アリアノート

シャオえる

文字の大きさ
33 / 65

33. 素敵な友の微笑み

しおりを挟む
 その頃、アリアの家では、ミオがまだ起きないアリアの頬をつついたり、ちょっと頬を摘まんだり鼻もちょっと摘まんだりして起こそうとしていた。だが、起きずに成すがされるままのアリアに少し楽しくなってきたミオがだんだんと激しくアリアの顔を触りはじめた。その様子を見ていた警備の人達がちょっと呆れつつもクスクスと笑った
「それでもまだ起きませんか?」
「はい。よくこんな風に起こしているんですけど、起きないですね」
 返事をしながらツンツンと頬をつついているミオ。警備の一人が隣に来てアリアの寝顔を見た
「お二人は仲良しですね」
「はい。家は隣だし、二人とも一人暮らしだから、助け合っている内に仲良くなったんです」
 引っ越してきて、はじめてアリアと出会った時の事を思い出しクスクスと微笑み話すミオの姿に警備の人が顔を見合わせた
「……二人とも、寂しくないのですか?」
「昔は寂しかったけど、アリアと仲良くなってから全然寂しくないです。少しおっちょこちょいで、ご飯が作れないアリアを私が助けないといけないから」
 ニコッと笑うミオの姿に警備の人達も微笑む。そのやり取りを家の外にある木に一羽のフクロウが見つめていた



「アリアは素敵なお友達と出会えたのね」
 お城の一室で術を使いフクロウから見る景色と声を写し聞いて微笑むクリアにユーノがそれに答えるように頷く。しばらくアリアの様子を見ていると、コンコンと小さく扉を叩く音が聞こえた
「クリア様、アクア様が起きられました」
「あら、こんな時間に?珍しいわね」
 報告を受けたクリアが術で映るアリアの姿を横目に名残惜しそうに部屋を出た。すると、ユーノがふぅ。と一つため息をついて、部屋の中を見渡しはじめた
「ユーノ様、どうなさいましたか?」
「アリアが書いた紙はどこに行ったのかと思ってね」
「ずっとクリア様が持っています。時折見て微笑んでいますよ」
「そうか。少し見返したかったが、それはもうムリかな」
 ユーノが困ったように笑うと、部屋の入り口の方へと歩きだした。その後ろ姿を見ている家政婦達や警備の人達の視線を感じ、少し振り向いてニコッと微笑んだ
「少し出掛けてくるよ。すぐに戻ってくる予定だが、もしクリアが気づいて何か言ったら適当に誤魔化してておくれ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...