アリアノート

41. もっと強くなるために

「アクア、離れたら迷子になるわよ」
「迷子になんかならないよ。道は少し覚えているから」
　町に着いたアクアとクリア。まだ覚えている道を見て、ニコニコと楽しそうに走るアクアをクリアが呼び止めている。二人の会話を一緒に来た警備の人達が後ろから聞いて微笑んでいる
「楽しそうなアクアを見るのは久しぶりな気がするわ。きっとアリアも一緒になら、もっと楽しいのかもしれないけれど……」
　本屋を探してキョロキョロと見渡すアクアの姿を見てクリアがクスクスと笑いながら呟いていると、開店時間をだいぶ遅れて開けようとしていた薬草屋の店主が店舗から出てきた

「おや、君は……」
　ちょうど店の前で立ち止まったアクアを見て、声をかけた。声に気づいたアクアが少し驚いた顔をして慌ててクリアの所に戻り背中の後ろに隠れた
「昨日に続き今日も来てくれたんですか？来ると伝えてくれたら、みんなで出迎えたのに」
「今日は話し合いではなく、アクアとお買い物で来ましたから」
　アクアの様子に二人が困ったように話をしていると、アクアが会話に入らないようにクリアの服をぎゅっと強くつかんだ
「買い物ですか。何を買うんですか？」
　お店の玄関に置いていた看板を取りながら聞くと、クリアがアクアを見て微笑むと、渋々ポツリと小声でアクアが答えた
「魔術の本を買いに来たの……」
「魔術の本か……。この町は君に似合いそうな魔術の本はないかもしれないよ。意外とこの村にも高度魔術者が集まるからね」
「どうしてですか？」
「薬草を買うついでに本も買うんだよ。高度魔術者も薬草を使うからね」
　そうアクアの質問に答えると、ムッとした顔をして更に強くクリアの服をつかんだアクア。クリアがアクアの変化に気づいて心配していると、アクアがつかんでいた服を離し、少し開店の準備をしていた店主の側に行くと、少し声を荒らげて言った
「本屋はどこですか？薬草を頼るような、そんな高度魔術者が使うような魔術なんて、私でも使えます！」