んで歩いてく

「ねぇ、ルモカ……。カナデ達も、あの子達を見守っているかしら」
「もちろん、そうよ。だから、あの子達が絶望のうたを、うたわないように、カナデ達の分も一緒に、私達が支え続けなきゃいけないの」
「そうね……」
 ナギの背中を軽くポンッと叩いて笑うルモカ。急に叩かれて驚くナギを見て、ルモカがクスッと笑う
「ほら、元気だして。あの子達が、これからずっと希望のうたを、うたい続けるように……」
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