ストラグルガールズ

シャオえる

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121. 書き終えた本の後

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「魔力が更に強くなったか?」
 本から感じる魔力にクスッと微笑む。すると、周りにいた人達も、魔力を感じて同じようにクスクスと笑う
「無駄な努力をしているのだろう」
「まあ、その方が我々としては助かるがな」
 フフッと笑い顔を見合わせる。その様子に少し怯えたナギがノアの服をぎゅっとつかんだ
「ねえ、どうにかならない?」
 ナギがノアの服をグイグイと引っ張って小声で話しかける
「無理だよ。魔力が強すぎるし、何をしたいのか、何が起こるか分からないもの」
「でも、二人が危ないなら助けないと……」
 と、ノアの返事を聞いてナギが本に目線を向けると、地面に置かれていた大きな本が、地面から離れふわりと浮かんでいた

「さて、書き終えたかな」
 と、クリスを見ながら呟くとクリスが困ったように顔を横に振る
「いや。まだまだ、という感じですが。どうしますか?」
「一応この世界の全ての学園は書かれているのだろう?」
「そうだと思いますが……。僕は他の学園の術は分からないのでなんとも」
「こんな時でも使えん奴だな」
 のんきに返事をするクリスに呆れたように、はぁ。とため息をつくと、その学園の生徒会長が恐る恐る一歩足を踏み出した
「あの!何してるんですか!本の中には、ノエルさんとミコトさんが居るんですよ!」
「そうですよ!助けないといけないんですよ!」
「……続けろ」
 生徒会長達の叫び声に、ちらりと視線を向けすぐに本を見ると、ページが開いたり閉じたりを繰り返し、その様子をただ見つめている

「クリス先生、一体何が起こってるんですか?」
「んー……。何というか、とても面倒なことでね」
 と、モカも恐る恐るクリスに問いかけていた。だが、笑って話を誤魔化そうとする。その様子に少し苛ついたノアがクリスに問いかける
「ノエルとミコトがいるんです。助けに行けないんですか?」
「うん、行けないよ。それに、二人が本の中にいるといるとは、本に書いてないみたいだからね」
「でも、行かないと……」
 と、ナギが恐る恐る呟くと、ノアがナギをぎゅっと抱きしめる。モナカもモカを抱きしめ、更に不安が募っていると、大きな本がバタンと勢いよく閉じ、ドスンと大きな音をたて地面に落ちた。その時、強い風が吹き、ノア達が目をぎゅっと閉じる。クリスはニコニコと微笑んだまま本の様子を見ている
「まあ、大丈夫でしょう。この本にちゃんと学園の術か書かれているなら、二人だけならね」
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