これくしょんブック

シャオえる

文字の大きさ
53 / 85

53.ずっと一緒にいると決めたから

しおりを挟む
「ここがヒカリの本棚……」
 アカリが部屋の中へと入ると、ルカ達も後についで部屋の中へと入っていく
「何もないね……」
 壁一面に本棚が埋め尽くされていた。だが、何にもない空っぽの本棚には、あちらこちらで埃がたまっている
「一度も最後まで書かれたことがないからね。仕方ないよ」
「でも、書いていた人はいたんですよね?それは……」
「一緒に消えていったわ。そんなもんよ」
 ルカの疑問をあっさり答えるリリ。それぞれ思い思いにヒカリの部屋の中を見回っていく


「ここにヒカリはずっといたの……」
 アカリが見つけたのは、部屋の真ん中にある大きな机。埃が溜まった机に、本があったであろう所には埃はなく、本の形をして綺麗に残っている
「久しぶりな気がするわね。まだ日はあまり過ぎていないのに……」
 そのヒカリが寝ていたであろう場所にヒカリが立つと、突然ふわりと浮いて本に変わったヒカリ。そのまま降りたヒカリは、埃のないその場所に、埃も付かず本の形として綺麗に降りた
「アカリちゃん?どうしたの?」
 ヒカリを見つめたまま動かないアカリに気づいたルカが、側に駆け寄り声をかける。返事をしないアカリに、慌ててユイ達を助けを求めた
「ユイさん!ミナモ君!」
 だが、本棚を指差したまま動かない二人。そして、二人の間にいたリリとモナカも、険しい顔をしたまま止まっていた
「リリさんも……モナカさんも……」
 一人残され、どうしようかとユイ達の側に近寄り、あたふたするルカ。その時、聞き覚えのある声が部屋の中に響いた

「曾祖母も、時間の魔法が得意だと聞いていた」
 聞こえてきた声に驚いて振り返ると、機嫌の悪そうな顔のカグヤが部屋の中に入ってきた
「カグヤさん……あの……」
 ルカの声を無視してアカリの側まで来ると、そっと頬を触った。まばたきもせず無反応のアカリ。その様子にカグヤも無表情でアカリを見つめる
「何を見ているかは分からんが、これ以上深入りすると危険だ」
「危険……。それじゃあアカリちゃんを助けなきゃ……!」
 カグヤの言葉を聞いて叫ぶルカ。その時、ガラガラと建物が崩れる音と共に、ユイ達が再び動き出した


「あれ?カグヤ、いつからいたの?」
 一緒に来ていないはずのカグヤがいて不思議そうに聞くユイ。
「もしかして、アカリが……」
 リリがアカリの方を向いた時、本から姿を変えてふわりと浮いて部屋の奥へと向かってくヒカリ
「ヒカリ!アカリに何かしたの?」
「いいえ、私は何も……」
 ヒカリが小声で返事をした時、バタンッと大きな音が部屋に響いた
「アカリちゃん!」
 床に倒れているアカリに慌てて駆け寄るルカ。ユイやリリも駆け寄って、アカリの体の状態の確認をはじめる

「僕、救護を呼んでくる!」
 ミナモとモナカが慌てて部屋を出ようとした時、カグヤがガシッと腕を強くつかんで、ミナモの足を止めた
「……ページは新しく書いていないのはずだ。それでも倒れたというのなら、もう書き続けるのは無理だろう。早々に離れるべきだな」
 とアカリを見ながら話すカグヤ。その言葉でみんな黙ってしまった
「……いえ、私はヒカリとずっと一緒にいます」
 とカグヤに反論しながら、ゆっくりと体を起こすアカリ。支えるルカの心配をよそに、アカリは立ち上がるとすぐヒカリの所へ歩いていく
「アカリ……でも……」
 その言葉に嬉しくてもアカリから目を背けるヒカリ。ゆっくりと歩いて、ヒカリの所に着いたアカリが手を広げてヒカリを呼ぶ
「……ヒカリ、帰ってきて」
 と言われても動かないヒカリ。そんな二人の様子をルカ達は無言で見守っている

「無理よ……やっぱり私には……」
「大丈夫だよ。ヒカリ、帰ってきて。ねっ」
 手を広げてずっと待っているアカリの姿を見て、ゆっくりと戻っていく。側に来たヒカリをアカリは優しい笑顔で迎えて、両手で優しくぎゅっと抱きしめ
「ヒカリの願い、私が叶えます。スズさんの願いでもあるから」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

【完結】魔王を殺された黒竜は勇者を許さない

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
幼い竜は何もかも奪われた。勇者を名乗る人族に、ただ一人の肉親である父を殺される。慈しみ大切にしてくれた魔王も……すべてを奪われた黒竜は次の魔王となった。神の名づけにより力を得た彼は、魔族を従えて人間への復讐を始める。奪われた痛みを乗り越えるために。 だが、人族にも魔族を攻撃した理由があった。滅ぼされた村や町、殺された家族、奪われる数多の命。復讐は連鎖する。 互いの譲れない正義と復讐がぶつかり合う世界で、神は何を望み、幼竜に力と名を与えたのか。復讐を終えるとき、ガブリエルは何を思うだろうか。 ハッピーエンド 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/03/02……完結 2023/12/21……エブリスタ、トレンド#ファンタジー 1位 2023/12/20……アルファポリス、男性向けHOT 20位 2023/12/19……連載開始

スキル買います

モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」 ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。 見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。 婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。 レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。 そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。 かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

処理中です...