デスパレートレアス

シャオえる

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70. 温もりが消えない前に

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「ふぅ、やっと出来た……」
 いつもよりたくさん作ったご飯をリビングのテーブルに並べるツムギ。ルトとララが美味しそうなおかずに思わず手を伸ばしている。メルガも食べようと側でソワソワと動いていると、不審な動きに気づいたツムギが、ルトとララが狙うおかずのお皿を取った
「つまみ食いはダメだよ、レアスを呼んでから」
 ツムギに見つかってしょんぼりしていると、お皿をテーブルに置き直したツムギがルトとララを抱きしめると、メルガと一緒にレアスの部屋へと歩きだした







「レアス、ご飯できたよ。食べてお風呂入って休もう」
 コンコンと部屋の扉を叩き、声をかけながら扉を開けると、窓辺で椅子に座って外を見ているレアスがいた。一瞬ツムギ達の方を見て、すぐまた外を見るレアスにツムギが声をかけながら近づいていく
「レアス、この本なんだけど……」
 と、ミナモに取られていたはずがレアスの本棚に現れた本を見せると、それを見たレアスが少し驚いた表情で本を受け取った
「どうして?」
「さっき、本棚が大変なことになって、ミナモさんが来て、助けてくれて……。その、あのー、なんていうのかな」
「……そう」
 上手く説明できずに、狼狽えながら答えているとレアスが本をぎゅっと抱きしめるとツムギに返し、ゆっくりと椅子から立ち上がった

「ご飯は?」
「リビングにあるよ。冷たくなる前に食べよう」
「そうね」
 リビングへと歩きだしたレアス。ツムギの隣を通って部屋の扉を開けた時、本棚の出来事を思い出したツムギが慌ててレアスに声をかけた
「そうだ。レアス、本がね……」
 ツムギの言葉に、ゆっくりと振り向くレアスに、ちょっと怯えてあたふたと狼狽えつつも
「触ってないし、読んでもないよ。けど本が……」
 そう言いながら本をぎゅっと抱きしめて、うつ向きながらポツリポツリと話しはじめた
「本から知ってる人が現れてね。でも、顔は見えないの。でも何となく知ってる人で、レアスに似てるから……」
「ご飯、冷めるから」
 段々と声が小さくなってくツムギの話を遮るレアスの言葉に、ツムギを心配そうに見ていたルトとララがレアスを見て何度も頷いている

「そうだね、ルトとララもメルガもみんな、お腹空いてるもんね。ごめんね、急いでリビング行こう」
 エヘヘと笑って誤魔化しながら、レアスを追い越してバタバタと大きな足音を立てて階段を降りていくツムギ。ルトとララ、メルガが大慌てで後を追いかけていく。一人部屋に残ったレアスは、ツムギ達の声を聞きながら、また窓辺に戻り空を見上げポツリと呟いた
「本から現れた私に似てる人……。ララがいるもの。まだ本を使えるよね」
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