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23. 記憶にある想い出の場所
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「ない!ないっ!どこにもない!」
朝も早くから、学園の役員室をガサゴソと探し回るサクナ。あっという間に部屋は本で埋め尽くされて、様子を生徒達が部屋の入り口で呆然と見ている
「サクナさん、どうしたんですか?」
「本がないの!昨日まではあったのに!」
振り向くことなく探し続けながら返事をしたサクナの言葉を聞いて、周りにいた生徒達が目を合わせながら首をかしげた
「本?」
「まさかあの本が……」
「そうよ、アードルド学園の生徒会長しか持つことの出来ないあの本がないの!」
と、サクナが廊下まで聞こえるほどの大声で叫ぶと、ちょうど役員室に行こうと階段を上っていたクリスにも聞こえて、足を止めた
「でもあの本は、サクナさんしか持つことが出来ないはずじゃ……」
と、一人の生徒が呟くと、急にざわめきはじめた役員室。すると、サクナがくるりと勢いよく振り向き、近くにいた女子生徒に向かって睨みながら話しかける
「ミコトとノエルさんは?」
「さっき、休みで来てないと聞きましたが……」
睨まれ答えられずにいた女子生徒の隣にいた生徒が恐る恐る答えると、その生徒の方にくるりと振り向いて、今度は入り口の方へとカツカツと足音をたてながら歩きだした
「二人を探しに行きましょう!勝手に持っていったのかもしれません!」
そう言うと、バタバタと数名の生徒を引き連れ役員室から出ていったサクナ。残った生徒達がその後ろ姿を呆然と見ている
「そうか、本が勝手にか……」
サクナ達の様子を階段で隠れて聞いていたクリスがクスッと笑い、階段をゆっくりと降りはじめた
「本の意思なら仕方ない。これからが大変になるな……」
そうまた一人呟くと、授業開始のチャイムが学園に響き渡った
「ノエル!ちょっと待って!」
その頃、出掛けてきたミコト達は、息を切らしながら走り続けるノエルを追いかけていた
「何で急に走り出したの?」
「知らないよ、ノエルに聞いて」
ミコトやノアよりも大分遅れているナギとモカが、話をしながら追いかける。人混みを掻き分けながらどんどん進むノエル。建物の曲がり角を曲がり姿が見えなくなった。慌てたミコトがパンッと両手を合わせ叩くと一冊の本が現れた
「ノエルを探して!」
本に向かってそう言うと、本がふわりと浮かび独りでにページがパラパラとめくられ、ふわふわと浮かんだままノエルの後を追うように動き出した
「……あれ?」
その後も一人見知らぬ場所を走り続けていたノエルがたどり着いた場所は、学園から程近い公園の丘。天気も良く心地良いそよ風が吹いている
「やっと追いついた……」
はぁ。と疲れた声がノエルの後ろから聞こえてきて振り向くと、疲れた顔をしたノエル達がいた
「相変わらずノエル、足早いね……」
ナギと一緒にペタンと座り込むモカがエヘヘと苦笑いしながら話しかけるが、ノエルは返事をせず声がするまで見つめていた先をまた振り向き見つめだした
「どうしたの?」
ミコトが優しく声をかけると、ノエルが辺りを見渡しながら首をかしげた
「ここに用事があった気がするんだけど……」
そう少し不安げに話すノエルにミコトがぎゅっと抱きついた
「ここは、ノエルが好きな場所だったからねぇ」
と、ミコトがクスッと笑ってそう言うと、そよ風がまた吹いて、ミコトの髪がノエルの顔に当たりぎゅっと目を閉じたその時、ミコトがノエルの手をつかんでグイッと少し強めに引っ張った
「行こう。今日はここに用事はないから、また今度ゆっくり来よう」
朝も早くから、学園の役員室をガサゴソと探し回るサクナ。あっという間に部屋は本で埋め尽くされて、様子を生徒達が部屋の入り口で呆然と見ている
「サクナさん、どうしたんですか?」
「本がないの!昨日まではあったのに!」
振り向くことなく探し続けながら返事をしたサクナの言葉を聞いて、周りにいた生徒達が目を合わせながら首をかしげた
「本?」
「まさかあの本が……」
「そうよ、アードルド学園の生徒会長しか持つことの出来ないあの本がないの!」
と、サクナが廊下まで聞こえるほどの大声で叫ぶと、ちょうど役員室に行こうと階段を上っていたクリスにも聞こえて、足を止めた
「でもあの本は、サクナさんしか持つことが出来ないはずじゃ……」
と、一人の生徒が呟くと、急にざわめきはじめた役員室。すると、サクナがくるりと勢いよく振り向き、近くにいた女子生徒に向かって睨みながら話しかける
「ミコトとノエルさんは?」
「さっき、休みで来てないと聞きましたが……」
睨まれ答えられずにいた女子生徒の隣にいた生徒が恐る恐る答えると、その生徒の方にくるりと振り向いて、今度は入り口の方へとカツカツと足音をたてながら歩きだした
「二人を探しに行きましょう!勝手に持っていったのかもしれません!」
そう言うと、バタバタと数名の生徒を引き連れ役員室から出ていったサクナ。残った生徒達がその後ろ姿を呆然と見ている
「そうか、本が勝手にか……」
サクナ達の様子を階段で隠れて聞いていたクリスがクスッと笑い、階段をゆっくりと降りはじめた
「本の意思なら仕方ない。これからが大変になるな……」
そうまた一人呟くと、授業開始のチャイムが学園に響き渡った
「ノエル!ちょっと待って!」
その頃、出掛けてきたミコト達は、息を切らしながら走り続けるノエルを追いかけていた
「何で急に走り出したの?」
「知らないよ、ノエルに聞いて」
ミコトやノアよりも大分遅れているナギとモカが、話をしながら追いかける。人混みを掻き分けながらどんどん進むノエル。建物の曲がり角を曲がり姿が見えなくなった。慌てたミコトがパンッと両手を合わせ叩くと一冊の本が現れた
「ノエルを探して!」
本に向かってそう言うと、本がふわりと浮かび独りでにページがパラパラとめくられ、ふわふわと浮かんだままノエルの後を追うように動き出した
「……あれ?」
その後も一人見知らぬ場所を走り続けていたノエルがたどり着いた場所は、学園から程近い公園の丘。天気も良く心地良いそよ風が吹いている
「やっと追いついた……」
はぁ。と疲れた声がノエルの後ろから聞こえてきて振り向くと、疲れた顔をしたノエル達がいた
「相変わらずノエル、足早いね……」
ナギと一緒にペタンと座り込むモカがエヘヘと苦笑いしながら話しかけるが、ノエルは返事をせず声がするまで見つめていた先をまた振り向き見つめだした
「どうしたの?」
ミコトが優しく声をかけると、ノエルが辺りを見渡しながら首をかしげた
「ここに用事があった気がするんだけど……」
そう少し不安げに話すノエルにミコトがぎゅっと抱きついた
「ここは、ノエルが好きな場所だったからねぇ」
と、ミコトがクスッと笑ってそう言うと、そよ風がまた吹いて、ミコトの髪がノエルの顔に当たりぎゅっと目を閉じたその時、ミコトがノエルの手をつかんでグイッと少し強めに引っ張った
「行こう。今日はここに用事はないから、また今度ゆっくり来よう」
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