アリアノート

35. お互い心を落ち着かせ

　その頃、お風呂上がりのミオがグシャグシャとタオルで髪を拭きながら、キッチンに向かっていた。冷やしていた飲み物を一つ飲んでふぅ。と一つ深呼吸をした
「さすがにちょっと疲れたかも」
　飲み物が入ったままのコップを持ちながら、うーんと背伸びをして椅子に座ると、すぐ側にある窓から見えるアリアの家を見た
「アリア大丈夫かな……。私が居るよりも見てもらえるだろうけど……」
　アリアの家のリビングの明かりを見た後、寝室の真っ暗な窓を見て、持っていたコップを両手に持ちゆっくりと飲んだ
「あっ、そういえばアリアのレポート……」
　ふとアリアの机に置きっぱなしになっていた事を思い出して、明日変わりに持っていくかどうか悩んでいると、アリアの家からガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきて見てみると、アリアの家の玄関でクリアが警備の人と話をしていた
「クリア様だ！こんな時間にアリアの家に来たの？」
　ミオには予想外の人が現れて、一気にテンションが上がり、少し窓を開けてクリアの話を聞こうと耳を傾けた

「どうしても入れないの？」
「はい。今、お二人の魔力が共鳴されては困るので、入るのは危険だとユーノ様から止められています」
「そう、居ないと思ったけれど、会うのが分かって先に来ていたのね」
　現れたクリアに戸惑いつつも答えた警備の人達からユーノの名前を聞いたクリアが少しムッとした顔と返事をした。アリアの家の中を警備の人達の隙間から見て、諦めたようにはぁ。と一つため息をついた
「アリアに何かあったらすぐに呼んでね」
「はい、心得てます」
　クリアの言葉にビシッと姿勢を直して返事をすると、アリアの家を時折振り向き見ながらクリアは帰っていった。暗闇に消えていったクリアの後ろ姿を見届け終えた警備の人達が、ほっと胸を撫で下ろし顔を見合わせた

「あのう！なんでこんな時間にクリア様がアリアの家に来たんですか？」
　突然、横から声をかけられ驚き心臓をバクバクとさせながら声のする方に振り向くと、テンションの高いミオがグイグイと近づいてきた
「もしかして、アリアとアクア様が似ているからとか？」
「いえ、ちょうど帰る途中で、体調が悪い子がいると聞いて心配で寄ってみただけですよ、似ているという話もありません」
「そうなんですか、なんだか残念……」
　何事もなかったようにニコッと微笑み直し、ミオの話に返事をすると、ミオがしょんぼりと少し顔をうつ向いた。話の内容と落ち込みぶりからクリアとの話を聞いてないと確信した警備の人達がまた顔を見合わせ、ミオの背中をポンッと優しく触った
「ミオさんは、そろそろお家に戻って眠りましょう。アリアさんのことはお任せくださいね」