これくしょんブック

シャオえる

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71.一人で悩むよりも、誰かに伝えて

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「お母さん、ほとんど荷物持っていったんだ……」
 ルカが一人訪れたのは、久しぶりに帰ってきた自宅。リビングに入ると、置いていたルナの荷物が大分減っているのに気づく
「近々、帰ってくるかもしれないから、解約しないで残しておくって言ってたけど……」
 と、一人言を言いながら、ルナの部屋に入っていく。ガサゴソと机や本棚の中を見て回り、何かを探している様子。夢中で部屋の中を探し回るルカ。すると、ルカしかいないはずの部屋から、突然声が聞こえてきた

「ルカちゃん、何してるの?」
 後ろから聞こえてきた声に、驚き慌てて振り返るルカ。ドキドキしながら、声のする方に視線を向けると、部屋の入り口にルカを見ているアンズがいた
「アンズさん……ビックリした……」
「勝手にお家に入ってゴメンね。ルナからは許可は取っていたんだけど……」
「いえ……大丈夫ですが……」
 トコトコと歩いてルカの隣に来ると、散らかっている本やノートを見て、ルカに問いかけた
「一人で何を探しているの?」
「えっ?えーと……」
 アンズの質問に、答えずうろたえるルカ。その間に机の上にアンズが座り、はぁ。とため息をついた
「アカリちゃんに必要なこと?それともヒカリ?」
 アンズの質問に、うつ向いて返事をしないルカ。それでもアンズが何かを感じ取って、ルカの頭を撫でて笑う

「二人のために偉いのね。……でも、本当に何を探していたの?」
 アンズの問いかけに、しばらく言うべきかと考えるルカ。ゆっくりと答えはじめた
「ヒカリに書かれている文字、私読めるんです……。でも、前までは読めなかったのに、最近少しずつ分かってきてて……。昔読んだ本に、同じ文字が書いてた気がして、それで手がかりがあればって思って……」
「それで一人帰ってきたの?」
 アンズの質問に小さく頷くと、また無言になったルカ。そんなルカに、アンズがまた質問をする

「アカリちゃんには文字がわかるって話したの?」
 小さく首を横に振って、アンズの話に否定するルカ。すると、アンズがはぁ。とまた大きくため息をついた
「話せばいいのに……」
「心配させちゃうから……ヒカリのことでも悩んでるし……」
「優しいのね。その一人で悩んでるところも、探し物をしている後ろ姿も、ルナにそっくりね」
 と急に出てきたルナの話しに驚きアンズの顔を見る。そのルカの表情にアンズがクスッと笑い、床に散らばったたくさんの本から一冊選び数ページ、パラパラと読みはじめた

「でも、ここにはあなたが探しているものは、たぶん残してないわ。それよりも……」
 と、言葉を濁しパタンと本を閉じると、何やら急に真剣な表情になったアンズに、ルカも緊張して話の続きを待っていると、アンズがルカの肩に乗り、またクスッと笑って話の続きをはじめた
「急いで帰って、お話のためのおやつ作りをしなきゃいけないわね」
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