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31. 答えられない問いかけに戸惑う人達
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「えっ……。メルガ?なんで?」
「ちょっとツムギ……。ルトとララも、どうしたの?」
「いやー……。ちょっと色々ありすぎて……」
寮の人達にメルガを見られないよう、そーっと帰ってきたつもりが、ツムギの帰宅を食堂で待っていたナオとカホにすぐ見つかり、言い訳が思い付かず誤魔化そうとうろたえ苦笑いをするツムギ。メルガの背中で眠るルトとララを心配そうに見つめる二人に、何にも言えず困っていると、突然ツムギが走り出した
「二人とも、ごめん!もう休むから。おやすみ!」
そう言うと、ツムギの後を追いかけるように、メルガも廊下をバタバタと走り出した。通りすがりの生徒達が驚きで呆然とツムギとメルガの見ている
「まって、話し聞いてない」
ナオが大声で呼び止めても振り返らず、部屋の方へと走り去ってしまったツムギ。予想外の行動に、カホがため息混じりに笑った
「レアスと何かあったのかな?」
「そうかもね。今すぐ話し聞きたいけど、嫌そうだから明日聞こうか」
「うん、そうだね」
カホにつられてナオも、ため息混じりに笑う。ナツメとココが心配そうに二人を見ているのに気づいて、ぎゅっと抱きしめ、二人も部屋へと戻っていった
「はぁ……」
部屋に着くと、ベッドに勢いよく倒れたツムギの隣にメルガも来て、ペタンと寝転ぶ。その様子を枕に顔を少し埋めて横目で見ていたツムギが、ベッドから降りて、ルトとララをメルガのお腹の方にそっと移動させた
「ルト、ララ。ごめんね……」
眠るルトとララを撫でてそう呟いていると、メルガも撫でてほしいのか、ツムギの腕に顔を擦り寄せた
「メルガもごめんね、無理させて……」
謝りながらメルガの頭を撫でると、満足したのか目を閉じそのまま眠ってしまったメルガ。そのまま三人の眠る姿を見ながら撫でていると、緊張感が解けたのか急に眠くなってきて、メルガに寄り添うように眠ってしまった
「本を使ったか……」
その頃、学園の屋上で夜風に当たっていたリンに、また誰かが話しかけてきた。声のする方に振り向くことなくリンがクスッと笑う
「久しぶりの本はどうだったかね?」
「嫌な再会でしたよ。本当、誰のせいでしょうか」
そう答えながら振り向くと、いつの間にかリンの隣に小さな子供が空を見上げていた
「あの娘は、まだ本をどうにかしようとしているのか。さっさとこちらに渡せば良いものを……」
「挨拶もしない見ず知らずの人達に、大切な本を渡すわけはないでしょう。それに、あの本はこの学園にも必要ですから」
「……何を企んでいる?」
「いえ、なにも」
クスクスと笑って答えるリンに男の子は不満そうな顔をしていると、ガサッと木々の揺れる音が聞こえる程の強い風が吹いた
「あの家は我々には入るには難しい。だからこそリン。頼んだぞ」
「勝手に頼んで……。困りましたね」
クスクスと笑って答えるリンに、男の子がはぁ。とため息ついた
「……クロウ、帰ろう」
そう言うとリンと男の子の前にバサッと大きな黒い鳥が現れた。男の子がすぐ背中に乗り、どこかへ飛んで行った。その後ろ姿を手を振り見送るが、すぐ姿が見えなくなり、リンもふぅ。とため息についた
「さて、そろそろ休みましょうか。本を読むにはもう遅い時間ですね」
「ちょっとツムギ……。ルトとララも、どうしたの?」
「いやー……。ちょっと色々ありすぎて……」
寮の人達にメルガを見られないよう、そーっと帰ってきたつもりが、ツムギの帰宅を食堂で待っていたナオとカホにすぐ見つかり、言い訳が思い付かず誤魔化そうとうろたえ苦笑いをするツムギ。メルガの背中で眠るルトとララを心配そうに見つめる二人に、何にも言えず困っていると、突然ツムギが走り出した
「二人とも、ごめん!もう休むから。おやすみ!」
そう言うと、ツムギの後を追いかけるように、メルガも廊下をバタバタと走り出した。通りすがりの生徒達が驚きで呆然とツムギとメルガの見ている
「まって、話し聞いてない」
ナオが大声で呼び止めても振り返らず、部屋の方へと走り去ってしまったツムギ。予想外の行動に、カホがため息混じりに笑った
「レアスと何かあったのかな?」
「そうかもね。今すぐ話し聞きたいけど、嫌そうだから明日聞こうか」
「うん、そうだね」
カホにつられてナオも、ため息混じりに笑う。ナツメとココが心配そうに二人を見ているのに気づいて、ぎゅっと抱きしめ、二人も部屋へと戻っていった
「はぁ……」
部屋に着くと、ベッドに勢いよく倒れたツムギの隣にメルガも来て、ペタンと寝転ぶ。その様子を枕に顔を少し埋めて横目で見ていたツムギが、ベッドから降りて、ルトとララをメルガのお腹の方にそっと移動させた
「ルト、ララ。ごめんね……」
眠るルトとララを撫でてそう呟いていると、メルガも撫でてほしいのか、ツムギの腕に顔を擦り寄せた
「メルガもごめんね、無理させて……」
謝りながらメルガの頭を撫でると、満足したのか目を閉じそのまま眠ってしまったメルガ。そのまま三人の眠る姿を見ながら撫でていると、緊張感が解けたのか急に眠くなってきて、メルガに寄り添うように眠ってしまった
「本を使ったか……」
その頃、学園の屋上で夜風に当たっていたリンに、また誰かが話しかけてきた。声のする方に振り向くことなくリンがクスッと笑う
「久しぶりの本はどうだったかね?」
「嫌な再会でしたよ。本当、誰のせいでしょうか」
そう答えながら振り向くと、いつの間にかリンの隣に小さな子供が空を見上げていた
「あの娘は、まだ本をどうにかしようとしているのか。さっさとこちらに渡せば良いものを……」
「挨拶もしない見ず知らずの人達に、大切な本を渡すわけはないでしょう。それに、あの本はこの学園にも必要ですから」
「……何を企んでいる?」
「いえ、なにも」
クスクスと笑って答えるリンに男の子は不満そうな顔をしていると、ガサッと木々の揺れる音が聞こえる程の強い風が吹いた
「あの家は我々には入るには難しい。だからこそリン。頼んだぞ」
「勝手に頼んで……。困りましたね」
クスクスと笑って答えるリンに、男の子がはぁ。とため息ついた
「……クロウ、帰ろう」
そう言うとリンと男の子の前にバサッと大きな黒い鳥が現れた。男の子がすぐ背中に乗り、どこかへ飛んで行った。その後ろ姿を手を振り見送るが、すぐ姿が見えなくなり、リンもふぅ。とため息についた
「さて、そろそろ休みましょうか。本を読むにはもう遅い時間ですね」
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